放課後に校庭で遊ぶ小学生。日本と変わらない光景だが、横では、迎えに来た親や祖父母が待っている【撮影/大橋史彦】

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2006年に中国に移住し、蘇州、北京、広州、その後上海に約8年在住。情報誌の編集長を経て現在はフリーランスとして活躍する大橋さん。昨年から中国人妻と子どもとともに日本に居を移し、中国と日本を行き来する生活に。今回は、日本でも指摘されることの多い「中国人のマナー」について。

 中国人観光客による爆買いは一服したといわれているが、日本百貨店協会が93店舗を対象に行なった調査によると、2月の免税総売上高は約201億7000万円で、前年同月比9.6%増だった。

 国別でみると、1位はやはり中国本土で、以下香港、台湾と続く。1月、2月は中国など中華圏では旧正月の連休があるが、中国についていうと、連休は7日間。2016年は2月に集中していたが、今年は両月にまたがっており、2月は2日までの2日間だけだった。そのうえ、16年はうるう年で2月が29日まであったため、今年のほうが1日少ない。こうした条件下でありながら二桁近い伸び率なのだから、消費力はまだまだ衰えていないといっていいだろう。

 1人当たりの消費額が減少しているという指摘もあるが、日本政府観光局(JNTO)発表の推計値によると、2月の訪日中国人客数は50万9100人で、前年同月比2%増。免税総売上高の伸び率はこれを大きく上回っているので、1人当たりの消費額は拡大しているといっていいだろう。

 その恩恵にあずかっている人たちにとって、中国人はありがたい存在だが、一方でマナーの悪さに眉をひそめる人も少なくない。中国人のマナーの悪さは最近に限ったことではないが、訪日中国人数が増加すると、どうしても目につきやすくなる。

「教育がなっていないからだ」と、その理由をしつけに求める声は多い。教育の場には学校と家庭があるが、日本以上に受験競争が厳しい中国では、学校は知識を詰め込む場であって、道徳や自立心を養うといった観点は軽視されがちだ。たとえば日本で給食を残せば、先生に厳しく咎められるが、中国では問題視されないし、それに自分たちで配膳したり片付けたりする必要もない。そもそも少し前までは、生徒と教師が一緒に昼食を取ることもなかったという。

 そうなると家庭でのしつけが重要になるが、ここにも問題がある。ただし中国人の名誉のためにいうと、親が必ずしも悪いわけではない。むしろ中国のレストランで食事をしていると、子どもを怒鳴りつけている親を目にすることは少なくない。問題は、別のところにあるように思う。

おばあちゃんっ子が多い中国人

 女性の社会進出が進んでいる中国では、夫婦の共働きが一般的だ。それも日本のようにパートのような働き方は一般的ではなく、正社員として働くことが多い。では子どもはどうするのかというと、自分か夫の両親に見てもらうのだ。

 それは、親が近くに住んでいる場合だけに限らない。地方から出てきている夫婦は、子どもを故郷の両親に預け別居しているケースも珍しくない。中国人の多くは、おじいちゃんっ子、おばあちゃんっ子であり、ここにまず問題がある。中国人は、孫に非常に甘いのだ。

 一人っ子政策が長かったため、ひと家庭における孫の数は昔より少なくなっている。それが、孫への甘やかしに拍車をかけている。孫が間違ったことをしていても厳しく叱ることができないし、孫が欲するまま無尽蔵におもちゃなどを買い与えてしまう。

 以前、中国人である妻が息子を叱りつけていたら、息子が泣いてしまった。それを見て義母まで泣き出したというのだから、理解に苦しむ。一事が万事こうなので、孫を躾けられるわけがないのだ。こうしてわがまま放題の人間が増殖していくことになる。

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