在韓米軍が6月、朝鮮半島有事に備え、韓国に滞在する米国籍の民間人を海外に避難させる訓練を実施するという。聯合ニュースが23日、韓国軍関係者の話として伝えた。

吹き飛ぶ韓国軍兵士

訓練は定例のものであるというが、現在の情勢が情勢だけに、これ自体が関係国の心理を不安にさせる可能性がある。今回の訓練は朝鮮半島の緊張が高まっていることを受け、より実戦的に行われる予定というからなおさらだ。

北朝鮮が5回目の核実験を実施した直後、昨年10月31日から11月3日にかけて行われた前回の訓練では、子供を含む米軍人の家族数十人をヘリコプターで京畿道平沢の米軍基地に移動させ、そこからC-130輸送機で在日米軍基地に運んだ。米軍の家族を実際に朝鮮半島の外に運ぶ訓練が行われたのは、これが7年ぶりだったという。

現在の情勢は米国と北朝鮮の両政府によるコントロールのきいたものであり、これが本物の危機に発展する可能性は少ない。より危なかったのは、2015年8月の北朝鮮と韓国の軍事危機だ。北朝鮮が非武装地帯に仕掛けた地雷が爆発、韓国軍兵士の身体が吹き飛ばされた事件が発端となったものだ。

(参考記事:【動画】吹き飛ぶ韓国軍兵士…北朝鮮の地雷が爆発する瞬間

韓国政府はこの事件について「北朝鮮による挑発」と位置付けていたが、デイリーNKジャパン編集部の見立ては違う。地雷はおそらく、兵士の脱走防止のために仕掛けられたものであり、特殊任務中の韓国軍兵士が偶然、接触してしまった可能性が高い。

つまりは偶発的な出来事がエスカレートし、あっという間にアンコントローラブルな危機へと突き進んでしまったわけだ。

そのような事態が生じた際に、膨大な数の民間人を朝鮮半島の外へ運ぶなど、いったいどこまで出来るのだろうか。

米国内ではすでにオバマ政権時代から、北朝鮮に対する先制攻撃論が頭をもたげていた。

それでも、韓国にいる米国籍の民間人を、実際に朝鮮半島の外へ運ぶ訓練が2回しか行われなかった点を見ると、やはり政権中枢で先制攻撃論が本気で議論されることはなかったものと思われる。

ということは、気になるのは今後の動向である。仮にトランプ政権が、実戦的な避難訓練を定例化させた場合、北朝鮮との対決に向けた「本気度」がにじむことになる。

だがそれは、冒頭でも述べた通り、関係国に対する心理的影響が非常に大きい。北朝鮮だけでなく、韓国や日本までが不安に包まれ、為替や株価などに少なからぬ変動を呼び起こすかも知れない。