中国メディアが南シナ海問題をめぐるフィリピンのドゥテルテ大統領の言動を「朝三暮四」と批評している。中国寄りかと思えば、手のひらを返すこともあるドゥテルテ氏。真意を測りかねているようだ。

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2017年4月21日、詐術で人を愚弄(ぐろう)することを意味する「朝三暮四」。中国メディアが南シナ海問題をめぐるフィリピンのドゥテルテ大統領の言動をこう批評している。中国寄りかと思えば、手のひらを返すこともあるドゥテルテ氏。「ユニークな人物」とも評し、真意を測りかねている様子だ。

中国網は「比大統領の中国への態度、朝三暮四に見える理由は?」との記事を掲載。南シナ海問題で振幅の大きいドゥテルテ発言を取り上げた。

記事はドゥテルテ大統領について「実務的な政治家で度胸があり、何でも発言する。当然ながら否定するべき時には顔色一つ変えずにきっぱり否定する」と指摘。南シナ海で中国が主張する広範な管轄権を否定した昨年7月の常設仲裁裁判所の判断に触れ、「両国関係は一触即発の事態に陥ったが、ドゥテルテ大統領は就任後すぐに中国を訪問した。南シナ海の仲裁がおのずと一枚のちり紙になった。これだけでもドゥテルテ大統領の功績は大きい」と絶賛した。

さらに「中国は南シナ海情勢が沈静化し、フィリピンは経済の大型契約を手にした。両国関係は各自が必要とするものを手にし、ウィン・ウィンが続いている」と強調。「これはドゥテルテ大統領の非常に実務的な点だ。米国の手先になり、南シナ海問題で中国に対抗しても、フィリピンにとって百害あって一利なしだとはっきり理解している」と持ち上げた。

その一方で「ドゥテルテ大統領は中国にベタついてはいない」とも警戒。今月6日に大統領が「6月12日のフィリピン独立記念日に実効支配する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島のパグアサ島(中国名・中興島)を訪れて国旗を掲揚する」と宣言したことについて「この情報を耳にすると、多くの中国人は驚き息をのんだことだろう」と不信感をあらわにした。

「国旗掲揚」宣言は間もなく撤回されたが、裏には中国からの警告あった。この間の事情を米誌ニューズウィークは大統領が訪問先のサウジアラビアで「中国に『お願いだから、係争地には行かないでくれ』と言われて、大切な中国との友情を思って自分を正した。中国との友情を優先して、国旗は揚げないと語った」と伝えている。

こうしたこともあり、中国網は「中国は二つの姿勢を明確に示している」と主張。「まず南シナ海の主権をめぐる中国の態度は揺るぎなきものであり、駆け引きの余地はないこと。次に食い違いについて、中国人は平和的な解決を好み、暴力的なやり方は望ましくないことだ」と、ドゥテルテ大統領をけん制している。

ドゥテルテ大統領は中国が5月14、15日に北京で開くシルクロード経済圏構想「一帯一路」のサミットに出席する。日本メディアによると、翌6月上旬には日本を訪れ、安倍晋三首相と会談する方向で調整中。来日は昨年10月に続き2回目で、日中双方と良好な関係を保つためとも見方もある。(編集/日向)