北朝鮮当局は、韓流ドラマなど韓国の映像コンテンツだけではなく、中国製のコンテンツについても取り締まりを強化している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市在住で、最近中国を訪れた華僑の情報筋によると、北朝鮮当局の取り締まり班「609常務」が中国の映像コンテンツを視聴したり、流通させたりした人に対する取り締まりを始めた。

その例として、情報筋は自身の甥の経験談を語った。

彼は、USBメモリーに保存されていた中国の映像コンテンツを、コピーして友人に渡した。友人がこの映像を見ていたところ、当局に発覚し逮捕された。そして、労働鍛錬刑(懲役)1年の判決を受けた。甥も逮捕され、パソコンを押収されたが、500ドル(約5万4000円)のワイロを支払って釈放された。

かつて中国の映像コンテンツは、旧ソ連のものと並び、北朝鮮の人が罪に問われずに接することのできる数少ない外国情報だった。万寿台(マンスデ)テレビは、視聴可能エリアが平壌など一部地域に限られているものの、中国映画を多く放送していた。

この局は、職員が編集前の外国の映像素材をUSBメモリーに入れて、横流ししていたことが発覚した2015年7月から放送を中断。11月に復活したものの、中国映画は放送されなくなってしまった。

平壌在住の別の華僑情報筋によると、金正恩政権時代の初期までは、他の北朝鮮の人には見せないという条件で、中国の映像コンテンツの北朝鮮への持ち込みが認められていた。

しかし中朝関係の悪化に伴い、華僑と言えども持ち込みと視聴、共有が難しくなってしまった。また、北朝鮮の司法機関は外国人の住居の家宅捜索はできないことになっているはずなのに、保衛省(秘密警察)に踏み込まれ、摘発される事例が現れている。

もっとも、これまでも全く自由だったわけではないようだ。平壌在住の華僑は2015年5月に、中国の映像コンテンツに対する取り締まりが行われていると伝えている。

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中国の映像コンテンツは、北朝鮮でどれぐらいの人気があるのだろうか。

情報筋は「言葉の壁があるため、あまり人気がない」と伝えている。中国の吉林省延辺朝鮮族自治州の延辺テレビでは、中国のドラマに朝鮮語の字幕を付けて放送しており、この局で放送されたものが録画、コピーされて北朝鮮に多数持ち込まれているものと思われる。しかし地方局のコンテンツは古く、数にも限界がある。

一方で、若者の間で中国の映像コンテンツはかなりの人気を博している。韓流に比べれば入手が簡単で、音楽やダンスを扱った番組は、言葉が違っても楽しめるからだ。

ちなみに、USBメモリーが手に入らなくても、国境地帯に住んでいて、テレビチューナー付きのノートテル(携帯メディアプレーヤー)を持っている人ならば、中国のテレビを視聴できる。