北海道コンサドーレ札幌の小野伸二が22日に行われた浦和レッズとの試合に途中出場を果たした。開幕から股関節のケガにより出遅れ、今月2日のヴァンフォーレ甲府戦で約5年ぶりとなるJ1リーグの舞台に戻ってきたかつての『天才少年』が、古巣を相手に華麗な動きを見せ、その姿には両チームのサポーターから多くの拍手が贈られていた。

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■独特のプレイスタイル

 今季3度目の出場は、かつて数えきれないほどそのピッチを踏んだ埼玉スタジアム2002だった。プロデビューから身にまとっていた赤いユニフォームと対峙した札幌の背番号44はスタジアム全体からの歓声を受け、後半79分から交代出場。20分弱のプレイタイムだったが、その中身は38歳となる現在でも変わらず、頼もしく、相手にとっては脅威となり、観ているものにはサッカーの楽しさが伝わってきた。

 チーム全体を掌握しゲームを組み立てる存在ではない。せわしなくピッチ上を駆け巡り続ける姿もみせない。

 それでも極上の技術を表現してみせるのが天才・小野伸二だ。ボールの行方が読めない一瞬のトラップ、体を捻りながら足を出し相手との間合いを消すディフェンス、そして小野独特のリズムでのボールタッチ。まるでフィールド上で一人だけ違う競技をこなしているかのような立ち居振る舞いをみせつつ、「触って、はたく」ワンプレイでゲームの流れをあっという間に手繰り寄せる。

 86分、札幌の2点目のきっかけとなるシーンも小野から生まれる。浦和陣内、右サイドに位置していた小野が送られてきたボールをワンタッチで中央へ落とすと、そこへ走り込んできた札幌の選手が倒され、得たフリーキック。これが決まり1点差と迫った。

■多くのサポーターに愛される存在として

 ボールを触るたびに「何か」が始まる気配が漂い、スタジアムの空気まで変えてしまう希少な存在といえるだろう。

 この日、チームは敗れたものの、首位浦和相手に最後まで喰い下がり、可能性が感じられる戦いをみせた。始まったばかりのシーズンを進んでいくうえで、「現在のコンディションは万全」とも伝えられた小野がチームの先頭に立てるとするならば、札幌のさらなる躍進の大きな力になることは確実だ。

 そして札幌サポーターのみならず、観ているものの心が弾むような小野のプレーを今後も見続けられることは、サッカーファンとして幸福な時間であることは間違いない。