リストの項目の1つ「1円でもお金を稼いでみる」はメキシコで折り紙を売って達成(田中美久 撮影)

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 皆様、こんにちは。これまで世界一周旅行記の様子をお伝えしてきましたが、遂に1年間の旅を無事に終えて、2月に日本に帰国しました。今回は、1年間の世界一周の総括をしたいと思います。世界を旅したいと考えていらっしゃる方にとって、少しでも参考になるものがあれば幸いです。

 「人生は1度きり。今しかできないことがある」と思い立ち、新卒で入った会社を4年で退職。1年をかけて世界を周遊し、合計29カ国・83都市を訪れました。

 かかった費用の総額

 世界一周でかかった費用は、準備費用と旅期間中の費用を合わせて、総額で230万円です(準備費用55万円+旅中の費用175万円)。私の旅は基本的に節約型で、宿は相部屋にしたり物価が高い国では自炊したりしていました。しかし、時には贅沢をしたり、自分にとって優先順位の高い部分には惜しまずお金を使っていました。私のような旅のスタイルですと、女1人旅1年間で220〜250万円ほど用意すれば、さほどストレスなく旅行が出来ると思います。

 

オーストリア ハルシュタットの絶景(田中美久 撮影)

 持つと便利な物

 持参して特に良かった物は、以下のとおりです。

 1.「モバイルバッテリー」。長距離の移動時・終日出歩く日・停電が頻発するエリアなどで、スマートフォンの充電が切れた際に大活躍しました。

 2.  釣具屋で購入した「折りたたみバケツ」。シャンプーやリンスなどを入れてお風呂セットとして使いました。

 3. コストパフォーマンスの素晴らしい「ユニクロ製品」。寒い場所ではウルトラライトダウンやヒートテックが欠かせません。ブラキャミソールのエアリズムは速乾で下着として利用しました。

 4.「赤ちゃんのお尻拭き」。ウェットティッシュとして利用しました。1枚のサイズが大きめで容量も多いので長持ちします。だいたいどこの国でも売られているので、買い足しも可能です。

 5.「だしの素」。海外で調達することが困難なこの調味料は、日本食が恋しくて自炊をする時に重宝します。懐かしい日本の味を再現できて本当に救われました。

折りたたみバケツには洗面グッズを入れて使用(田中美久 撮影)

 リスク対策

 女性で1人旅をしていると「危なくないの?」とよく聞かれます。私自身は、幸いにもケガや病気、盗難などの大きなトラブルに一度も見舞われることなく、無事帰国することができました。

 客観的に自分の旅を分析して、今回平穏に旅が出来た理由は、「運が良かった」ということにつきます。どれだけ注意を払っていても、トラブルが起きる時は起きるもの。私に関してはとにかく運に味方され、1年間出会う人にも恵まれ続けました。 そしてもう1つの理由は、自身が「リスク対策を怠らなかった」ことだと思います。リスクの対策として、以下のことに特に気を付けました。

 1. 健康管理。夜更かしをしない、衛生面に不安のあるレストランや屋台は避ける、無理のない余裕のあるスケジュールで行動することなどを心がけました。

 2. 治安の悪いエリアでは、「18時頃までには宿へ帰る」「街歩き中はリュックをお腹に回す」、「外でスマートフォンを使う際は細心の注意を払う」「値段が高くても安全性の高い交通機関を使う」などを心がけていました。

 3. 情報収集の徹底。定期的に「情報収集のためだけの日」を確保し、宿や次の場所へのアクセスや治安、交通機関など入念に調べてから移動しました。私はお酒が弱いので、トラブル回避のために「お酒は外で飲まない」ということを心がけました。

 4. 盗難対策も重要です。「スマートフォンに手帳型カバーを付ける」というのは、盗難やスリ対策にお勧めです。盗難に遭う可能性が高いのはApple製品です。私もiPhoneでしたが、カバーを付けていたため、盗難リスクをある程度回避できたと思います。

 5.「嫌な時ははっきりNOと言う」。日本人は基本的に優しくて、愛想の良い方が多いと思います。世界的にも日本人のそういった部分は高く評価されていますが、そこに漬け込んでこようとする輩がいることも事実です。小柄なアジア人女性はどうしてもなめられがちですが、ここは愛想を捨ててハッキリと「NO!」と言って追い返してやりましょう。

 無事に生きて帰ること、これは絶対です。女性1人での旅となると、より気を張って慎重な旅を心がける必要があります。世界には日本よりも危険な場所が多いのですが、しっかりとリスク対策をすれば未然に防げるトラブルがほとんどです。

 

スマートフォンには手帳カバーを付けると盗難防止になる(田中美久 撮影)

 準備にやりたいリストを作成

 

 私の旅に欠かせなかった重要な存在があります。それは「世界一周でやりたいことリスト」。出発前の1年以上前から少しずつ書き溜めていたリストです。リストには「キューバでサルサを踊る」、「グアテマラでスペイン語留学」、「1円でもお金を稼いでみる」、「アルプスの山でハイジの気分に浸る」、「ボランティアに参加する」などなど。バランスを心がけて色んな要素を詰め込んだ88項目を用意していました。

 各国で具体的なテーマや目標を持つことにより、刺激や学びが多くなって中身の濃い日々を送ることができました。リストは、何かに挑戦する時に一歩踏み出す勇気をくれたり、後押ししてくれる存在です。最終的に、リスト88項目中58項目を達成しました。リストを達成していく過程も楽しく、個人的にお勧めです。

 旅を通じた成長

 世界一周から帰国した今、自分が感じている変化についてお話します。

 1、語学力のアップ

 グアテマラでのスペイン語留学と5カ月半の中南米生活を経て、簡単なスペイン語を話せるようになりました。英語力についてもある程度レベルアップできたと感じます。語彙力自体はさほど増えていませんが、話す内容のレベルが上がりました。旅で出会った人たちと、英語で様々なことを語りました。旅のこと、自分のこと、日本のこと、言葉のこと、人生のこと、恋愛のこと、宗教のこと。戦争と平和について、また虐殺や領土問題など。英語力が上がったと言うより、経験が増えたため、会話の幅が広がったと言う方が正しいかもしれません。

 2.自分のことをより深く知る機会になった

 旅をしていると、必然的に自分と向き合う時間が増えます。想定外のことが起こった際には、自分の意外な一面を垣間見ることもあります。

 1カ国目のメキシコでは相部屋生活が続きました。人との出会いはとても新鮮で楽しかったのですが、そんな生活が1カ月以上続いた結果、体調を崩しました。原因は相部屋生活における気疲れとストレスだったようです。新しい出会いは好きだけれど、「自分は一人の時間がないと疲れるタイプだ」ということに気付き、それ以降は相部屋とシングルルームを組み合わせるようにしました。

 また、長期間1人で旅をしていても全く平気だったことから、自身の「精神的タフさ」も自覚しました。このような新たな自分の一面を知ることができたのは、今後の人生においてプラスになると思っています。

 3.固定観念を払拭することができた

 私の固定観念とは、例えば「黒人は怖い」「アフリカは危険」などです。私が持っていた数々の固定観念は良い意味で打ち砕かれました。アフリカは国を選べば安全に旅をすることができましたし、私が出会った黒人は、皆ピュアで素直で優しい人ばかりでした。私が行ったのは世界のほんの一部ですが、現地の様子を自分で見聞きしたことで、実感を持って自分の言葉で語ることができるようになりました。

 

ウガンダで出会った子供たち ピュアで笑顔が弾ける(田中美久 撮影)

 4.世界の歴史や情勢について以前より興味を持つようになった

 「机の上の勉強」と「現地の様子を実際に見て学ぶ」のは、雲泥の差があります。例えばルワンダの大虐殺については元々全くの無知でしたが、現地に行き悲惨な現状を見聞きし、胸を痛めながらも多くのことを学ばせてもらいました。訪れた場所、友人が住む国など少しでも自分と繋がりができたことにより、興味のアンテナが増え、結果的に歴史や情勢が以前よりも気になるようになりました。旅に出て自分があまりにも無知だということを痛感しました。これを機に、積極的に勉強していきたいと思っています。

 5.母国である日本のことについて深く考えるようになった

 たった1年間ではありましたが、その期間ずっと日本を離れていたので、日本を客観的に見つめて考える機会がたくさんありました。

 「日本は素晴らしい」と思うところは沢山あります。思いやりのある人々。バラエティ豊かな美味しい和食。繊細で奥ゆかしい伝統文化。おもてなしのレベルの高さはきっと世界一だと思います。和と協調性を重んじる日本社会では、一致団結した時に発揮される力が素晴らしい。勤勉で真面目な国民性。そんな日本人が、次々に高品質で素晴らしい商品を生み出す。世界中どこへ行っても日本からの支援を目にしましたし、感謝の言葉も多く聞きました。日本人であることを心から誇りに思いました。

 一方で、海の上にポツンと浮かぶ島国だからこそ、仲間意識が強く閉鎖的・排他的な部分がある。移民が少なく、日本語のみで生きていけるためかもしれません。世間の目を気にし過ぎて、普通でありたいと思うが故、一人ひとりの個性がぼやける。情報や物が溢れて選択する自由も余裕もある国なのに、本質的な物を見失いがちで、結果的に精神的豊かさからむしろ遠ざかっているようにも思えます。

 日本に対する思いは色々とありますが、これから日本で生きて行く上で大切にしたい大きな気付きとなりました。

 6.世界一周をして自信がついた

 私にとっての世界一周の位置付けは、人生を楽しむ上での1つの手段でした。その手段は結果的に私の人生における最大のネタとなり、引き出しとなり、自分軸というのをより強く太くしてくれたように思います。世界一周の夢にかける思いを貫き通し、無事達成できたこと。そしてその旅で得た数々の素晴らしい経験は、私の中で絶対的な自信に繋がったと感じています。きっとこの自信は、この先の人生において心強い存在になってくれると確信しています。

 以上、「世界一周で変わったと思うこと」でした。正確に言うと、「変わった」のではなく「変わるきっかけ」を得たのだと思います。結局変わるか変わらないかは自分次第です。

 世界一周で得た沢山の気付きをどう活かしていくかが一番肝心なのだと思っています。

 人も文化も食も宗教も景色もみんな違う。そしてそのどれもが素晴らしい。違うって本当に面白いことなのです。知れば知るほど深みを増す色とりどりの世界は本当に美しかった。

 共に語って、笑って、悩んで、戸惑ったりして、旅の途中でできた様々な友人たち。彼らは私の一生の宝物です。

 ここからが、また新たなスタートです。世界一周でインプットしたことをどのくらいアウトプットできるのか。全ては自分次第です。

 最後に、1年間、私の旅の報告を読んでいただいた読者の皆様に、感謝申し上げます。さて、次はどんな楽しいことをしましょうか。すでにワクワクしています。

グアテマラでのスペイン語留学(田中美久 撮影)

(田中 美久)