中国当局は、ケーブルテレビでの韓国のテレビ放送の中継を中止する措置を取った。米国が進めている最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に対する報復と思われる。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉の情報筋によると、中国当局の韓国への報復措置が本格化した1ヶ月ほど前から、地元ケーブルテレビでの韓国のテレビ放送の中継が止まっている。

多くの視聴者がケーブルテレビ局に抗議しているが、「しばらく待ってほしい」との答えしか返ってこないという。

山東省威海の情報筋も、今月2日から韓国の番組が見られなくなり、地元民の間で不満が高まっていると伝えた。視聴者は、中国当局の措置は「感情的な対応だと考えている」としている。

地元の朝鮮族のみならず、北朝鮮からやって来た脱北者や出張者にとっても、韓国のテレビは貴重な情報源だ。韓流スターの出演するバラエティやドラマを楽しむのはもちろん、中国のテレビよりも国際情勢を正確に伝えるため、視聴率が高いという。

業を煮やした視聴者は、こぞって自宅に衛星アンテナを設置しようとしている。手続きは面倒で、700元(約1万1000円)の設置費も必要だ。

それに合わせたかのように、当局は衛星アンテナの取り締まりを予告している。

延辺日報は今月8日、「違法衛星テレビ、ラジオ使用に関する整頓通告」という記事を掲載した。記事によると、「衛星テレビ、ラジオ受信設備の管理規程」では個人宅への衛星アンテナの設置は違法であり、30日までに衛星アンテナを自主撤去しない場合には、治安処罰法に基づき処罰する方針だ。

上述の管理通告は国務院(内閣)が1993年に制定したもので、これまでにも取り締まりは行われていたが、イタチごっこが続いている。

韓国の東亜日報系のケーブルテレビ局、チャンネルAは2014年10月、現地の情報筋を引用し、延辺在住の朝鮮族の約8割が何らかの形で韓国のテレビ放送を視聴していると報じている。

地元民が韓国のテレビばかりを見るため、地元の延辺テレビの視聴率が下がってしまった。ローカルテレビ局に過ぎず、情報統制を受けている延辺テレビが、莫大なコンテンツ力と資金力を誇り、報道の自由が確保された韓国のテレビ局に叶うわけがないのだ。

当局により衛星アンテナを摘発されると、没収された上に罰金5000元(約7万9000円)を払わされる。しかし、人々は没収された翌日には新しいアンテナを設置してしまう。

治安処罰法の28条は、無線電信局の業務を妨害した場合、最高で15日以下の勾留処分にすると定めているが、今回の取り締まりに際してこの規定が実際に適用されるかは不明だ。