剛力彩芽が『女囚セブン』(テレビ朝日系)にて新境地に挑んでいる。剛力が演じるのは、冤罪で女囚となった芸妓、神渡琴音。無口で不気味、喋るとドスの効いた京都弁で、合気道が得意という役柄。これまでの剛力のイメージを覆すほどに、強烈なインパクトを残すドラマだ。

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 殺人という無実の罪を被り、女子刑務所へ入所する神渡は、アクの強い女囚たちから陰湿なイジメを受けながら、激しいマウンティング合戦を繰り広げていく。“全員悪女”という設定のもと、メインキャストとなるのは剛力を含めた7人。詐欺罪で服役する政治秘書の楠瀬司(山口紗弥加)、殺人罪で“元ヤン”のシングルマザー市川沙羅(トリンドル玲奈)、遺産目当てで男を色仕掛けに落とし、殺害した津田桜子(平岩紙)、全身整形で不倫にハマる美容整形外科の看護師・矢島千鶴香(橋本マナミ)、老人介護の末に、夫を殺害した平塚うめ(木野花)、無銭飲食を繰り返す情報屋・坂本奈津(安達祐実)といった面々だ。

 『女囚セブン』は、何かと放送前から話題になっていた。その一つの要素に挙げられるのが、当日に公開された安達祐実のセーラー服姿。「安達祐実」が、Twitterトレンドワードに入るほどに注目を集めた。『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)における新垣結衣のセーラー服も記憶に新しいところだが、それに負けずとも劣らないインパクトといえよう。安達は、2人の子を持つ母親であることも忘れてはならない。昨日放送された第1話では、安達が演じる坂本の、嘘にまみれた八方美人ぶりを神渡が鋭い洞察眼で見抜き、彼女の背景にある暗い過去を暴いていった。そこで本領発揮となったのが、神渡のドスの効いた京都弁だ。

 「ちゃんちゃら可笑しゅうて、おへそでお茶沸かしてぶぶ漬けすするわ!」「家族なんてユニットの弊害やわ。人間、生まれる時も死ぬ時もどうせ一人やし。SFやないけど、近未来は人はカプセルで生まれて、カプセルで死ぬんとちゃいますか?」。極道映画さながらのセリフに思わず息を呑むシーンであり、恐怖すら覚える剛力の凄みを帯びた演技には目を見張るものがある。剛力は昨年『ドクターカー 〜絶体絶命を救え〜』(日本テレビ系)、『グ・ラ・メ!〜総理の料理番〜』(テレビ朝日系)と深夜ドラマでの主演を多く演じてきた。そして、今回の『女囚セブン』も同じく深夜ドラマ。“深夜ドラマの女王”との異名も浸透しつつある。

 加えて、剛力のキャリアを振り返ると、昨年11月に明治座で檀れいとのダブル主演で行った舞台『祇園の姉妹』でも、剛力は芸妓役を演じていた。剛力にとって初めての舞台となった『祇園の姉妹』で培った京都弁や立ち振る舞いは、役どころこそ異なるものの、『女囚セブン』でも多いに活かされているといえよう。

 女優としての剛力の特筆すべきところは、その役どころの幅広さとユニークさだ。前クール『レンタルの恋』(TBS)では、エヴァンゲリオン初号機やカブトムシなど、意表を突いたコスプレで視聴者を楽しませたが、こうした突飛なことにも外連味なく挑戦できるのは、彼女の女優としての強みであり、企画性が重視される深夜ドラマに重宝される理由だろう。また、自らがネタとしてイジられることを、前向きに楽しんでいる姿勢も好感に繋がっているはずだ。2010年代前半に出演していた作品では、女優としての評価は決して高いとはいえなかったが、それでも主演作が途切れず、今なお話題となり続けているのは、ある意味、時代が剛力彩芽に追い付き始めたから、といえるかもしれない。彼女の底抜けに明るい性格とチャレンジ精神は、今こそ視聴者が求めているものではないだろうか。

 「陰湿、シリアス、怖い」といった女囚のイメージに、コメディー要素やアクションをふんだんに盛り込み、新たな感覚を提示している『女囚セブン』。剛力の捲し立てる京都弁は、彼女の新境地を示すとともに、“深夜ドラマの女王”の座をさらに強固にしていくだろう。(渡辺彰浩)