「ゾゾタウン HP」より

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 月末の金曜日に早めの退社を促し、消費喚起を図る「プレミアムフライデー」(プレ金)は、2月24日に1回目、3月31日に2回目を終えた。

 プレミアムフライデー推進協議会がまとめた第2回目の取り組み状況調査によると、社員に早めの退社を呼びかけた企業は330社・団体で、初回の136社・団体の2.4倍になった。

 プレ金に参加した人に過ごし方を尋ねたところ、「外食・お酒を飲みに行った」(47.5%)がもっとも多く、「家でゆっくり過ごした」(33.3%)が2位だった。

 プレ金に取り組んだ飲食店は、それなりに盛り上がったようだが、流通各社は期待したほどの成果はなかった。

 大手百貨店の3月の売上高(既存店ベース)は、気温が上がらず、春物衣料は不振だったが、富裕層による高額品消費やインバウンド(訪日観光客)の免税売上高はおおむね堅調に推移したことによって支えられた。

 高島屋は前年同月比2.4%増と2カ月ぶりのプラスとなった。免税売上高は、化粧品などの消耗品と衣料雑貨が前年比50.8%増と好調だったことが底上げにつながった。宝飾品も10.5%増と伸びた。

 阪急阪神百貨店は化粧品やハンドバッグが牽引し、1.1%増と4カ月連続のプラス成長になった。免税売上高も4カ月続けてプラスだった。

 大丸松坂屋は0.2%増。春物衣料の低迷を27.2%増となったインバウンド売り上げが補った格好だ。親会社のJ.フロント リテイリングは0.3%減だった。

 三越伊勢丹は0.7%増。伊勢丹新宿本店と三越銀座店は爆買いの恩恵をもっとも受けた百貨店だった。それだけに、爆買いバブルが弾けた影響は大きかった。2016年2月以来、前年同月の実績割れが続いていたが、17年2月に0.4%増と増収に転じた。2月、3月と2カ月連続のプラスとなった。親会社の三越伊勢丹ホールディングスは0.3%減。郊外店や地方の百貨店が浮上してこない。

 唯一減収だったのは、そごう西武で1.4%減だった。2月の1.1%増からマイナスに転じた。婦人服が伸び悩んだ。

 大手百貨店各社は、「プレミアムフライデーは消費喚起のために継続していく必要がある」としながらも、数字で明確にプレ金の効果があったというのは難しいとの立場だ。プレ金は、消費の押し上げ効果は限定的で、経済産業省や日本経済団体連合会(経団連)が大騒ぎした割には、“空振り”といったほうが適切かもしれない。

●主力の衣料品がネット通販に食われる

 百貨店はハロウィン、バレンタインデー、ホワイトデーなどのイベントで和洋菓子の消費を喚起してきたが、主力の衣料品は大苦戦している。

 日本百貨店協会の調査によると、16年の売上高は5兆9780億円で、1980年以来36年ぶりに6兆円の大台を割り込んだ。今年に入っても水面下に沈んだままで、2月の全国百貨店売上高は既存店ベースでは前年同月比1.7%減と12カ月連続でマイナスとなった。バレンタインチョコなどの季節商品は好調で、インバウンド向けの免税売上高は9.6%増となったが、主力の衣料品が4.5%減と振るわない。

 百貨店以外の他業態に目を移せば、衣料品は不振一色というわけではない。

 衣料品ネット通販「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの16年4〜12月期の商品取扱高は32.3%増。売上高は42.2%増となった。

 株式市場の評価は正直だ。4月14日の時価総額は、スタートトゥデイが7446億円だったのに対して、日本最大の百貨店グループの三越伊勢丹ホールディングスのそれは4663億円で、1.6倍の差がある。株式市場は、ネット通販に軍配を上げた。

 米国では小売り大手の店舗の大量閉鎖が報じられている。百貨店のJCペニーは今後数カ月で全店舗の1割以上にあたる最大140店舗を閉鎖する。シアーズ・ホールディングスも、傘下のディカウントストアのKマートを108店舗、百貨店シアーズを42店舗閉鎖した。全米で百貨店を展開するメーシーズも閉鎖予定の100店のうち68店舗を年内に閉め、1万人削減すると伝えられている。

 米国人の消費スタイルがオンラインへと移っていることが百貨店の不振の原因だ。アマゾン・ドット・コムをはじめとするネット通販で商品を購入する人が増えたということだ。

 日本では、米国とまるっきり同じことが、数カ月遅れで起こることが多い。日本には81社、234店(17年2月末時点。日本百貨店協会調べ)の百貨店店舗があるが、ネット通販に市場を奪われて、数年後には店舗数が半減するのではないかとの厳しい見方がある。

 プレ金程度の消費喚起策では、百貨店が集客力を取り戻すことはなさそうだ。
(文=編集部)