生命維持装置につながれた5歳児(出典:https://echoofhope.org)

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臓器移植は命のリレーであるとも言われるが、日本では諸外国に比べドナー(臓器提供者)登録が圧倒的に少なく、子供が心臓移植のために海を渡る例があとを絶たない。臓器移植の最先端を行くと言われるアメリカでも、95%が臓器提供に興味を持っているものの実際にドナー登録をしている人は54%に過ぎず、現在11万8000人が臓器提供を待っているという。ボストン在住の5歳の少年も、2か月ほど前は新しい心臓をひたすら待つ身だった。

先天性心臓疾患で生まれた時から入退院を繰り返してきたアリ・シュルツ君(5)は、米ボストンの子供病院で自分に適合する心臓が現れるのをずっと待ってきた。そして入院から211日目、アリ君はついにその日がやってきたことを両親から知らされた。

「新しい心臓が見つかったの? 今日おうちに帰れるの?」と嬉しそうに語っていたアリ君に、心臓が移植されたのは3月3日。手術は成功したものの、アリ君の本当の闘いはここから始まった。アリ君の両親はブログ「Echo of Hope」の中で、その思いをこう綴っている。

「臓器移植は手術をしたからといってそれで終わりではありません。拒絶反応、感染症、血管障害、薬の副作用など、リスクをあげたらきりがありません。そして何より、提供された心臓が持つのは約15年と言われています。15年後、医学が進歩してアリが大学を卒業する頃までに、“その後”の解決法が見つかることを願っています。もしかしたら、その頃には心臓を作ることができるようになっているかもしれません。拒絶反応や感染症を心配する必要がなくなるかもしれません。でも今はアリが最初の山を乗り越えてくれるのを祈るだけです。」

しかしアリ君の身体は新しい心臓に拒絶反応を示し、手術から19日目の3月22日、心停止の状態に陥った。小さな身体には30分ほどCPR(心肺蘇生法)が施され、生命維持装置がつけられた。その後は一進一退を繰り返したが、アリ君は諦めることなく闘った。そして4月15日、つけられていたチューブがはずされるとアリ君は機械に頼らず自分で呼吸ができるまで回復した。医師によると「状態は良好とは言えないが、安定している」とのことだ。

新しい心臓が停止した時、息子のそばで手を握りずっと励まし続けたマイクさんは、アリ君が生命維持装置につながれている写真をブログに投稿し、こうコメントしている。

「1年で約300人の子供が心臓移植を受けています。でもドナー数は圧倒的に不足しており、多くの子供が移植を待ちながら亡くなっていくのです。より多くの人にアリの闘う姿を見て欲しいのです。」

「アリは勇敢なファイターで、私たちに闘い方を教えてくれました。人の死と引き換えに行われる臓器移植に抵抗がある人もいるでしょう。それを承知で、私たちはある決意をしました。それは『より多くの人にドナー登録をしてもらい、アリのように臓器を待っている10万人の命を救おう』というものです。1人のドナーが臓器を提供した場合、最大で8人を救うことができます。つまり1万2,500人がドナー登録をすれば、10万人の命を救うことが可能になるのです。」

「アリが待機していた期間は約7か月(211日)でした。子供を亡くした家族が、限られた時間の中で臓器提供を決断してくれたことには非常に感謝をしています。アリの心臓はその子からの贈り物です。アリの隣に入院しているチェイス君はまだ2歳ですが、心臓を待ち続けてもう1年以上になります。待機の時間が長ければ長いほど、死のリスクは高くなります。現に、1日に22人が臓器を待ちながら亡くなっているのです。」

「もしあなたがドナー登録をしているのなら、みんなにこのニュースを拡散してください。ドナー登録がまだという人は、今すぐに行動を起こしてください。」

マイクさんのブログからは臓器移植ドナーのネット登録ができるようになっている。日本でもドナーの意志表示は、臓器提供意思表示カード、運転免許証や被保険者証への記入、さらにネット登録でも可能であるという。これをきっかけに、臓器移植についての理解がもっと深まれば…と願わずには言われない。

出典:https://echoofhope.org
(TechinsightJapan編集部 A.C.)