柏は完璧な「齋藤封じ」を披露。勝利を手繰り寄せた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ・8節]柏 2-0 横浜/2017年4月21日/日立柏サッカー場
 
「齋藤学選手のところは1週間のトレーニングでかなりケアをしていたところ」
 
 柏の下平隆宏監督は、試合後の会見でそう明かしている。たしかに、ここまで6アシストを記録している横浜の切り込み隊長を抑えたことが、快勝における最大のポイントだった。
 
 この日の柏は、左サイドアタッカーの齋藤へのパスコースを徹底的に遮断。そもそも簡単にはボールを触らせない。それでも入った際は、まず右SBの小池龍太が対応。指揮官は「今日は自分が驚くぐらい小池が齋藤選手を抑えて、対1のところの対応でほぼ何もさせなかった。本当に小池の頑張りを誉めたいと思います」と手放しで称賛した。
 
 ハードな寄せで敵エースを封じた小池自身も、「ミーティングで監督から、自分がマッチアップする齋藤選手がキーマンになると言われていた。自分でもそこを抑えられるかで勝負が決まるという認識していた。(うまく)抑えられたかな」と満足気だった。
 
 とはいえ、「ただ自分だけの力で抑えられたとは思っていない。チーム全員が自分の力を120パーセント発揮した結果」(小池)、「伊東(純也)のプレスバックなど、(周囲の)守備の貢献もあった」(下平監督)というコメントの通り、全体の連動も実に見事だった。
 
 小池をフォローアップしたのは右サイドハーフの伊東、右CBの中谷進之介、ボランチの手塚康平と大谷秀和など。彼らは完璧に近かった“齋藤・包囲網”をこう振り返っている。
 
「(齋藤にボールが)入ったらダッシュで戻ってというのを意識していて、プレスバックをしました。リュウ(小池)と上手く2人で抑えられた。大きかったかなと思います」(伊東)
 
「リュウ(小池)がまず1対1のところで負けなかった。その中でJ(伊東)がちゃんとプレスバックしたり、俺がスライドして埋めたり、タニくん(大谷)がカバーにいったり。まず1人目(小池)がちゃんと決まっていたので、その後のカバーもしっかりできていたと思います」(中谷)
 
「ボランチはマッチアップするリュウくん(小池)のサポートがメイン。あと上手くいったのは、J(伊東)がちゃんと戻ってきて2人で(齋藤を)見られたこと。だからドリブルで仕掛けられなかったし、突破されることもなかったと思います」(手塚)
 そもそも左サイドへのパスコースを切ってボールを入れさせず、仮に渡ってもまずは小池が激しく対応し、さらにサイドハーフ、ボランチ、CBで瞬く間に囲んで即座に潰す――。柏はこれを90分間ずっと遂行した。
 
 結果、齋藤は完全に封じ込まれた。今季初のシュートゼロ、そしてスプリント(時速24キロ以上)もわずか14回。後者は右サイドの前田直輝(22回)、柏の両サイドハーフの大津祐樹(23回)と中川(30回)と比べて明らかに少なく、スペースがなくダッシュすら許してもらえなかったことがよく分かる。
 
 齋藤は「個人的にはボールの受け方から一回見直さなければいけないと思った」と肩を落とし、エリク・モンバエルツ監督も「柏のプレッシャーが強かったので、プレーにスピードが欲しかったが、ウチはそれが足りなかった。マルティノスが出場停止で、学もいつものクオリティーを出せなかった」と悔やんだ。
 
 J屈指のドリブラーである齋藤は、中村俊輔がジュビロ磐田に去ったこともあり自他ともに認める横浜の絶対的なエースであり、対戦相手はこの背番号10番を封じるために策を講じる。その中で柏のこの日の対応は、少なくとも今季ではもっとも効果的だった。他チームが参考にしてきても不思議はない。
 
 そして、逆に齋藤と横浜がそれにどう対抗してくるのか。興味は尽きない。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
 
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