WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

「今年は、日本ツアーとアメリカPGAツアー、欧州ツアーの3つ(のツアーに挑む)。今のところは、できる限りやってみようかな、と思っている。チャンスなので。もし3つで活躍できたら、格好いいですよね(笑)。挑戦してみる」

 年明けからマスターズ出場を目指して世界中を転戦していた谷原秀人は、そう言ってにっこり笑った。

 別に格好をつけて言っているわけじゃない。これが、38歳の谷原にとっては現実的な目標。そして、それは着実に前へと進んでいるのだ。


今季は海外ツアーにも精力的に参戦している谷原秀人 昨年、日本ツアーで賞金ランキング2位に輝いた谷原。同ツアーでは今季から、海外ツアーのメンバーであれば、3試合の出場で賞金シードにカウントされることになった。そうした規定の変更も手伝って、谷原は海外ツアーにも積極的に参戦することになったのだろう。

 2月には、オーストラリアで開催された欧州ツアーのISPSハンダ・ワールドスーパー6に出場。15位に入って、欧州ツアーのメンバー登録を行なった。これで、同ツアーの『レース・トゥ・ドバイ』の年間ポイントレースに参戦できて、同ツアーが今年から開催する高額賞金の”ロレックス・シリーズ(計8試合)”にも出場できる。

 欧州ツアーのポイントレースには、世界選手権シリーズ(WGC)や4大メジャーの成績も当然カウントされる。3月のWGCメキシコ選手権で32位タイ、さらにマスターズ出場の決め手となったWGCデル・マッチプレー選手権での4強入りを果たした谷原は、現在同ツアーのポイントレースで堂々の9位につけている。

 一方、PGAツアーには昨年10月のWGC HSBCチャンピオンズから、ここまで6試合に出場。フェデックスカップポイントは、マスターズの翌週に行なわれたRBCヘリテージ(4月13日〜16日/サウスカロライナ州)終了時点で、ノン・メンバーとして213ポイントを獲得している。

 今後、このポイントが昨季の同ランキング150位の319ポイントを超えた時点で、”テンポラリー・メンバー(特別一時会員)”になることができる。そして、それ以降は推薦出場での制限がなくなり、今季のフェデックスポイントで125位以内に入れば、来季のフルシード権を獲得することもできるわけだ。

 谷原は12年前の2005年に一度、PGAツアーに本格参戦した経験がある。当時、谷原はまだ26歳と若かった。その分、気持ちに余裕はなかったかもしれない。今ほど明るい表情を見せていなかった記憶がある。そして気づいたら、シーズン途中で日本ツアーへと戻っていた。

 それから数年経って谷原に再会したとき、にっこりと笑って新しくできた家族を紹介してくれた。そのとき、「あれ? 谷原って、こんなふうだったかな? 本当は明るくて面白い人だったんだ」と、大きく印象が変わったのを覚えている。

 決して社交的ではない松山英樹が慕うのも、そんなユニークでおおらかな人柄にひかれるからだろう。

 谷原と松山は、東北福祉大の先輩と後輩。年齢はひと回りも離れているが、気心が知れた仲間として、ツアー転戦中の練習ラウンドや食事など、一緒に時間を共有していることが多い。

 そのふたりが、今度のチューリッヒ・クラシック(4月27日〜30日/ルイジアナ州)にはペアを組んで出場することになった。世界ランキング4位の松山が指名し、谷原は主催者推薦を受けての出場となる。

 同大会は、今季から2人1組のチーム戦へと変更された。ひとつのボールを交互に打つフォアサム(初日、3日目)と、各選手のベストスコアを採用するフォアボール(2日目、最終日)の72ホールストロークプレーで争われる。計80組(160名)が出場し、35組が決勝ラウンドに進む。

 チーム戦だが、れっきとしたPGAツアーの公式試合。ポイントも、賞金も、他の試合と同じくオフィシャルなものとして換算される。もちろん優勝すれば、2年間のシード権が得られる。つまり、谷原にとっては大きなチャンスとなる。

 マスターズで予選落ちした谷原は、「完全にやられた。ここまで何もできないと、本当に悔しい」と、心身ともに打ちのめされていた。強風が吹き荒れた予選ラウンドの2日間、ロリー・マキロイ(27歳/北アイルランド)とジョン・ラーム(22歳/スペイン)と同組でプレーし、「パワーの差を感じた。彼らは飛ぶし、球(筋)が高いし……。そこを見ても仕方がないけど、でも僕は(彼らとの差を痛感して)これから何をしたらいいかわからない……」と、半ば放心状態になっていた。ゆえに、少し心配していた。

 しかし谷原は、PGAツアーでの戦いを諦めることなく、すかさず翌週のRBCヘリテージに出場(39位タイ)。ショットの調子を取り戻し、明るい笑顔を見せていた。その姿を見て、ホッとした。

 そうして、谷原はチューリッヒ・クラシックに向けても意欲的な姿勢を見せ、こう抱負を語っている。

「チーム戦はバーディーを取っていかないといけない。パットを修正して、うまく(好調なショットと)かみ合わせられれば」

 今季から新たなに始まるPGAツアーのチーム戦。松山&谷原ペアの活躍を、大いに期待したい。

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