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●社会人の健康を考える2つのケア
「働き方改革」というかけ声をよく耳にするようになった。日本は高度経済成長時代より、“モーレツ社員”という言葉に象徴されるように、長時間残業をいとわない就業スタイルが浸透していた。だが現在、このスタイルによる歪みが噴出している。

こうした歪みを少しでも解消しようと、政府は対策に乗り出している。そのシンボルともいえるのが「プレミアムフライデー」だろう。これは、毎月最終週の金曜日には15時で仕事を切り上げ、飲食やショッピング、あるいは土日の旅行の準備に充ててもらおうという施策だ。

残念ながら、「月末の金曜日に業務を減らせるわけがない」「飲食や旅行にまわせるお金がない」といったビジネスパーソンの声をよく耳にする。プレミアムフライデーは今年2月から始まった施策だが、早くも“空振り”の様相をみせている。

確かに就業時間を短縮することは、ビジネスパーソンの負担を軽減するひとつのアプローチだろう。だが、本当に必要とされているのは“身体と心”のケアだ。そうしたビジネスパーソンの悩みを、チャットでより手軽に解決できるサービスを行っているのが「iCARE」だ。

○健康がビジネスパーソンの能力に必要

iCARE 代表取締役 CEO 山田洋太氏は、「働く人にフォーカスして、その方々の健康を高めることで、結果的に日本の生産性を高めていきたい」と話す。身体や心の悩みを抱えた状態では、各ビジネスパーソンが持ちうる能力を発揮できず、生産性になんらかの影響が出るということだ。

山田氏は、こうした状況を防ぐために2つのアプローチでビジネスパーソンをケアしなくてはならないと指摘する。

ひとつは「カンパニー・ケア」。これは文字どおり、企業が従業員に対して行わなくてはならないケアを指す。健康診断やストレスチェックはもちろんのこと、残業時間の管理、産業医との“パイプ”といった役割だ。

そして、こういった下地があることを前提に、「セルフ・ケア」が大切になるという。これは“自分で自分の健康を管理する領域”だが、各個人が実践するのは、かなり難しいと山田氏は指摘する。「お酒も飲みたければ、タバコも吸いたい。夜にはラーメンを食べよう」といった欲求は、なかなか個人では抑制できない。

アメリカでは、「このままの食生活では『○○ガン』になりますよ」と指導されても、食生活・健康行動を改めない人がほとんど、という研究結果が出ているのだそうだ。

●手軽な相談でビジネスパーソンに健康を
iCAREでは、このカンパニー・ケアとセルフ・ケアの双方をサポートする体制を整えている。

特にカンパニー・ケアの領域においては、ここ数年、ある問題が起こり始めている。それは、ベンチャーの起業が非常に盛んになっていること。日本の社会全体から考えれば、大きなイノベーションを生むかもしれないベンチャーが活発化していることは、歓迎すべきことだ。ただ、こうしたベンチャーが急成長を遂げることにより、労務管理が追いつかない状況が生じる。しかもベンチャーは、一人ひとりに与えられる役割が多くなる傾向にあり、結果、残業が増えるという状況になりやすい。

山田氏は、「50人以上の規模になってくると、労務管理に歪みが出やすい」と話す。たとえば、RIZAP。ここ数年で急激に店舗が増えスタッフも急増したが、こういった急成長企業では労務管理が追いつかないケースも目立つという。急成長企業のなかには健康診断の手配までリソースが完備できず50%程度だった受診率が、iCAREのサポートによって、100%に近い状態に引き上げることもできた事例があるという。

○行動を起こさないビジネスパーソン

カンパニー・ケアだけではない。セルフ・ケアにも問題がある。それは、各個人が自分の健康について相談する“チャンネル”が少ないということ。企業が産業医を選任していても、「就業中に相談する時間がない」「人事に相談するのがためらわれる」といった理由から、健康状態に異常があっても行動を起こさない人が多いそうだ。

そうしたセルフ・ケアのチャンネルのひとつとして、チャットによる健康相談を開設している。チャットならば、仕事の合間に“健康の悩み”を書き込み、その相談に同社のメディカルスタッフがアドバイスを送る。わざわざ、面会の時間を決めたり、病院に行ったりしなくて済む。

この“手軽さ”が重要で、仮にめまいや動悸といった、普段なら見過ごしてしまうような症状について相談しやすい。「めまいや動悸といった体の異変は、放置しておくと『ウツ』といった心の病気につながりやすい」と、山田氏は指摘する。

さて、ビジネスパーソンが悩み追い込まれると、最後に行き着く先が“自殺”ということになりかねない。実際、iCAREにも昨年に何件かそうした相談があったそうだ。ただ、カウンセリングにより最悪の事態にはならなかった。同社は、基本的には個人のパーソナリティを尊重し、相談者や相談内容は一切ほかに漏らさないが、ある一定の“線”を超えたと判断した際、相談者の所属企業や医師と相談し、トータルで救っていくのだという。

(並木秀一)