核を外交カードと考えていた父・金正日と違い、本気で核武装を目指す金正恩。彼は一体、どんな思惑を持っているのだろうか? Photo:AP/AFLO

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米国のトランプ大統領が北朝鮮への強硬発言を繰り返し、一気に緊張度を増したかに見える朝鮮半島情勢。金正恩体制の現実と独裁者の腹の内を、脱北者にも数多く取材をしてきたデイリーNKジャパン編集長の高英起氏に聞いた。(取材・文/ダイヤモンドオンライン編集部 津本朋子)

25日の記念日は要注意
複雑な金正恩の胸中

――朝鮮半島情勢は現在、どの程度危ういと見ておられますか?

 4月16日、北朝鮮は中距離弾道ミサイル・ムスダンの発射を行いましたが、少し日本は騒ぎすぎです。ムスダンは今月に入ってから2回目の発射ですし、「日本に向けた」ということではない。あくまで「日本海に向けた」のです。北朝鮮がいきなり日本だけを標的にすることはあり得ない。彼らのターゲットは在韓米軍、在日米軍ですから。

 米国が警戒しているのは大陸間弾道ミサイル(ICBM)。ムスダンなら米国は大きく反応しないだろうと考えたのでしょう。さらに、発射は失敗しました。本気で失敗した可能性ももちろんありますが、敢えて失敗した可能性もあると見ています。北朝鮮なりの“ビビリ”ですね。

――前日の15日は故金日成主席の生誕記念日だったわけですが、今度は25日、朝鮮人民軍の創設記念日がやってきます。この日は警戒すべきでしょうか?

 25日前後までに、核実験もしくは、ICBMかムスダンなどミサイルの発射を行う可能性はあると思います。15日に軍事パレードを開催しましたが、本来パレードは25日を予定していたはずです。それを前倒しにした。25日は何をするのか?小さなパレードとか閲兵式で済ませる可能性もありますが…。

 金正恩の胸中は非常に複雑だと思います。一昨年から米韓は「斬首作戦」に言及しており、正恩は非常に怖がっているはずです。しかし、彼には引けない事情もある。それは対米国ということではなく、実は内政問題なのです。これは北朝鮮に限らず、一般的な国家や会社などにも言えますが、外に敵をつくることで、内側の結束を固めることができますから。

 一方で、彼には米国を舐めている面もあります。13日の平壌・黎明(リョミョン)通りでの竣工式、そして15日の軍事パレードの両方に正恩は姿を現しました。斬首作戦を恐れている人物としては矛盾した行動に見えますが、米国人ジャーナリストもたくさん来ているし、米国は攻撃なんてできないだろう、とタカをくくったのでしょう。

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