by Support PDX

「ゲーム実況」は動画配信の中で1つのジャンルを築いていて、少なく見積もっても数十億円規模の市場となっています。では、TwitchとYouTube Liveという、世界の2大ストリーミングプラットフォームでは、どちらの方が収入を上げられるのか、ストリーミングの補助ツールを提供しているStreamlabsが詳細な比較レポートを公開しています。

Livestreaming Q1'17: Twitch vs YouTube, Avg. Spend, LTV and Tip Volumes

https://blog.streamlabs.com/livestreaming-q117-twitch-vs-youtube-avg-spend-ltv-and-tip-volumes-8263c6a9f99e



StreamlabsのAli Moiz氏によると、Twitchのここ6カ月のアクティブなゲーム実況者は19%増だったのに対して、YouTube Liveは5カ月で330%増。直近6週間でみてみても、Twitchが4.1%増だったのに対して、YouTube Liveは36.6%増と、大きく数を伸ばしています。



これは、すでにTwitchには多数のユーザーがいるため、成長「率」では数字が小さく見えるという原因もあるのですが、Moiz氏はYouTube Liveの伸びは圧倒的なものだと指摘。FACEIT ECS(Esports Championship Series)とESLプロリーグの独占配信権をYouTube Liveが得たことから、さらなる人の移動があることも予想されていて、もしこの成長率が今後も続くようであれば、1年半から2年でYouTube LiveはTwitchなみのプラットフォームになると考えられています。

しかし、収益面で見るとTwitchに軍配が上がります。2017年第1四半期に視聴者から配信者に向けて送られたチップの総額は、ユーザー数の差があるにしても、Twitchが2255万ドル(約25億円)だったのに対して、YouTube Liveは94万ドル(約1億円)。チップ全体の96%がTwitchに流れていて、YouTube Liveに流れたのはわずか4%にすぎません。



その原因として、Moiz氏は「YouTubeの実況配信者にはまだ始めたばかりの人が多く安定したチャンネルを作れていない」「事前録画より生配信の方が高い収益を上げられるが、Twitchがほぼ生配信なのに対して、YouTube Liveには生配信と録画配信が混在する」「Twitchの方がAPIやエコシステムなど周辺環境が整っていて、ファンとの関わりを深めて収益を上げやすい」「常連がついている」などを挙げています。

「常連の方がチップの払いがいい」ことを示すのが以下のグラフ。視聴者側がアカウントを作成してからの期間を3カ月刻みで分けていて、棒の高さは出したチップの額を示します。データによると「常連」(アカウント作成から2年以上)は「新参」(アカウント作成から3カ月以内)に比べて約4倍のチップを出してくれることがわかります。



なお、ゲーム実況配信者の側についても「常連の方がチップを多くもらえる」ことがわかっていて、たとえ配信の視聴者数が同じぐらいであっても、定期的にゲーム実況を配信している人はそうではない人に比べて3倍のチップを手にしています。

チップを「1ドル(約109円)未満」「1ドル〜2ドル(約218円)」「2ドル〜5ドル(約545円)」「5ドル〜10ドル(約1090円)」「10ドル〜25ドル(約2730円)」「25ドル〜50ドル」「50ドル〜100ドル」「100ドル以上」という8つの金額帯に分けて、それぞれ2016年第3四半期(濃緑)・第4四半期(緑)・2017年第1四半期(黄色)の時期ごとにグラフで示すとこうなります。時間の経過とともに、高額チップを出す人が増えているという傾向が見えます。



なお、「1ドル未満」が減少しているのはTwitchの公式機能として有料マネー「Bits」を購入して有料応援メッセージを送る「Cheering」の導入によるもので、少額のときにはCheeringを使い、高額になるとStreamlabsのチップ機能で決済しているのではないかとMoiz氏は予想しています。これは、Streamlabsが手数料を取らず、チップがすべて配信者のもとへ行くという仕組みになっていることが大きいとみられます。

ちゃんと稼げている配信者の数もどんどん増えてきています。以下のグラフは2016年第3四半期(濃緑)・第4四半期(緑)・2017年第1四半期(黄色)にそれぞれのチャンネルがどれぐらいのチップをもらったかを示していて、「1ドル(約109円)以上」「10ドル(約1090円)以上」「100ドル(約1万900円)以上」「1000ドル(約10万9000円)以上」で分けられています。これによると、1000ドル以上のチップを得たチャンネル数は2016年第3四半期は3578件でしたが、2017年第1四半期には4304件まで増加しています。



なお、Twitchにはパートナープログラムが存在していて、パートナーになることで機能面での恩恵を受けられます。先ほど出た「Cheering」も、導入するにはパートナーになる必要があります。では「パートナーチャンネル」と「非パートナーチャンネル」、どちらの方がチップを得ているかというと、パートナーチャンネルが57.9%とわずかに多め。しかし、非パートナーチャンネルの収入割合が確実に増加してきています。



ちなみに総所得(チップ額)を全配信者のフォロワー数で割った「フォロワー数あたりの収入」を見てみると、「パートナーチャンネル」が32.9セント(約36円)、「非パートナーチャンネル」が6.1セント(約7円)だったとのことです。



この数字はあくまでStreamlabsを使用して配信を行っている人の数がベースになっているので、あくまで参考値であるとMoiz氏は注意喚起しています。