2016年のウィンブルドン選手権を観戦に訪れたルーマニアの元テニス選手であるイリ・ナスターゼ氏(2016年7月6日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ルーマニアの元有名テニス選手で、現在は女子の国別対抗戦フェドカップ(Fed Cup)で母国の代表監督を務めるイリ・ナスターゼ(Ilie Nastase)氏が22日、「クソアマ」と選手や相手監督に対して差別的な暴言を浴びせて退席処分を命じられた。同氏は前日にも、妊娠を発表したセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)とその胎児に対して人種差別的なコメントをして大きな問題になっていた。

 ナスターゼ氏は、フェドカップのワールドグループ・プレーオフ、ルーマニア対英国の試合で、審判と英国のアン・ケタボング(Anne Keothavong)監督、エースのジョアンナ・コンタ(Johanna Konta)に暴言を浴びせ、会場から連れ出された。

 ナスターゼ氏は、妊娠中のケタボング監督とコンタを「このクソアマども」と呼び、この言葉に対してコンタは涙を流していた。

 さらに同氏は前日にも、米国のスーパースターであるセレーナの妊娠に対して「(赤ん坊の)色はどんなだろうな。チョコレートミルクだな」と差別的なコメントをし、それをメディアに拾われていた。そしてそのコメントが世界中で報じられると、翌日、報じたメディアの1人である英国の女性記者を「ばか」や「ブス」と罵倒していた。

 国際テニス連盟(ITF)は、ナスターゼ氏の行為に「深刻な過ち」があったため退席を命じたと話し、さらに厳しい処分を下す可能性を示唆している。

 9月に出産を控えるセレーナに暴言を浴びせたナスターゼ氏だが、22日になっても暴走は止まらなかった。第2試合のソラナ・シルステア(Sorana Cirstea)対コンタ戦で、同氏は反スポーツマン的行為で2回にわたって警告を受けながら、「これはオペラじゃない。何が悪いんだ?」と審判にまくしたてた。

 暴言を浴びせられたコンタは涙を流し、試合は30分近く中断した。ナスターゼ氏はそのまま客席に姿を消したものの、最終的には大柄な警備員たちに付き添われて会場から連れ出された。

 ITFは声明を発表し、「ナスターゼ氏の公認を取り消し、今後はこの試合に参加できないものとします。ITFはすでに、本件およびナスターゼ氏の今週の発言に対する調査を始めています。どんな形であれ、ITFは差別的かつ暴力的な発言および行為を許しません」と話した。

 さらにナスターゼ氏は、すでに結婚して身ごもっているケタボング監督にモーションをかけたとも報じられている。

 監督は同氏の行動にショックを受けたと話し、大会公式ホームページで、「ナスターゼが私とジョアンナに浴びせた言葉は、人間が他の人間にかけるものとは思えない不適切なものでした」と話した。

 一方で、ルーマニアのシルステアはナスターゼ氏と観客を擁護した。

「監督は、相手が泣いているからプレーを止めろと言った。ルーマニアのファンはすごくフェアで、道を外れたことは何もしていない。ナスターゼのような経験豊富な人がベンチにいるのは素晴らしいこと。彼が人間くさい気遣いを見せてくれたのは、うれしい驚きだった」

 さらにシルステアは、「私は世界中でプレーして、『アマ』に『クソッタレ』、『間抜け』といったやじを浴びたり、下品なジェスチャーをたくさん見せられたりしてきたけど、一度も泣かなかったし、コートから逃げ出しもしなかった」と話した。

 現在70歳のナスターゼ氏は、現役時代には四大大会(グランドスラム)を2回制し、世界ランキング1位にまで上り詰めた経歴を持っている。
【翻訳編集】AFPBB News