北朝鮮のミサイルが、これまでの地政学の概念を揺るがせている 写真:労働新聞(電子版)より

写真拡大

 米国は4月6日、シリア空軍基地へのミサイル攻撃を実施した。ドナルド・トランプ大統領が習近平中国国家主席を迎えて「米中首脳会談」の最中であった。米国は続いて、アフガニスタンのISIS(イスラム国)に非核兵器としては最大級の威力がある大規模爆風爆弾(MOAB)による攻撃を行った。さらに、大統領は「すべての選択肢がテーブルの上にある」と北朝鮮に強硬姿勢を示し、空母カールビンソンを朝鮮半島近くに配置した。

 トランプ大統領は就任前から「アメリカファースト」を標榜し、「外国への軍事介入は馬鹿げている」と主張する「孤立主義」の立場を打ち出していた(本連載2017.1.24付)。しかし、大統領就任後、その主張とは真逆に見える「軍事介入」を次々と展開し始めている。米国や日本の様々なアナリストが大統領は変わったと指摘している。

 だが、本稿は「4D地政学」という新たな概念を提示し、トランプ大統領が「アメリカファースト」の姿勢を全く変えていないと主張する。そして、今後の米国の動きについては「孤立主義」を想定し、最悪事態に備えるべきであるとあらためて強調する。

「地理的な環境が国家に与える政治的
軍事的な影響」を分析してきた地政学

 この連載では、国際政治の分析枠組の1つとして「英米系地政学」を用いてきた。これは、英国の地理学者ハルフォード・マッキンダー卿と米国の学者ニコラス・スパイクマンが示した、海洋国家(シーパワー)がユーラシア大陸中央部(ハートランド)に位置する大陸国家(ランドパワー)の拡大を抑止するための理論である。

 具体的には、ハートランドの周縁に位置する地域を「リムランド」と名付ける。リムランドには、フランス、ドイツ、東欧など欧州諸国、中東、インド、東南アジア、中国沿岸部、韓国などが含まれる。ランドパワーがリムランドを統合すると、シーパワーにとって巨大な脅威となると警告する。逆にシーパワーは、リムランドを形成する国々と共同して、ハートランド勢力を包囲し、その拡大を抑止すべしと強調する(2010.12.14付)。

 この連載では、例えば日本、米国、英国など海洋国家(シーパワー)の戦略は、経済関係構築にも当てはまると考えた。経済成長著しい中国沿岸部は、「リムランド」の一部と見なすことができる。これをシーパワーが取り込むとは、「積極的に中国の経済発展に関与することで、中国を欧米ルールに従う市場経済圏として発展させること」であり、「中国を資源ナショナリズムに走らせず、海洋権益に手を出すことのデメリットを認識させる」ということになるからだ。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)