自動車から飛行機へと自由自在に変身する夢の移動手段「空飛ぶ自動車(スカイカー)」として、最も実用化が近いと期待されている「AeroMobil(エアロモービル)」が、ついに実用化の目途をつけ予約販売を開始しました。空飛ぶ自動車の実用化に手が届く位置まで来たAeroMobilのこれまでの足跡と、市販バージョンとほとんど同じと言われる最終プロトバージョンの「AeroMobil 4.0」の動力性能や、市販バージョンの価格・発売時期をまとめました。

AeroMobil: Flying Car

https://www.aeromobil.com/

世界中のド肝を抜いた「AeroMobil(バージョン3.0)」の2014年のテスト飛行は、以下のムービーで確認できます。

AeroMobil 3.0 - official video - YouTube

自動車のようなフロントフェイス。



テールにはプロペラ。AeroMobilは、翼を格納する「空飛ぶ自動車」です。



翼を広げれば小型飛行機に変形。



翼をたたんだ状態で、格納庫を出ると……



乗用車として道路を走行可能。



コクピットはこんな感じ。定員は2名です。



もちろんハンドル(操縦桿)を切れば、曲がることも可能。



翼を広げて、いよいよテスト飛行開始。



芝生の上を疾走するAeroMobil 3.0は……



ふわりと離陸しました。



小さな機体のため時折、横風を受けて揺れていますが、飛行は安定しています。



ゆっくりと地上に戻ってくると……



滑らかに着陸に成功。通常のセスナ機よりも大きなタイヤのためか、安定感があります。



こうしてAeroMobil 3.0は無事、飛行テストに成功しました。



1990年にスロバキアで誕生したAeroMobilは、初のプロトタイプAeroMobil 1.0を1993年に完成させたあと、より自動車に近い折りたたみ式の主翼を備えるAeroMobil 2.0、ロータックス製エンジンを採用したAeroMobil 2.5を経て、上記ムービーのAeroMobil 3.0を完成させテスト飛行に成功するなど、着実に進化を続けてきました。

空飛ぶ自動車「AEROMOBIL 2.5」の開発がスロバキアでも進行中 - GIGAZINE



垂直離着陸可能なVTOL機の多くが構想段階にとどまるのに対して、自動車をベースにした「空飛ぶ自動車」というコンセプトのAeroMobilは早くから飛行テストに成功し、航空免許で操縦できるようにFAAの認可を取得するなど、最も実用化が近い現実的な「空飛ぶ自動車」として注目を集めてきましたが、AeroMobil 3.0のテスト飛行を公開したアメリカ・テキサスで開催されたSXSW 2015で、「2017年に市販バージョンとしてAeroMobilをリリース予定」と発表し世界中を驚かせました。



そして、予告していた発売の年の2017年4月にモナコで開催されたオートショー「Top Marques 2017」で、最終プロトモデル「AeroMobil 4.0」が公開され、市販バージョンのAeroMobilの予約受付を開始しました。

これが公開された「AeroMobil 4.0」。



跳ね上げ式のシザードア(バタフライドア)を採用。



折りたたまれた主翼を開くとこんな感じ。市販バージョンはほぼAeroMobil 4.0のデザインで発売される予定だとのこと。



より流線型になったフロント回り。AeroMobilはもともとは「涙」からインスピレーションを受けており、空力面でブラッシュアップが図られています。ライトは自動車と航空機の両方で必要とされる基準をともに満たすものだとのこと。



ホイールは一般道の走行も可能なように自動車用のものでタイヤサイズは165​​/65/15インチでリムは4.5J。アスファルトだけでなく芝の上での走行にも配慮されています。



サスペンションは、ハンドリング性能を重視した「ロードモード」や滑走路での離着陸に対応する「離着陸モード」、飛行時に空気抵抗を最小限に抑えるようにする「飛行モード」の3種類の状態に対応します。



胴体に沿って安全に収納できるように計算された主翼。



尾翼のデザインも洗練されました。なお、後方のプロペラは走行時に車体内部に収納するデザインで特許取得済みだとのこと。



ターボ化された2.0Lの4気筒ボクサーエンジンは最高出力300馬力(224kW)。



フロントデフは電子制御。自動車状態では電気エネルギーを発電するジェネレーターによって、フロントアクセルに搭載する出力80kWのモーターに電力が供給されます。



安全性に最大限配慮された機体は、自動車の衝撃安全性を持たせつつ、なんと機体全体を安全に回収できるパラシュートを搭載するとのこと。



コクピットは飛行機というより、どちらかというと自動車の運転席に近いデザインです。





操縦桿を兼ねるステアリングホイール。将来的には自動運転機能がオプションとして追加される予定だとのこと。



シート。路上走行時のクラッシュに備えるエアバッグとパイロットをしっかりと拘束するシートベルトが備わっています。



AeroMobil 4.0のサイズは、全長5998mm×全幅2248mm、翼を広げると8800mmで、車体重量は960kg。



AeroMobil 4.0は自動車モードから飛行機モードに変化するのにかかる時間は3分以内。最高速は走行時が時速160キロメートル、飛行時が時速360キロメートル。90Lの燃料タンクを備えており、最大飛行航続距離は750キロメートルです。



そして、AeroMobilは公式サイト上で、市販モデルを限定数500機で予約受付を開始しています。



AeroMobilの最高経営責任者Juraj Vaculik氏はBusiness Insiderに対して、「市販モデルの価格は120万ユーロから150万ユーロ(約1億4000万円から約1億7500万円)になり、2020年にリリースされる見込みである」と述べています。また、将来的にはAeroMobilを使った配車サービス(配飛行機サービス)の展開も、構想段階ながらあると語っています。



当初の計画だった「2017年の発売」には間に合わなかったAeroMobilですが、確実に市販化に向けて進化をしていることが分かりました。リリースが遅れている理由は、より高い安全性を追求しているからだとのこと。すでにヨーロッパでの飛行の許認可は取得済みで、ほとんど基準が変わらないアメリカでの許認可もすみやかに取得する予定。ヨーロッパ、アメリカでAeroMobilを販売した後、はすぐに中国市場へも投入する予定です。「空飛ぶ自動車」の実用化は、いよいよカウントダウンに入っているようです。