米アップルは、かたくなに秘密主義を守る企業で、製品の発表日当日まで、社内で何を開発しているか一切明かさないことで有名だ。

 そうした徹底的な秘密主義でも、膨大な量の部品や、組み立て業務をアジアのサプライヤーに発注していることから、同社の新製品に関する情報は、たびたび漏れ伝えられる。

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数百人のアップル社員に誤送信

 しかし、このほどは誤って送信されたアップルの内部文書が、米メディアに知れ渡ることとなり、これが大きく報じられ、話題になっている。

 報道によると、内部文書とは労働災害に関するもの。今年の4月14日、アップルの保健安全部門の担当者が誤って数百人のアップル社員にこの文書を送付したが、これを米ギズモードが入手した。

ARメガネのテスト中に体調不良か

 文書には今年2月から3月にかけてアップルで起きた70件超に上る事故・事象が記されている。中には、社内のカフェテリアで働くスタッフが、オーブンで火傷した事故など、製品開発とは関わりのないと考えられるものも多くある。

 しかし、そのうちの2つについては、かねて噂されていた、拡張現実(AR:augmented reality)関連製品の開発を示唆する事象であり、これらには噂の真相を知る手がかりがあるとギズモードは伝えている。

 それによると、1つは、2月にある試作機を試験していたアップルの女性社員が、試験中にレーザー閃光を見るようになったという事象。

 この女性社員は目に不快感を覚え、研究チームのリーダーにそのことを告げた。その上司は眼科医の診察を受けるよう指示し、試作機の分析を行うことにしたという。

 もう1つは、新しい試作機を試験していた男性社員が、目に痛みを訴えたというもの。男性社員によると、試作機のケースにあった安全封止部分が壊れていたという。このことから男性社員は、自分の目の痛みと機器には、なんらかの因果関係があるものと考えているという。

 この社内文書には、これらの試作機が実際にどういうものであるかといったことは記されていない。しかし、ギズモードが知る情報筋は、アップルが社内で開発しているAR用の眼鏡型製品と関連があると推測している。

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地図データ収集車が交通事故

 このほか、腕時計型端末「Apple Watch」のエンジニアチームが、スキー中に膝にけがをしたというものもある。こちらは、スキーやスノーボードのアクティビティに関する運動データを集めるために、2日間のスキー旅行に行った際のけがだという。

 ギズモードはこれに関し、アップルに、健康関連アプリケーションに、スキーやスノーボードのアクティビティ機能を追加する計画なのかと尋ねたが、回答は得られなかったという。

 また、アップルの社員が、同社所有のクルマにひかれるという事故があったことも文書に記されている。アップルの内部情報提供者は、このクルマは地図サービスのデータを収集するミニバンと推測しているという。

 なお、この時、歩行者だったアップルの社員はクルマとの衝突後、1メートルほど跳ね飛ばされた。幸いにも軽傷だったが、応急措置だけでは済まされない、医療機関による本格的な治療が必要な事故だったとギズモードは伝えている。

筆者:小久保 重信