<先進国よりはるかに高額のパスポート発行手数料の一部は、任期が切れても大統領の座に居座るカビラ大統領の懐を肥やすために使われている可能性がある>

パスポート発行手数料が185ドル(約2万円)――一人当たりの年平均所得が456ドルのコンゴ(旧 ザイール)では手が出ない金額だ。アメリカやイギリスでも100ドル前後のものが、なぜこんなに高いのか。もちろん、そこにはウラがある。

ロイター通信の調査によると、パスポート発行料の大半は、アラブ首長国連邦(UAE)など海外に拠点を構える会社に流れていた。コンゴのジョセフ・カビラ大統領が所有する会社とみられている。

2015年11月、コンゴ政府はベルギーのセムレックス社に生体認証技術を使った新しいパスポートを発注。新しいパスポートの発行手数料は、それまでの100ドルから185ドルに跳ね上がった。世界でも有数の、高価なパスポートだ。

ロイターによれば、185ドルのうちコンゴ政府に納められたのはわずか65ドル。残り120ドルのうち12ドルは首都キンシャサにあるパスポートの管理会社に、48ドルはセムレックスに、60ドルはマキー・マコロ・ワンゴイという人物が所有し、湾岸諸国に拠点を置くLRPSという会社に支払われる。

【参考記事】コンゴのデモ弾圧は、数百万人が死んだ内戦再燃の前触れだ

セムレックス、LRPS、カビラ大統領のいずれも、ロイターの調査に回答せず、セムレックスからは本誌の電話にも返事がない。

企業記録によると、ワンゴイはカビラの親族と共にいくつかの会社の株主になっている。このうち2社でワンゴイはマコロ・ワンガイ・カビラの名前を使っており、2016年12月のブルームバーグの調査で、カビラ大統領の姉妹と判明した。

このことが発覚すると、コンゴの主要野党は、4月7日にカビラが指名したブルーノ・チバラ首相に対し、パスポート代金の使途を明らかにするよう要求した。「チバラはまず身の潔白を証明すべき。話はそれからだ」と、野党連合の指導者、フェリックス・チセケディは言った。

【参考記事】コンゴを引き裂く2つの殺戮部隊

権力の座に居座る大統領

カビラは2016年、憲法が規定する2期の在任制限を迎えたが、予定されていた総選挙の実施を拒否し、政権の座に居座った。以来コンゴでは反政府武装勢力と政府軍の間で衝突や犠牲が相次いでいる。

4月初めにも、コンゴ中部の中央カサイ州で集団墓地が見つかっている。国連幹部の話によると、集団墓地の数は全部で23に及ぶ。中央カサイ州とその周辺では昨年、カビラ大統領に反発する武装勢力が政府軍と衝突し、国連によると400人以上が死亡した。

【参考記事】コンゴ「武器としての性暴力」と闘う医師に学ぶこと

カビラ政権は有権者登録名簿の更新が終わる2017年末までには選挙を実施するとしているが、準備に進捗がないことから再び与野党の緊張が高まっている。

コナー・ギャフィー