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■どんなクルマ?

1997年のV70XCから続くラギッド・モデル

ワゴン・モデルをベースに、最低地上高をわずかに拡大することで、より高い機能性をカスタマーに提供する。ボルボがこのような新しいコンセプトで、クロスカントリーを意味する「XC」の名を掲げたモデルを、初めて市場へと投じたのは1997年のことだった。当時のV70のラインナップに誕生したXCは、ベースとなるV70がそもそも持つ多用途性を、さらに魅力的なものとするモデルとして、カスタマーから高い評価を受けた。ちなみにこの時点で、ボルボは自身のプロダクトにSUVをラインナップしていなかったが、XCの名は後にSUVシリーズへと継承され、そもそものXCたるワゴンベースのハイト系モデルには、改めて「クロスカントリー」の名が与えられたのである。

今回試乗したのは、ボルボの最新フラッグシップワゴン、V90のラインナップに新設定された、「V90クロスカントリー」。日本仕様はT5 AWDとT6 AWDのそれぞれに、モメンタムとサマムという2つのグレードが用意される合計4モデルのラインナップ。試乗車はT5 AWD サマムだった。

まずは簡単に、このモデルの成り立ちを解説しておこう。直接的な華やかさではなく、機能美というもので見る者の目を楽しませるスカンジナビアン・デザイン。基本となるV90のエクステリア・デザインは、まさにその象徴的な例ともいえるが、前後のスキッド・プレートやフェンダーなどの独自のディテール、そしてV90に対してプラス55个箸覆襦210个虜把稈肋綛發鯑世織ロスカントリーのエクステリアは、さらに魅力的なフィニッシュだ。同じ最新のV90であっても、クロスカントリーをチョイスすれば、ライフ・スタイルはさらに楽しく、魅力的なものに変化するだろう。サイズやデザインから、SUVを手に入れることに躊躇していたカスタマーでも、このクロスカントリーならば抵抗はないだろう。

■どんな感じ?

エレガントなエクステリアと秀逸なインテリア

キャビンへのアクセス性は、クロスカントリーではないV90のそれと、ほぼ変わらない。最低地上高が拡大された分、シート位置も高くなり、むしろより自然な姿勢で乗降が可能になったと考えるべきか。ドライバーズ・シートからの視界もV90と感覚的には変わらず、しかしながら厳密には着座位置の高さは、視界の向上に少なからず貢献しているはずだ。インテリアのデザインも実に洗練されている。

センター・コンソールには大型のディスプレイが備えられており、それがインテリア・デザインの秀逸さとともに、現代を生きるクルマとしての新鮮な感覚を強く醸し出している。キャビンの居住性、そしてラゲッジルームの使い勝手にも不満はない。さすがはワゴン作りには長い伝統と実績を持つボルボの作だ。

フロントに搭載されるエンジンは、2ℓ仕様の直列4気筒ガソリン・ターボ。さらに高性能なT6 AWDには、同じ2ℓ直列4気筒ガソリンで、過給システムをターボ+スーパーチャージャーとしたエンジンが搭載されるが、最高出力、最大トルクは、T5でも254ps、35.7kg-m。T6ではこれが320ps、40.8kg-mへと高まる。組み合わせられるミッションは8速AT。駆動方式は車名にも示されるとおりAWDで、必要時には後輪側に最適なトルクを伝達する前輪駆動主体型のシステムが与えられている。

オフロード性能もアップ

高い機能性とともに、さらなる力強さを感じさせるようになったエクステリア・デザインから走りへの期待を高め、さっそくV90クロスカントリーのステアリングを握る。センターコンソール上のセレクター・レバーの後方には、走行モードを変更できるロータリー・スイッチが備わるが、クロスカントリーではオフロード・モードが用意されているのが特徴だ。

今回の試乗では残念ながら本格的なオフロードへと足を踏み入れることはなかったが、このモードを選択すれば、パワートレインはオフロード走行のために制御が最適化される。さらにヒル・ディセンド・コントロールなど、V90クロスカントリーには、本格的なオフロード・モデルにも匹敵する装備が備えられ、当然の結果として行動範囲は大きく広がる。

上質な快適性を持つ走り

フロントに搭載される2ℓターボ・エンジンは、1500~4800rpmで最大トルクの35.7kg-mをフラットに発揮させるセッティング。実用域ではほぼ最大トルクが得られているということになるから、実際の走りでもエンジンのパフォーマンスに不満を感じる場面は少なかった。組み合わせられる8速ATが巧みな制御を見せてくれたこともまた、この好印象の大きな理由。「ドライブ-E」と呼ばれる最新世代のボルボ製エンジンは、どれも実用域での扱いやすさでは魅力的な仕上がりを見せる。

そしてさらに感動的だったのは走行中の静粛性。静粛性ではセダンに対して、若干のハンデを背負うことが常となるワゴン・ボディだが、このV90は驚くほどに走行中の室内は快適だ。それが走りに快適性とともに上質感を与える。V90クロスカントリーの車内で過ごす時間、それはドライバーとしても、そしてパッセンジャーとしても、まさに至福の時間だ。

高重心とは言え不安はまったくなし

ベースのV90に対して、最低地上高を55亞搬腓垢襪燭瓩法XC90からコントロール・アームを移植するなど、さまざまなモディファイが行われたクロスカントリー。実際にそれをドライブしても、重心が高まったことによる不安は、ほとんどそれを感じることがなかった。ドライブ・モードは前で紹介したオフロードのほかに、エコ、コンフォート、ダイナミック、インディビジュアルが用意されるが、コンフォートでもサスペンションの動きには十分な節度があるし、ダイナミックを選んでも、なおその乗り心地は快適に保たれる。前後のタイヤは19インチとなるが、これも走りのバランスにはベストな設定だろう。

■「買い」か?

ライフ・スタイルを拡大してくれる存在として

世界最高レベルの安全装備や、将来的な完全自動運転に向けてのステップとなる運転支援システムの充実も、またこのV90クロスカントリーでは大きな魅力だ。多くのライバルが存在するプレミアム・ワゴン市場の中でも、その美しさと先進的な装備、そしてワゴンとしての機能性でライバルを圧倒する存在だったボルボV90だ。クロスカントリーはそれに加えて、さらに行動範囲とライフ・スタイルを大きく拡大してくれる可能性を秘めたニュー・モデル。市場での注目度は、これからさらに高まりそうだ。

ボルボV90クロスカントリーT5サマム

■価格 7,540,000円 
■全長×全幅×全高 4940×1905×1545mm 
■ホイールベース 2940mm 
■乾燥重量 1850kg 
■エンジン 直列4気筒1968ccターボ・ガソリン 
■最高出力 254ps/6500rpm 
■最大トルク 35.7kg-m/1500-4800rpm 
■ギアボックス 8速オートマティック 
■サスペンション ダブル・ウィッシュボーン / マルチリンク 
■ブレーキ 4輪ベンチレーテッド・ディスク 
■ホイール+タイヤ 7.5J x 19 + 235/50R19 
■燃費(JC08モード) 12.9km/ℓ