ブリー・ラーソンほか実力派が顔をそろえた (C) Rook Films Freefire Ltd/The British
Film Institute/Channel Four Television
Corporation 2016

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 「ハイ・ライズ」で知られるベン・ウィートリー監督が映画.comのインタビューに応じ、2016年の第41回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門(世界のエッジのきいた映画を上映する部門)で観客賞を受賞した最新監督作「フリー・ファイヤー」について語った。

 「ルーム」や「キングコング 髑髏島の巨神」で知られるオスカー女優ブリー・ラーソン、「第9地区」のシャルト・コプリー、クリストファー・ノーラン監督作品の常連キリアン・マーフィ、「コードネーム U.N.C.L.E.」のアーミー・ハマー、「シング・ストリート 未来へのうた」のジャック・レイナー、「マレフィセント」のサム・ライリーが結集。銃の取り引きを行うために倉庫に集まった2組のギャングが、ささいなことから仲たがいし、銃撃戦を繰り広げるさまを描く。マーティン・スコセッシが製作総指揮を務めた。

 本作の大きな特徴として、リアリティとフィクションのバランスが挙げられる。舞台演劇のように戦況が刻一刻と変化していくさまを映し出しつつ、シニカルなギャグや俳優陣の振り切った演技でアクセントを加え、独特の生々しさをかもし出している。ウィートリー監督は「いつも映画を作るときは、ジャンルものとリアリズムを混ぜるように意識しているんだ」と語り「リアリズムは、観客の経験を呼び起こして、彼らの心に訴えかけることができる。想像が膨らむから、登場人物をより深く理解でき、共感できるんだ。映画がいかにも映画っぽいと、登場人物と観客の間に距離が生じてしまう。そして、より一般的な話になってしまい、つまらなくなってしまうんだ。だから観客を引きつけるためにも、リアリズムは重要だと思うのさ」と作品作りの極意を明かす。

 「本物の銃を撃つときの表情というものは独特だ。銃を手に持っていると、その恐怖が目に表れる。金属を持って、火花が飛び散っているわけだしね。レプリカの銃を使って銃声をコンピュータで足しても、どうも説得力がない。重みも感じられないんだ」とリアルな表現にこだわりを見せるウィートリー監督。具体的なシーンの撮影法についても言及し「苦労したシーンは2つある。1つ目はシャルト・コプリーが本当に炎に包まれるシーンだ。あれは本人が希望したのさ。とても恐ろしかったよ。ハリウッド俳優に火をつけて、何か問題が起きたら大変だ。無事に撮影できたけれど、彼が大けがを負うんじゃないかってヒヤヒヤしながら見ていたよ。もう1つは、サム・ライリー演じるスティーヴォがトラックにひかれるシーンだ。あれは本物のトラックさ。アメリカのマジシャン、ペン&テラーが同じようなトリックをやっていて、それを分析したんだ。トラックを切断して片側に重りをつけ、ゴム製のタイヤを使って下にいる人を傷つけないようにした。とても複雑だったが、苦労したかいはあったね」と手ごたえをうかがわせた。

 トム・ヒドルストン、ジェレミー・アイアンズ、シエナ・ミラー、ルーク・エバンスらが結集した前監督作「ハイ・ライズ」、本作と実力派スターたちをまとめ上げているが「現場での僕の役割は、役者たちが色々と挑戦できて、“誤りなんてない”と感じてもらえるような環境を作ることだと思っている。リスクを負ってでも、すべての可能性を試してほしいからね。現場で僕はとてもおだやかなんだ。具体的な指示は出さず、彼らの演技が引き立つような雰囲気作りを心がけているのさ」と作品作り同様、役者からもリアルな表情を引き出すため腐心していると語った。

 「フリー・ファイヤー」は、4月29日から全国公開。