中国の女子大生の性に関する知識は乏しい

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 学歴社会の中国にあって、最高峰に位置する北京大学。まさに将来のエリートが通う大学ではあるが、そんな受験戦争を勝ち抜いてきた女子大生たちに、ジャーナリストの西谷格氏が性体験を直撃した。

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「男性とは手をつないだこともない(20歳、中国文学専攻)」

「2年ほど付き合っている彼氏がいるが、キス以上はしていない。セックスするのはなんだか怖い(25歳、環境学専攻)」

「二人の思い出作りのために、結婚するまで初体験はとっておきたい(22歳、情報技術専攻)」

「勉強が忙しくてそんな暇はなかったし、今は自分の研究に集中したい。彼氏やセックス経験の有無は、それほど重要なことだと思っていません(24歳、地理情報システム専攻)」

 などと答える人がほとんどで、全体的に驚くほどウブだった。北京大学のキャンパス内でも、20人余りの女子大生にアンケートしたが、セックス経験者はわずか3人しか見つからない。時折強い北風が吹きつける冬の北京で、自分はいったい何をやっているのか、とむなしくなった。

 中国では近年まで、男女2人でホテルの部屋を借りるにはフロントで「結婚証明書」の提示が義務付けられ、結婚するまで事実上セックス禁止という世の中だった。2000年代以降も、学生同士が婚前交渉した結果、大学を退学させられたというケースもあった。

 また、大学は基本的に全寮制で、学生はキャンパス内にある4人部屋などで生活している。セックスするにはホテルに行くしか選択肢がなく、男女が二人きりになれる場所が限定される。

 性に関する知識も乏しい。政府機関「中国計画生育協会」が2015年に中国全土の大学生約2万人を対象に行った「大学生の性と生殖健康に関する調査報告」によると、「性教育の授業を受けたことはありますか?」との質問に対し、「ある」と回答したのは男女合わせて56%だけ。31.4%の回答者が「マスターベーションは健康を害する」と誤解していることからも、性知識の浅さが読み取れる。

 日本では1960年に出版された謝国権の『性生活の知恵』が、性技を学ぶ情報源の嚆矢としてベストセラーになったが、中国では同様の書籍は見当たらない。ネット上でも、日本のように図解入りで丁寧に説明したものはない。性を楽しめるか否かは、その国の文化水準を表すとも言える。世界第二の経済大国となった中国も、この点に関しては発展途上にありそうだ。

 実際、北京大学の女子大生からは、こんな声が聞かれた。

「今の彼は童貞だったから、最初にやり方が分からず緊張してしまい、4回ぐらいは添い寝だけで終わった。その時はすごく恥ずかしそうにして、自分を責めていました。5回目ぐらいでようやく最後までできました」

 ちゃんと避妊はしているのかと聞くと、

「外に出してもらってます。コンドームを使うのは嫌がるし、私も気持ち良くないので……。妊娠しないのはラッキーとしか言えないですね。もしも妊娠したら、堕ろすしかありません」

 というから、何だか危うい。彼女に限らず、中国の若者はコンドームを付けずことに至るケースが多いと聞く。性情報の乏しさは、性病の蔓延を招きかねない。経験の浅い彼とのセックスは、テクニック不足が気になるという。

「彼は気持ちよさそうにしているんだけど、私は正直あまり満足してない。もう少し教えてあげなくちゃ」

 13億人の中から選ばれた最高頭脳の持ち主たちも、性生活については勉強中なのだった。

※SAPIO2017年5月号