24億年前の溶岩で見つかった気体の泡で形成されたような球状構造のX線断層撮影画像。球状構造の内部に菌糸体状の化石が見える。球状構造の直径は0.8ミリ(2017年4月24日提供)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】南アフリカで偶然発見された化石は、これまで最古とされていたものよりさらに12億年古い菌類である可能性が高いとの研究論文が24日、発表された。植物でも動物でもない生物群、菌類の進化の物語を書き換える発見だという。

 米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に掲載された論文によると、菌類であることと多細胞であることの両方が立証されれば、細長い糸状のフィラメントがほうきのように束ねられているこの24億年前の微小な生物は、生命系統樹で人間が属する系統の生物としては、知られている限りで最古の化石標本となる可能性があるという。

 植物、動物、菌類などを含むが、細菌類を含まない生物分類の「上界」である真核生物の痕跡を示す生痕化石については、これまで最古とされていたものは19億年前の化石にとどまる。

 地球自体の年齢は約46億年とされている。

 菌類に似たこの古代生命体は、南アフリカの北ケープ(Northern Cape)州の地下800メートルから発掘された岩石に形成されていた、気体の泡でできたような球状の構造の内部で見つかった。研究チームは、この生命体の年代だけでなくその起源も注目に値すると指摘する。

 菌類が最初に出現したのは陸上だと長年考えられていたが、この新発見の生命体は古代海洋の海底下で、火山岩の割れ目に入り込んで生息・繁栄していた。

 論文の共同執筆者で、豪カーティン大学(Curtin University)のビルガー・ラスムセン(Birger Rasmussen)教授(地質学)は、誰もこの生命体を探そうとはしていなかったと説明した。ラスムセン教授は、南アフリカのオンゲルク(Ongeluk)層と呼ばれる溶岩層で採取された溶岩サンプルの年代を決定するため調査を進めていた。

■「生命だ」と絶叫

「一連の石化した気泡痕に興味を引かれたので顕微鏡の倍率を上げたところ、私は非常に驚いた」と、ラスムセン教授は述べた。

 ラスムセン教授は電子メールで、その気泡痕は「数百の極めて保存状態の良いフィラメントで満たされており、それらが『生命だ』と絶叫していた」と発見当時の状況を説明した。

 周囲の溶岩の年代がこれまで考えられていた22億年前ではなく24億年前であることにラスムセン教授が気付いたことで、さらに謎が深まる展開になっていった。

 2億年の差は重要な意味を持つ。これにより「大酸化イベント(GOE)」と呼ばれる地球の地史における重要な境界をまたぐことになるからだ。GOEでは、大量の酸素が大気中に急速に放出された。

 新しい年代測定結果は、この菌類に似た生物が生息していた暗い穴の中の世界には、光だけでなく酸素もなかったことを意味している。

「このことは、真核生物と菌類の初期の祖先の生息様式に対して非常に重要な意味を持つと考えられる」と、ラスムセン教授は付け加えた。

■「深部地下生物圏」の謎

 今回の最新研究でその存在が明らかになった生物は、陸と海の下にある「深部地下生物圏」と呼ばれる生息域に存在していた。

 論文の主執筆者でスウェーデン自然史博物館(Swedish Museum of Natural History)の純古生物学者ステファン・ベンクソン(Stefan Bengtson)氏は「地球のバイオマスの相当部分は深部地下生物圏に存在するが、深部地下生物圏についてはほとんど分かっていない。その歴史となればなおさらだ」と語った。

 過去の研究では、5000万年前にさかのぼる海底下の溶岩にみられる気泡が菌類に生息環境を提供していた証拠が明らかになっていた。

 このような生息環境では、菌類は微生物と共生関係を構築し、化学的に蓄積されたエネルギーを代謝に利用していた可能性が最も高いと、論文の共同執筆者で、深部地下生物圏の専門家のマグヌス・イーバソン(Magnus Ivarsson)氏は指摘している。

「菌類は、遊離酸素すら必要としなかった可能性がある」
【翻訳編集】AFPBB News