このほど、桜を見に日本を訪れた中国人が、自身のブログでそのきっかけや感動をつづっている。写真は作者提供。

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このほど、桜を見に日本を訪れた中国人が、自身のブログでそのきっかけや感動をつづっている。

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高校生の頃、岩井俊二監督の映画作品をいくつも見た。そのひとつに「四月物語」という作品がある。

女性の秘めた恋を、穏やかなペースと美しい映像で描いた、1時間ほどの作品だ。詳しいストーリーはもうはっきりとは覚えていないが、桜の花びらが舞うシーンが今でも心に残っている。初めてこの作品を見た時から、いつか4月に日本へ桜を見に行きたいと思っていた。そして、ついにその思いを実現させることになった。

新宿御苑の桜はまだ満開ではなかったが、東京はすっかり花見シーズンになっていた。テクノロジーの発達した現代では、この光景を写真に収めることなど造作もないが、新宿御苑では写生している人をたびたび見かけた。絵を描き続けている人は、ただ好きだというだけでなく、何らかのこだわりがあるのだろう。絵の良しあしは別として、自分にとっては尊敬の対象だ。

撮影も、絵画も、著述も、音楽も、表現の手段であって、自分の手段で世界を記録すれば、そこには必ず自分の感情が込められることになる。記録そのものは客観的だが、感情は主観的だ。この旅行も自分なりのスタイルで感じるところを記録していく。

出発する前から期待でいっぱいだった。目黒川も私の期待をまったく裏切らなかった。半月の旅程中に見た桜景色の中で最も美しく、格別だった。2キロに満たない川沿いに植えられた桜の木はちょうど満開だった。公園の中の手入れが行き届いた桜とは違って、目黒川のあたりでの花見は生活感にあふれていた。

川沿いに歩いてゆき、橋でふと足を止める。昼も夜も、目黒川の桜はこの上なく美しかった。日本人は桜を観賞することにとりわけ熱心で、ある老人がかばんを下ろして、桜の木の下で10分ほども立ち尽くして見入っているのを見かけたほどだ。時間が止まればいいのに。そう感じた。(翻訳・編集/岡田)