’03年から10年で3.5倍になったアンティークコイン。リーマンショック時もほとんど値下がりしなかった(ナイト・フランク社HPより)

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近年、富裕層が買いまくっているという「アンティークコイン」。5年で10倍に値上がりする金貨もある。富裕層だけが知っている過熱する資産運用を明かす!

◆400万円が5年で10倍に!

「5年前に400万円で買った『ウナとライオン』という金貨が、持っているだけで今は4000万円になっているんです」

 そう話すのは、アンティークコインの購入から売却までを手がけるユニバーサルコインズ代表取締役社長の西村直樹氏。

「一般的にアンティークコインとは100年以上前に造られたコインを指しますが、私たちが言う資産としてのアンティークコインとは希少性の高い“レアコイン”のこと。例えば、イギリス・ヴィクトリア女王が即位したときの記念として発行された5ポンド金貨『ウナとライオン』は、たった400枚しか発行されていません。当時の貴族が持っていたコインが遺産の整理などをきっかけにこの数十年でオークションに出されるようになり、高額な値がつくようになったのです」

 最高鑑定がついた「ウナとライオン」だと、5ポンド≒700円の金貨が1億円で売買されている。なぜこれほど高額な値がつくのか。世界中の投資商品に通じ、アンティークコインにも自ら投資する内藤忍氏はこう説明する。

「最大の理由は“一点もの”であるという希少性。株式取引のような市場があるわけではなく、あくまで相対で取引され、実際に売買される値段は需要と供給で決まります。400枚しかない『ウナとライオン』はこれ以上増えないですし、むしろ売りに出す人がいなければ市場に出る数は減る一方。対してアンティークコインは、この5年で拡大傾向ですから、買いたいという人は増えている。供給が横ばい・減少のなか需要が増えていれば、価値が上がる可能性は高まります」

 欧米の富裕層の間ではアンティークコイン投資は一般的な資産運用手法として確立されているが、日本のアンティークコイン市場は5〜10年前で50億円ほど。それが今は知名度が高まり、200億円市場に拡大している。

 また、西村氏によると、アンティークコインの価値を決めるのに重要なのが「グレード」だという。

「傷が少なく、きれいな状態のコインのほうが価格は高く、コインを鑑定するPCGSとNGCという2社が0〜70でランクづけしています。この鑑定評価が高いほど、将来の上昇率も高くなりやすいでしょう」

 アンティークコインへの投資が過熱している背景には、「金融や通貨への漠然とした不安がある」と内藤氏は指摘する。

「金融緩和による低金利で、より有利な運用をしたい、国の財政赤字による通貨への不信から実物資産を持ちたい、富裕層は資産を把握されたくないなど、漠然とした不安のなかで、資産の一部をアンティークコインに換えておきたいと考える人が増えているのではないでしょうか」

◆コインの物々交換でわらしべ長者も狙える!?

 また、富裕層に受けている理由として「相続時に節税効果もあるのではないか」と内藤氏は話す。

 例えば1000万円で売買されているようなコインを相続した場合、だいたい100万円程度の価値と見なされることが多い。1億円の資産を持っている人なら、(法定相続人の人数にもよるが)だいたい300万円ほどの相続税がかかる。ところが、1億円をコインに換えてしまうと1000万円の資産とみなされ、相続税がかからないで済むことになる。

 また、値上がりして売ったら売却益に税金がかかるが、コインの場合は物々交換も可能だという。

「例えば1000万円で買ったコインAが値上がりして2000万円になったとします。このとき、2000万円のコインBを持っている別の投資家とうまくマッチングできれば、コインAとコインBを交換することも可能です。これを繰り返せば、次々と乗り換え、税金がかからずにより高いコインを入手していくことも可能なのです」(内藤氏)