子どもに楽しく食事をさせるには(写真はイメージです)

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【子どもの食 頑張らない宣言】(NHKあさイチ)2017年4月17日放送
「食事時、子どもについ『イラッ』としてしまうママに提案」

働くお母さんはヘトヘトで疲れ切っている。つい、食事づくりに「手抜き」をしがちだ。しかし、「子どもにちゃんとしたものを食べさせていない」「食卓が家族団らんにならない」と自分を責めイライラしている。

番組では、そんな頑張りすぎのお母さんに、あえて「頑張らなくてもイイ」宣言をした。ちょっと発想を変えることで、親子の絆がギュッと強まる方法を紹介している。

子どもを巻き込んで料理を手伝わせてみよう

「アンタたち、手伝いなさい! いつも言われていることでしょ! 注意されると、そうやってふて腐れるわけ?」

食卓の前で怒鳴り散らす母親。すくみ上がる3人の子ども。一番小さい子は泣いている。演出ではない。実際に番組スタッフが取材に訪れた家庭で起こったハプニング光景だ。母親はカメラマンに「この先は、(撮影を)カットしてください」と頼んだ。

番組は冒頭から、こんな緊迫したシーンで始まった。ゲストの女優・石田ひかりさん(娘2人)、モデル・浜島直子さん(息子1人)は、ともに働くママだ。「うわ〜、わかる、このお母さんの気持ち」と笑いながらこう語った。

石田「うちのことかと思いました。いつもキイ〜っと怒って、あんな感じです。ひな祭りの時、せっかくチラシ寿司を作ったのに、娘たちは『興味ないし』と食べませんでした」
浜島「頑張って作った料理を息子が床にぶちまけた時は、もう、バ〜ンと切れました」

番組には、「惣菜料理ばかりなので、それが母の味と思われるのがツラい」などの相談が相次いだ。そこで、頑張りすぎのお母さんに「助っ人」を呼んだ。料理研究家の上田淳子さんだ。上田さんは一卵性双生児の息子2人を育て上げたが、食事作りには大変な苦労をした。何しろ1人が大の「野菜嫌い」、もう1人が大の「肉嫌い」だからだ。

上田さん「いちおう料理のプロなのに、何を作っても1人が喜んで食べると、もう1人が必ず吐き戻すのです。泣きたい気持ちになりました」

以来、「子どものご飯問題」に取り組んでいる。上田さんは番組スタッフとともに、野菜嫌いの小学生ピッピちゃん(愛称)の家を訪れた。母親の杏菜(あんな)さんは夜8時近くまで働き、帰宅後すぐに食事を作るが、週に3回は焼きそばだ。「野菜嫌い」を克服させるためパックのミックス野菜をそばに混ぜ、ソースで炒める「お手軽料理」。それでも、ピッピちゃんは野菜を残す。帰りが遅い日は、カップ麺が夕食になることも。

杏菜さん「子どもの栄養バランスで悩んでいます。ピッピが最近、手が荒れて指から出血します。ビタミン不足じゃないかと」

上田さんは、ピッピちゃんが食器を片づけたりするなど、お手伝いが好きなことに目をつけた。母親が1人で料理を作らず、子どもを巻き込めばよい。また、家の壁に絵が多く貼ってあり、絵を描くことが好きなことにも注目した。そこで、ピッピちゃんにピザの絵を描かせた。ピッピちゃんはピザの上にミニトマト、サラミ、ツナ、コーンなどを盛り付ける絵を描いていく。

上田さん「(ピッピちゃんに)へえ〜、野菜は嫌いでも、ミニトマトは好きなんだ。じゃあ、ピザを作ってみようか」

子どもでも作れるように材料は食パン。ピッピちゃんはその上にケチャップを塗り、サラミ、ツナ、ミニトマト、ブロッコリーを盛り付けていく。苦手な野菜もどんどんのせていく。一番上に溶けるチーズをのせ、オーブントースターでチンをする。「ピザパン」の出来あがりだ。自分で作ったからピッピちゃんはブロッコリーやミニトマトをモリモリ食べる。また、ピザをオーブンに入れている合間にニンジンサラダを自分で作って食べ始めた。

上田さん「(杏菜さんに)ピザパンを作り置きして冷凍庫に保存しておくと、チンすれば子どものおやつ代わりになります。野菜もたっぷりとれますよ」

発想を変えてゲーム感覚で食事をしよう

次に上田さんは、冒頭シーンに登場した、子どもに当たり散らした母親ミホコさんの家を訪れた。小6・小3の娘2人と小1の息子を持つ。

ミホコさん「仕事から帰って疲れているのにご飯を作り、下の子に付きっきりで食べさせなくてはいけません。その時、上の子たちがペラペラ喋ってきて、イライラするんです。この2年間、殺伐として自分で作った料理なのに味がわからないほどです」
上田さん「毎日が戦場なのね。こうしたらどう? ゲーム感覚で食事をするの。『今日は食べることに専念する日にしよう。しゃべったら罰よ』と遊びにすれば、イライラしないですむでしょ。『今日は○○ちゃんがしゃべる日』『今日はママがしゃべる日』と決めれば、お母さんの愚痴も聞いてもらえるじゃない」
ミホコさん「(驚いた表情で)そんな発想、思いもしませんでした」

数日後、番組スタッフが訪れると、その日は長女がしゃべる日だった。長女は何をしゃべったらいいか迷っていたが、次女が「あれ、話したら?」と語りかけ、食卓に明るい笑いが弾んでいた。

MCの井ノ原快彦「いやあ、いい感じです。あれだけ怒鳴られても子どもたちはママが好きなのですね」
上田さん「お母さん方に言いたいのは、1人で煮詰まらないで、子どもを巻き込んでほしいということ。それと、ちょっとした発想の転換が大事です」

週に1度の「お助け施設」子ども食堂を活用しよう

番組では、「1人で悩まず、外の力を借りる」例として、「子ども食堂」を紹介した。「子ども食堂」は子どもの貧困対策としてNPOなどが寄付を募って安く食事を提供する施設だが、最近は働く母親の子育て支援にまで広がっている。全国で約400施設がある。番組が訪れたのは東京都品川区にある「北品川クロモン食堂」。カフェが週に1回、「子ども食堂」に変わる。高校生以下は1食300円、大人は500円という安さだ。

この日のメニューは、玄米の炊き込みご飯に豚肉のショウガ焼き、野菜のチーズ巻き、スパゲティーナポリタン、卵焼きなど。おかわり自由だ。2階の座敷と1階の店内で、総勢64人の子どもと母親がワイワイにぎやかに食事をとっている。親子連れ大歓迎なのだ。小さな子が「おやつ」の魚の骨せんべいをポリポリかんでいる。母親たちの話を聞いた。

母親A「魚の骨をカリカリに揚げるなんてことは、うちでは絶対しません。ここに来てから何でも食べてくれるようになりました」
母親B「週に1度ですが、ホッとします。家に帰ってお風呂にいれるだけでいいですから、とても楽です。食器を洗わなくてすむなんて天国です」

たった1人で「クロモン食堂」を切り盛りしている薄葉聖子さんが言った。

「自分の子どもがおいしそうに食べるのを見ているお母さんの表情が好きで、食堂を始めました。働いているお母さんは、週に1回くらい怠けていいと思うのですよ」