さえない「オタク」系プログラマーのリチャード・ヘンドリクスは、自らが開発していた音楽ツールのアルゴリズムが、ある日「革新的なコードで書かれた圧縮アルゴリズム」であると認められ、自らのスタートアップ「パイド・パイパー」を立ち上げることになります。そこに集まったギークな立ち上げメンバーとともに、ドタバタコメディーでスタートアップの成長が描かれるというドラマが「シリコンバレー」で、すでにシーズン3まで放送されています。最新の「シーズン4」の放送がアメリカでスタートし、異色のIT系ドラマとして人気を呼んでいるのですが、劇中の演出が実際のシリコンバレーなどのテクノロジー業界で働く人も納得のデキになっていることをBusiness Insiderが解説しています。

How HBO's 'Silicon Valley' gets real tech industry right - Business Insider

http://www.businessinsider.com/hbo-silicon-valley-gets-real-tech-industry-right-2017-4/

ドラマ「シリコンバレー」のシーズン1の予告編は、以下のページから見ることができます。

シリコンバレー: シーズン1 予告編 Clip | Hulu

http://www.hulu.jp/watch/945798

※ここからドラマ「シリコンバレー」のネタバレに該当する記載があるため、閲覧注意です。

◆01:細部までリアリティを追求している

ドラマ「シリコンバレー」には「リアル過ぎる」と感じるほど、現地ならではの詳細が詰め込まれているとのこと。サンフランシスコに住む人がシリコンバレーを見ると、「コメディというよりドラマみたい」と話すほどだとのこと。



◆02:実在のIT企業であるGoogleをほうふつとさせるセット

劇中に登場するIT企業のオフィスはGoogleなどの職場に似せて作られており、架空の企業である「Hooli」のオフィスは、「Google Y」のオフィスをモチーフにしたものと考えられています。



◆03:浮かれた売れっ子スタートアップを模倣している

Hooliのオフィスにはばかばかしいほど豪華なキッチンがあるのですが、これは実際のシリコンバレーで幸せの絶頂期にあったスタートアップを模倣しているとのこと。



◆04:Facebookのモットーのパロディが登場する

劇中で登場するオフィスのポスターには「BREAK FAST AND EAT THINGS(早く壊せば物事は変わる)」と書かれているのですが、これはFacebookで実際に使われたモットーである「Move Fast and Break Things(素早い行動が物事を変える)」のパロディーと考えられています。



◆05:ギークのパーティーにラッパー

シーズン1でHooliと敵対関係にあるシリコンバレーの巨人企業「Raviga」がパーティーを開き、ゲストとしてフロー・ライダーが登場します。技術オタクのパーティーにラッパーが登場するのは不自然に見えるかもしれませんが、この演出はBusiness Insiderによると「100%真実」とのこと。現にSalesforceのアフターパーティーには、ゲストとしてM.C.ハマーが登場することが知られています。



◆06:音楽圧縮ツールが革命的なファイル圧縮アルゴリズムへ

主人公のリチャード・ヘンドリクスは、Hooliで働きながら、個人で音楽ファイルを圧縮して管理できるツールを開発していました。リチャードは「音楽ツール」としての用途しか想定していませんでしたが、その圧縮アルゴリズムが世界に類を見ない革命的なものであることが判明し、自らのスタートアップを立ち上げることになります。このような転換の流れ自体が、シリコンバレーの日常をうまく描いています。



上記の例として、評価額38億ドル(約4190億円)のチャットアプリ「Slack」は、もともと「Glitch」というMMORPGのツールとして開発されたものでした。Glitchはなくなりましたが、Slackはビジネス向けのチャットアプリとして人気を集めています。



◆07:投資家が若い開発者を補助する「インキュベーター」

主要な登場人物の1人である投資家のアーリック・バックマンは、料金なしで自宅の居住スペースと開発スペースを若い開発者たちに提供する「インキュベーター」を運営しています。主人公のリチャードは、このインキュベーターの補助を受けて自らのスタートアップ「パイド・パイパー」を立ち上げることになります。アーリックのインキュベーターのような仕組みは実際に存在しており、例えばDropboxはYコンビネータの「インキュベータープログラム」から立ち上がったスタートアップです。ただし、本物のインキュベータープログラムはアーリックのように居住・開発スペースを提供するだけではなく、講師による指導を含む能動的なプログラムが多いとのこと。



◆08:本物のソフトウェア開発手法が劇中に取り入れられている

劇中では開発チームがプラットフォーム開発を円滑に進めるためのアイデアとして、実在する開発手法である「スクラム・メソッド」が取り入れられるシーンがあります。また、開発チームが短い時間で集中してミーティングを行うため、全員が立ったままそれぞれの報告を行う「スタンドアップ・ミーティング」も存在しますが、ドラマ「シリコンバレー」でも、登場人物の開発者たちが立ったまま開発状況について話し合うシーンが見られます。



◆09:実在するシリコンバレーのCEOを統合した人物

ドラマ「シリコンバレー」の主な敵対企業として描かれるHooliのギャビン・ベルソンCEOは、シリコンバレーに実在する多くのCEOを表現した人物になっているとのこと。例えばギャビンは精神的なアドバイスを行ってくれる「グル」に絶大な信頼を寄せているのですが、Salesforceの会長兼CEOであるマーク・ベニオフ氏も、同様にグルを信頼していることで知られています。



◆10:主人公がCEOの座を追われる

シーズン3では主人公のリチャードが自身の立ち上げたスタートアップであるパイド・パイパーで、「リーダーシップ不足」として経営陣の多数決によりCEOの座を追われることになります。「自分の会社から追放される」という出来事は実際のシリコンバレーでも起こっていることで、最も知られた例がAppleを追い出されたスティーブ・ジョブズです。



By tenz1225

◆11:アメリカ企業で働く外国人開発者

パイド・パイパーの一員であるバートラム・ギルフォイルは、パイド・パイパーから受けた就労ビザで働くカナダ市民です。「外国人を就労ビザで雇用する」ということは実際のシリコンバレーでもよくあることで、多くのハイテック企業が高いスキルを持つ外国人の就労ビザ取得を後援しています。



◆12:マッチョなプログラマー

Hooliには通称「brogrammer」と呼ばれる筋骨隆々な開発者が在籍していますが、これはUberなど、実際のシリコンバレーの企業でも起きている現象とのこと。そして「開発者=オタク」というイメージが薄れるとともに、シリコンバレーでTシャツやパーカーが「ビジネスカジュアル」として通用するような文化ができあがった一因にもなっているとのこと。



◆13:シーズン4はAndroidのような歴史的転換になれるのか

圧縮アルゴリズムのプラットフォームが低迷を続けたシーズン3のラストで、パイド・パイパーの一員であるディネシュ・チャグタイが個人的に開発していたビデオアプリが、圧縮アルゴリズムに適していることがわかり、ビジネスの方向転換が描かれました。歴史的な前例として、Androidはもともとデジタルカメラのソフトウェアとして始動したもので、後にモバイルOSに適していることに気づき、方向転換したことでGoogleに買収されました。



By etnyk

◆14:実際のシリコンバレーで活躍する女性投資家はわずか7%

実際のシリコンバレーのさまざまな事情をコメディタッチで反映しているドラマ「シリコンバレー」ですが、女性の配役は現実的ではないとのこと。パイド・パイパーの取締役会にはベンチャーキャピタルの女性投資家とその部下が就任していますが、実際にはシリコンバレーの女性投資家の割合は7%とのこと。Business Insiderによると、「すべてのキャストを男性にしても不自然にはならない」と言うほど、いまだシリコンバレーの労働人口は男性が多数派のようです。