「ひよっこ」18話「まずは君が落ち着け」の松尾諭の新名フレーズ「幸せならケツたたこう」

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連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第3週「明日に向かって走れ!」第18回 4月22日(土)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:福岡利武 視聴率:20.5%(ビデオリサーチ社調べ 関東地区)前日比↑


18話はこんな話


実お父さん(沢村一樹)が東京で行方不明であることを知ってショックを受けた、ちよ子(宮原和)が、バスの車掌・益子次郎(松尾諭)に連れられて家に戻ってきた。

「昔でいう関所みたいなもんだ」


益子車掌と大人の話をするため、子供ふたりは押入れに入れられる。
気を使って、押し入れから離れた場所で話するわりに、車掌の声がいやにでかい。このひと、あけすけな性分のようだ。美代子(木村佳乃)が福島に行くと偽って東京に行ったときも、みね子(有村架純)に躊躇なくほんとうのことを話してしまっていたのも、致し方なし。
「車掌なんて」と謙遜すると、
「んだな」と茂(古谷一行)にすんなり肯定されてしまい、
慌てて「そんなことない、大事な仕事だよ」と言い直す益子。
“村と外の世界をつなぐ役割” 「昔でいう関所みたいなもんだ」であるという自覚を語る。
「おれはずっとバスの中だけどな。どこにもいかねえでずっと村の人の出会いを見てきたんだ」
「シン・ゴジラ」の名セリフ「まずは君が落ち着け」もまだまだ記憶に鮮やかな松尾諭さんですが、
「ひよっこ」でもいいセリフ出ました。
車掌さんが外に出たいのか出たくないかはわからないが、たとえ出たくても出ることなく、バスに乗り続け、村の時間の流れと歴史を見ているのだ。こういう役割のひとは孤独だけれど大事な仕事だ。
「幸せならケツ叩こう」と歌い跳ねながら帰っていく、いいショットまでもらって、作り手に愛されていますね、松尾さん。けっこう高く跳ねていました。

「私、東京に働きに行こうと思う」


車掌さんが帰ったあと、みね子は、母と祖父に決意を語る。

「もしお正月にお父ちゃんが帰ってこなかったら、帰ってこなかったらね、私、東京に働きに行こうと思う」
うわー、悲しい。村が大好きなのに、家族のために自らを犠牲にしようとするみね子。
「東京に行ったらお父ちゃんみつかるかもしれないし」と、お父さんを探したいという気持ちも本音だろう。
「決めたんだ、私」と自分に言い聞かせるように何度も繰り返す。
「でもさ、お父ちゃん、帰ってくるよね、ね」と言い、さらには「おなかへったね」と笑いながら、話題を切り替える。みね子、大人の階段のぼってますなあ。

「もう少し寝っと、お正月です」


そして、冬。
霜柱きらきら。綿入れに長靴。ぐるぐるマフラーのみね子。
素手で農作業、って寒くないのかしら。

お正月にお父さん、帰ってきたらいいのに、と心から祈る気持ちですが、予告で東京に行っているので、
・・・(涙)。

村と外の世界をつなぐ


村と外の世界をつなぐバスの道で思い出すのは、脚本家の岡田惠和が、前回書いた朝ドラ「おひさま」(11年)。
主人公(の晩年を演じる若尾文子)が住む安曇野へ、思い出話の聞き手の斉藤由貴が東京から車に乗って通う。その一本道が過去から現在の歴史の道のようで、昔の戦争のお話がけして他人事ではなく、いまとつながっているように思えた。今回も、東京と奥茨城村がちゃんと地続きであることを車掌のセリフが物語っていた。

オリンピック後記


近藤正高さんが「朝ドラとオリンピック」についての興味深い記事を書かれました。
1966年「おはなはん」にもオリンピックが出てきます。ドラマと密接に関係はないですが、ドラマの終盤、登場人物が開会式や聖火リレーを見ていて、高齢のおはなはん(樫山文枝)は、テレビを見ているときに具合が悪くなって倒れてしまうという流れです。NHK公開ライブラリーの「アンコールおはなはん」129話です。
「おはなはん」は、シリーズ6作目にして、いまの朝ドラの原点を確立したと言われる作品。「ひよっこ」のオリンピック描写は、朝ドラの基本へのオマージュだったのかもしれません。
「木俣冬)