ロッテ・唐川侑己【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

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伊東監督も「何の問題もない」と称賛、完封は次回登板以降に「いくようにします」

 今季初勝利のお立ち台に上がったロッテ唐川の第一声が振るっていた。「今日ダメだったら2軍かなと思って」。マリンブルーの「マリンフェスタユニフォーム」で埋まったスタンドが沸いた。

 開幕から3連敗。防御率も7.36で背水の陣だった唐川侑己投手が23日のオリックス戦で、8回103球4安打無失点。9回に益田のリリーフを仰ぎ、完投、完封は逃したが「10年もいるので(今日だめだったら)だいたい。(開幕3試合は)おっかなびっくりで、開き直って投げた」と振り返った。

 立ち上がりから腕を振ってMAX148キロのストレート中心で押し、今季初めてバッテリーを組んだ吉田との呼吸もぴったり合った。ロッテは5連敗中。さらに、チーム打率1割台とバックの援護は期待できず、自分自身の状況を含めて危機感いっぱいの状況が逆に開き直りを生んだ。

「本人がかなり気合が入っていたと思う。ストライクを先行して、どんどんバッターに向かっていった。今日みたいな投球をすれば、何の問題もない」と伊東監督。5連敗を喫した前夜、唐川に関して「最後のつもりで投げてほしい」と話した指揮官の言葉が耳に入ったのかもしれない。7回まで二塁を踏ませない投球。前夜3安打でヒーローとなった小谷野もストレートで押し、4回には三ゴロ併殺に打ち取るなど完璧に封じた。

「(ストレート中心の組み立ては)ずっとやりたかったが、(開幕からの3試合は)変化球が多く、歯車がかみ合わなかった」と唐川。球数も少なく、英二投手コーチから完封への気持ちも聞かれたようだが「僕が行くより、益田が行ったほうが勝てる。わがままは言えない。逃げたっちゃ、逃げたんですけど」と明かした。「今後はピッチングコーチがいかしてくれたら、いくようにします」。完封は次回以降の登板に持ち越しとなった。

細野能功●文 text by Yoshinori Hosono