欧州で激減しているファイアサラマンダー(撮影日不明、2013年9月2日提供)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】欧州に生息する両生類で、以前より種の存続が危ぶまれていたサラマンダーが、新たな病原性真菌によって個体群消滅の危機に追い込まれているとの新たな研究結果が発表された。この菌は、広範な生物多様性を脅かしているという。

 19日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された研究論文によると、西欧のファイアサラマンダーはこの非常に感染力が高い病原菌に対抗するための免疫反応を持たないため、少量の菌でも同地域の個体が全滅する可能性があるという。

 論文の主執筆者で、ベルギー・ゲント大学(Ghent University)のアン・マルテル(An Martel)教授は「この菌は、破滅的な事態をもたらす」と語る。「結果として、6か月以内に、感染したファイアサラマンダー個体群は個体数が90%以上減少し、ついには全滅に追い込まれる」

 ゲント大などの生物学者チームは、2014年の流行を受けて、脆弱(ぜいじゃく)なサラマンダーのコロニーを2年間にわたり観察。その結果、この病原菌の致命的な影響に関する今回の恐ろしい発見に至った。

■対策の効果出ない可能性

 分厚い耐水性の細胞壁を持つ細胞で守られた真菌の胞子は寿命が長く、生物の体内に生息していなくても繁殖できる。

 問題の病原性真菌は土壌、水、空気などを通じて拡散する可能性があるほか、この菌の影響を受けにくい鳥やカエルに付着して運ばれ、サラマンダーへの感染が拡大する可能性もある。

 学名を略して「ブサル(Bsal)」と呼ばれるこの致死性の真菌「イモリツボカビ(学名:Batrachochytrium salamandrivorans)」が欧州大陸で最初に現れたのは2010年だった。

 林業、農業、野生動物などの世界規模の貿易が、本来の生息環境ではない地域に菌が侵入する原因となっていると、科学者らは考えている。

 この真菌の病原性の高さと拡大の速さを考えると、感染を封じ込めるための対策を講じても効果が出ない可能性があると、研究チームは危惧している。

 論文執筆者の一人、フベイ・ステーヘン(Gwij Stegen)氏は「ワクチン接種や個体群再構築などの、動物の病気を抑制するための旧来の対策が功を奏する見込みはなく、生態系から菌が根絶される可能性は低い」と述べた。
【翻訳編集】AFPBB News