世界国別対抗戦で3大会ぶり2度目の優勝を果たした日本チーム 平昌五輪プレシーズンを締めくくる世界国別対抗戦のチーム戦で、日本は3大会ぶり2度目の優勝を果たした。上位争いは最終種目の女子フリーの結果で左右される僅差の戦いだったが、日本の若手2人が初出場ながらも「今季最高の演技」を披露して、チームの勝利に貢献する活躍を見せた。

 女子フリーの後半グループ6人は、全員がシーズンベストをたたき出すほどのハイレベルな戦いとなり、ほとんどの選手がミスのない演技だった。

 そんな中で、後半の2番目に滑った樋口新葉は、世界選手権での悔しさを晴らすように、本来のスピードある滑りから次々とジャンプを成功させてノーミスの演技を見せ、フリー日本歴代最高の145.30点をマーク。その流れと勢いに続いた三原舞依が完璧な『シンデレラ』を演じきり、樋口が出したばかりの得点をさらに上回る146.17点を叩き出した。世界でも歴代4位という高得点だ。

 結局、この2人が女子フリーでは2位と3位になり、猛追してきたロシアを振り切った。またこの女子フリーでは、世界女王のエフゲニア・メドベデワ(ロシア)が女子初となる驚異の160.46点を出し、自身が持つフリーの世界歴代最高得点を更新して1位となった。


国別対抗戦のフリーで日本歴代最高点を記録した三原舞依 この大会でショートプログラム(SP)もフリーも自己ベストを更新した三原は、持ち味の勝負強さを発揮した。安定感抜群のジャンプを軸に、演技も滑りもブレがない。五輪の団体戦にこれほどの適任者はいないと言ってもいいほど、チーム戦には欠かせない存在になったのではないだろうか。

「みなさんが頑張ってくださって、チーム日本が上位にいる中で、私が失敗して順位を下げるわけにはいかないということで、強い気持ちで最初から臨むことができたので、チーム戦は楽しかったです。

 先に滑った新葉ちゃんがノーミスですごい高得点だったので、私も続いていけるようにしたいなと思っていました」

 シニアデビューの今季は自己ベストを次々と更新するなど華々しい活躍が光った。だがこの日、日本歴代最高点の更新を記者から知らされた三原のリアクションは初々しかった。

「えっ、えっ、えっ、え〜。知らなかったんですけど、すっごくうれしいです。世界選手権で自己ベストの138点を出したので、今回は140点を目指して滑っていたんですけど、146点という高得点をいただけると思っていなかったので、本当にうれしかったです」

 幼い頃から憧れてきた浅田真央が引退を発表したが、三原の今季の活躍は、「ポスト浅田」の後継者候補として堂々と名乗りを上げるものとなった。三原が滑り終わったキスアンドクライでは、「まおちゃん ありがとう」の寄せ書きが掲げられ、一時代を築いた浅田真央へのメッセージが出場選手全員から寄せられた。

「最後のキスクラで真央ちゃんへのメッセージがあげられることは知らなかったんですけど、私がノーミスした演技後にあげてもらってうれしいです」

 彼女の「最高の演技」を、競技会から引退する浅田に贈ることができた喜びを感じていたようだ。

 一昨年12月に発症した若年性特発性関節炎という病気と付き合いながら、競技を続ける不屈の精神の持ち主は、スケートができる喜びをパワーに変えて戦っている。まだ17歳の三原にとっては過酷な環境であることは間違いないが、そんなことはおくびにも出さない。今季は怖いもの知らずの挑戦者として戦い、最後にはついにトップスケーターの仲間入りを果たした。

「昨日(21日)、たまたま地上波で『シンデレラ』をやっているのを見て、シンデレラの心の強さを改めて感じることができ、その曲を使わせてもらっている以上、シンデレラの強い心を自分で演じきらないと、という思いがあった。すてきな音楽に乗って滑れる幸せを噛みしめて今日は滑りました。

(「最高の演技はできたか?」の問いに)物語としてはこれまで、いつもガラスの靴を落としたくらい(のところまでしか演じ切れていない)と思っていたんですけど、今日の滑りでやっと最後に王子様と出会ってお城に帰るところの絵が思い浮かんだので、私の演技がみなさんに伝わっていればいいなと思います。

 プログラムが変わる来季は、『シンデレラ』とともに戦ってきた今季の経験を生かして、もっともっと強くなりたいです」

 平昌五輪シーズンを、三原はどんな気持ちで戦うことになるのだろうか。シンデレラの魂を忘れなければ、2年目のジンクスなど怖くないはずだ。

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