2週連続でベテランが勝利も…4日間で見えた可能性(撮影:村上航)

写真拡大

国内男子ツアーとアジアンツアー共催の「パナソニックオープン」の幕切れは意外なものだった。首位と6打差の20位タイからスタートした久保谷健一が7バーディ・ノーボギーの“65”で7つスコアを伸ばす猛チャージ。トータル11アンダーで並んだ宮本勝昌とのプレーオフを制しツアー通算7勝目を挙げた。45歳のベテランの勝利に今大会のコースセッティングを担当したプロゴルファーの田島創志も驚きを隠せなかったが、ベテランの技と総合力を称賛した。
久保谷健一の癒しは2匹の愛犬「うちの子は本当にかわいい」
■久保谷健一の勝因はベテランらしい粘り
早い時間のスタートだった久保谷は、やや風の穏やかな時間にプレーできたこともあったが、「人生で3本の指に入るパッティングだった(久保谷)」とグリーン上での神がかったパフォーマンスでビッグスコアを叩きだした。パッティングだけでなく、前半をすべて1パットで乗り切るなど、グリーンを外したところを寄せワンでしのぎ続けた。
「バーディを獲るのがプロじゃない。ボギーを打たないのがプロだと思う」とは久保谷の言。「(千葉CC)梅郷コースは日本オープン(2014年)などナショナルオープンもやっている会場。久保谷選手は日本オープンチャンピオン(2012年)だし、そういったコースでの経験値の差が出た(田島)」。難コースでのベテランらしい粘りが勝因だった。
■2週連続でのベテランVだが…
前週の「東建ホームメイトカップ」で優勝したリャン・ウェンチョン(中国)に続き、ベテランが存在感を放ったが、若手が決して伸びていないわけではないと田島は言う。
「3位タイに入った堀川未来夢選手は、フェアウェイキープができなかったのが苦しくさせましたが、緊張感のある中で前半1オーバーから後半2アンダーで回っているのは成長している証拠。今回で自分の引き出しが分かったと思う。距離が出ないなら出ないなりにフェアウェイをキープするのが大事だし、足りないものをコースが教えてくれた。進むべき道が分かったと思うので飛躍すると思う」。
堀川以外にも15位タイの今平周吾、大堀裕次郎、24位タイには小鯛竜也、香妻陣一朗など海外勢が上位を占める中若手も気を吐いている。「若手に関しては、後ろ向きの考えになるのが良くない。足りないものを探して、夢を追いかけるのが職人だと思うし、良いプレーしているのどんどん出てきて慣れてもらえれば楽しみです」と今後に期待した。
■セッティングは選手とギャラリーの一体感をテーマに
今大会は16番を「ザ・ギャラリーホール」としてグリーンDJを設置して、ギャラリーと共に盛り上がる新たな取り組みを行ったが、田島が担当したセッティングの面でも意識したことがあるという。16番パー3で言えば3日目は奥からの傾斜でカップに寄りやすいピンポジションにすることによりバーディを多く魅せる演出。そして最終日は奥のギャラリースタンドからわずかに7ヤード地点にピンを切るなど、ギャラリーと選手の距離が近い臨場感を演出した。
「16番に関しては3日目はエンターテイメント性、4日目は競技性を重視しました。競技を大切にしつつ、エンターテイメント性を出したホール。リスクを承知でギャラリースタンドをかなり近づけました。選手が喜怒哀楽を出して感情を開放する光景が見られたので良かった。最終日は奥が6ヤードしかないのでその幅におさめるプレッシャーあったと思うし、あの雰囲気が難しくさせていた。全体的には選手とギャラリーを“近づける”のがテーマだったので、それに関しては満足しています」。
セッティングに関しても、ギャラリーホールのような新たな取り組みも今後議論されていくべきだが、この「パナソニックオープン」が新たな可能性を示したことは間違いない。選手、大会を含めて男子ツアーは少しずつ変わりつつある。
解説・田島創志(たじま・そうし)/1976年9月25日生まれ。ツアー通算1勝。2000年にプロ転向し、03年『久光製薬KBCオーガスタ』で初日から首位を守り、完全優勝。青木功JGTO(日本ゴルフツアー機構)体制では、トーナメント管理委員会 コースセッティング・アドバイザーを務める

<ゴルフ情報ALBA.Net>