21日に本記事でもお伝えした、乃木坂46アンダーライブ東京公演が、4月22日に千秋楽を迎えた。

【初日の様子は】乃木坂『史上最弱アンダー』が魅せた最高のライブ

 最少人数、逆風の中、その内容のよさは、SNSや口コミであっという間に拡散され、最終日となった22日は土曜日だったこともあり、チケットは完売。それでもグッズや音漏れ目当てに東京体育館には、会場に入りきれなかったファンがあちこちで見かけられた。

 そもそもが、「アンダー」ということで、通常、メディア露出が少なく、個人仕事も少なく、知名度や人気も選抜には劣るメンバーによる公演だが、それだけにこのライブにかけるメンバーの意気込みは強く、またファンも、その気持ちを受け止めて、毎回、熱いライブになるというのは、もはや常識ではあったが、今回は特別な事情もあって、危機感が非常に高かったのは確かだ。

 その辺の説明は、21日の記事を読んでいただくとして、最終日の2回目、千秋楽の公演では、前代未聞のトリプルアンコールが発生するという事態が起きた。

 乃木坂のライブでは、通常の公演のあと、アンコールがあり、それが終わると場内の照明がつき、観客はおとなしく帰るというのが基本だ。夏の全国シリーズなど、大きなライブのときには、ダブルアンコールが起こることもあるが、スタッフ側は基本的にアンコールの曲までは準備していても、ダブルアンコール用の音源までは用意していない。その辺はファンとしても理解しており、多くのファンはダブルアンコールは特別なサービスと考えている。

 この日もダブルアンコールが終わると、一部のファンは帰り支度を始めたのだが、この日の客席の熱気は、照明がついて場内アナウンスが終了を告げても席を立たせてくれない鬼気迫る迫力があった。すると、PAブース付近にスタッフが集まって協議をはじめるのが見えると、声はさらに大きくなり、ついにトリプルアンコールの『ガールズルーズ』が流れ始めると、会場は絶叫の嵐。

 見ず知らず同士のファンが抱き合ったり、握手をしたり、肩を組みあって雄叫びをあげる一方で、スタッフまでがその盛り上がりにハイタッチをしているという奇跡的な光景の中、アンダーライブ史上初のトリプルアンコールは始まった。さらに、記者が驚いたのは、トリプルアンコールが終わるや、ファンは拍手と歓声でスタッフたちに感謝の意を表したのである。

 多くのアイドルグループは、ファンと運営は、あまり仲が良くない。ファンの一部は、選抜の人選やイベントなどにケチをつけ、何かと運営の責任にしたがってクレームをつけることもある。今回のアンダーライブでも、物販が少ないとか、平日開催は地方切り捨てだとか、チケット代が高いなどという不満の声はあったわけだが、そういうクレームを吹き飛ばす内容のライブを成立させたのもまたメンバーやスタッフ、そしてファンである。

 案の定、終演後には「乃木坂のファンであることを誇りに思う」「メンバーを見て、俺ももう少し勉強を頑張る」などという書き込みが、755やTwitterといったSNSにはあふれ出した。

 メンバーとファンがwinwinの関係になること……これは、エンターテイメントの究極の理想形だろう。お客様感覚、パトロン・評論家気取りのユーザーが増えて、なかなかその形を作れないのが、今のエンターテイメント業界の最大の悩みではあるが、今回のライブは、もしかしたらそんな問題を解決する可能性を見せてくれたような気がするというのは、穿ちすぎだろうか?