新興EVメーカーのGLMが、4月18日に新豊洲Brilliaランニングスタジアムで最新電気自動車「GLM-G4」を発表しました。

想定価格4000万円、販売目標1000台と、これまでGLMが販売してきたトミーカイラZZと比べると、大きくジャンプアップした規模の開発と生産、ということになります。

すでにclicccarでも第一報として掲載されているGLM-G4ですが、その発表会では興味深い話が飛び出します。

新興メーカーが作る電気自動車の量産車といえばテスラを思い浮かべますが、このテスラに対してGLMの小間裕康社長は「我々の作るG4はもっと付加価値の高いものとして製作されるモデルで、いうなればEVのフェラーリを目指す」と明言しました。

専用開発の高効率・高出力なモーターを車両前後に2つ搭載して最高出力400kw(540馬力)、最大トルク1000Nm(102kgf・m)となり、駆動方式は4WDで走行します。

最高時速250km/hとスーパーカーとして開発されるGLM-G4は、小間社長曰く「モーターのシームレスで官能的なドライブフィールを高い次元で提供するために開発の手は緩めません」としています。

実際に展示されたGLM-G4は、カタチだけを発表に間に合わせたショーモデルやモックアップではなく、実際にモーターやバッテリーも積まれるプロトタイプで、この車両を使って走行実験を行っていき、年内には実際に走行した動画を発表する予定であるとのこと。

GLM-G4の1000台という目標台数は、少量生産とはいえないまでも大規模生産として工場ラインを作る規模でもありません。言ってしまえば中途半端な生産販売目標といえますが、この部分はGLMが採用するファブレスという生産方法が活きてきます。

ファブレスとは工場を持たず、自社では開発のみを行い生産ラインを持つ企業に生産を委託する方式。電子機器の分野、特にパソコン関連や半導体、スマートフォンなどでは一般的な方式。有名なところではアップルのiPhoneもファブレス生産方式となっています。

小間社長はファブレス生産について「ドイツなどの大手自動車メーカーも一部の車種ではファブレスを行っています。世界的に見ると自動車生産量に対して生産ラインはかなりの余裕があるので、大量生産を委託しても充分に請け負ってもらえる余力がある」と語っています。

また、これまでのトミーカイラZZや、今回のGLM-G4で得たノウハウや技術をアッセンブリとして販売することも計画しているとのこと。

GLMでは後続する新興メーカーに対しアッセンブリを販売することで、その新興メーカーが初期投資を少なくして車両開発を効率化することで多くの電気自動車が生まれることを望んでおり、電気自動車の市場規模の拡大に貢献したい、としています。

実際のGLM-G4を見てみても、新興メーカーとしての妥協は一切感じられず、金額に見合った仕上がりをしているように見えます。またボディやフレームもカーボンやアルミなどの高級素材を多用しています。そしてメーターやインフォテーメントは電気自動車らしさともいえるフル液晶。

GLM-G4の開発には、トヨタ出身でレクサスシリーズのアンダーボディーの設計を担当したというGLM技術本部長の藤墳裕次氏を筆頭に、日産、スバル、ダイハツ、三菱重工、アイシン精機などからスタッフを集結し、2019年の量産化に向けて開発を進めていくとのことです。

なお、ヨーロッパ、中東、香港などにも販売拠点を設ける世界販売となり、世界の主要な国で型式認可を行っていくとのこと。予約開始の時期はこの型式認可のタイミングが決め手となるとのことで、必ずしも日本が先行で予約開始になるわけではなさそうです。

2019年の量産開始までまだ間があるとはいえ注目度はかなりのもので、用意された報道席は満席。フォトセッションともなれば怒号が飛び交うほどの押し合い状態。日本から世界に発信する新しい自動車文化としても興味は尽きません。

(写真・文:松永和浩)

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4000万円のGLM-G4を日本でも発表!! 540ps/1000Nm、最高時速250km、航続距離400kmの「EV版フェラーリ」
http://clicccar.com/2017/04/18/464769/

 

 

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