東京ミッドタウン地下1階アトリウムにて、4月25日火曜〜5月7日日曜まで、プジョー3008が新しいi-コクピットのワークショップを催すと聞いて、早速、体験してきてみました。「i-コクピット」とはプジョーが作り出したきわめてエルゴノミックなインテリア・インターフェイスのことで、ちょっと驚くような小径ステアリングの上からメーターパネルが覗く、独特の雰囲気を見たことがあるかもしれないですね。3月中旬から日本で発売になったコンパクトSUV、3008に備わるi-コクピットは、2世代目となる進化版です。

プジョー・シトロエン・ジャポン社長のクリストフ・プレヴォ氏は3008のことを、「SUVでありながら、ハッチバックと同じぐらいスポ―ティなドライビング感覚を実現している」ことを強調します。ベースのハッチバック(プジョーの場合は308)に比べると、重心が高いSUV の走りはシャキッとしないことが多いのですが、ハンドリングを是とするプジョーとしては、それが許せないし、プジョーとしてもSUV としても妥協なく仕上がった一台、それが3008だと、口調に熱がこもっています。

そんなドライビング・プレジャー体験へ、スムーズに入っていくための装置でありインターフェイスであり。ようは新しいi-コクピットとは、触って試してみるべきもののというわけです。

極小径に見えるステアリングは正面の12.3インチディスプレイが映し出すメーターよりも下に位置し、少し面食らうかもしれません。ダッシュボード中央には8インチのタッチパネル、その下にはピアノの鍵盤をイメージしたというトグルスイッチ、そしてバイワイヤのシフトレバーが置かれます。

左の掌をシフトレバーの上に置くと、ちょうど指がトグルスイッチにのる配置で、よく練られたエルゴノミーの出来だと一発で感じられるでしょう。これに加えて小径ステアリングと6速ATをパドルシフトで操れるのだから、楽しくないはずがありません。

いわばドイツ車や一部の日本車と異なり、ボタンやダイヤルなど操作類の数は極力絞って、ドライビングの悦びに純粋に浸らせよう、その感覚を増幅させよう、そんな考え方と造りのコクピットなのです。

しかもi-コクピットの特徴はそれだけではありません。今回のプレス向けワークショップにはパネリストとして、SFや科学関連の数々の著作やTV番組の司会を務めるサイエンス作家の竹内薫氏が、i-コクピットの深奥を解説してくれました。

普段から科学の最先端に接している竹内氏いわく、プジョーの生まれたフランスはメートル原器をはじめとする単位の基本を作り出すなど、元より科学の盛んな国で、今も先進的な研究を数多く行っており、日本の手ごわいライバルというイメージなのだそうです。ちなみに竹内氏の祖父方はその昔、関東大震災以前の時代に日本で最初期の自動車学校を経営されていて、幼少の頃から色々なクルマに囲まれて育ったそうです。

「3008はいざ座ってみて、非常に理詰めで心地よさを追及しているインテリアだと思いましたね。でも人を置いてきぼりにする冷たいロジックではない、そこがフランスらしいとも感じます」。

そんな竹内氏が、最初にi-コクピットの中に身を置いて感心したのが、ドライバーの気分や走り方に応じて雰囲気を変えてくれるアンビエントライト。

「人間は自分の周囲を認識する情報の80%を目から採り入れていますから、車内でリラックスしたり、ドライブを楽しむことが、心地よく感じられる過程に、大きく作用します。雰囲気を変えられるだけでなく、目の前に映し出す情報を取捨選択できる点も大きいですね。スマートフォンと同じで、必要な情報へ最小限のアクセスで、なおかつそれをパーソナライズできるという現代的な考え方が、計器の中にありますね。でも機能さえ果たしていればいいや、という設計ではないのがフランス的に感じます。それはドアパネルに張られた素材のタッチであり、パフュームディフューザーの香りであり。目以外の、触覚や嗅覚といった別の回路からも人間が落ち着ける、ドライバーが心地よい空間だと感じられる工夫がなされいます」

ワークショップに先立ってしばらく試乗してみて、走っている車内で他のクルマに囲まれている時ですら、「まるで自分の書斎にいるような落ち着きを感じられた」という竹内氏。確かに機能的なだけでなく、スーツの生地のようなツイード生地を張ったシートやドアパネルには、大人をも満足させるシックな雰囲気が漂っているのです。

通訳を通じて竹内氏の解説に耳を傾けていたプレヴォ社長も、時に強く頷きながら、ニッコリと微笑みます。

彼のいうSUV としてベストの要素とはそう、視線が高く落ち着ける空間でありながら、プジョーらしく滑らかで自由自在の軽快な乗り味を、同時に実現した一台ということなのです。

それこそ、まずは「触り」から、GW中のミッドタウンで体験してみてはいかがでしょう?

(NANYO Kazuhiro)

科学の国フランスで生まれたプジョー3008のニューi-コクピットをNHK「サイエンスZERO」の竹内薫氏はどう見る?(http://clicccar.com/2017/04/25/467148/)