「Jリーグ開幕から2ヶ月、どこよりも早いJ1ベストイレブン」

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2017シーズンのJリーグも開幕から早いもので約二ヶ月が経過。

J1は第7節まで消化し、「予想通りの快調スタートを切ったところ」、「なかなか下位から抜け出せずに苦戦するところ」・・・各チーム悲喜交々の滑り出しを見せている。

さて、今稿では少し気が早いが、J1開幕節から現在に至るまでのパフォーマンスを基に「J1ベストイレブン」を選出してみたいと思う。

リーグはまだまだ序盤戦。もちろん、これまでの活躍を最終節まで継続できるか否かの確証は持てないが、今後の活躍が楽しみな11人であることも間違いないはずだ。

GK:カミンスキー(ジュビロ磐田)

今季はゴールキーパーが活躍する試合が多い印象だが、その中でも特に目立つのがジュビロ磐田の最後の砦、カミンスキーである。

世界的なゴールキーパー名産国であるポーランド出身であることも頷ける、威風堂々たるオーラは、キッカーを威圧するには十分過ぎるレベル。

サポーターからは「神ンスキー」や「神ック」と称されることもあるが、今季も序盤からDAZN選出の「週間ベスト5セーブ」に毎試合のようにランクインするなど、"神ぶり”を幾度となく見せている。とりわけ、対大宮戦の試合終了間際、清水慎太郎がペナルティエリア内で放った強烈なシュートを左手一本で防いだビッグセーブは印象的だ。

だが、最も評価したいのは、ハイライトにこそ取上げられることはないものの、チームに安心感を与える堅実的なプレーをいかなる試合でも披露している点だ。

CB:昌子源(鹿島アントラーズ)

昨年末、白い巨人を前にしても物怖じしないプレーは各方面に驚きを与えたが、世界を相手に手に入れた自信をJリーグの舞台でもいかんなく発揮している。元々潜在能力は高く、ボールにも人に対しても、地上戦でも空中戦でも力を見せ付けられる実力者であったが、その成長曲線は右肩上がりの一途。特に、今季は責任感やリーダーシップといった、メンタル面での成長が特筆に価する。

ACLの対ブリスベン戦の終了後、「試合前にチームでエンジンがかかるのがすごい遅い、と言う話をした。前半は点が取れていない。何回同じことを繰り返して負けているのか」と口にし、悔しさを覗かせつつも冷静に分析する姿が印象に残っているが、チームの問題解決に向けて取り組もうとする真摯な態度は、まさに「リーダーになるべき男」と言えるだろう。

「常勝軍団」を、プレー面だけではなく気持ちの面でも支えられるようになれば、噂される海外移籍もより具体化するか。

CB:岩波拓也(ヴィッセル神戸)

前述の昌子源と共通しているが、彼も"心”の充実を感じさせるプレーをここまで見せてくれている。

誰が相手でも自分の考えをはっきりと主張する強いパーソナリティーは、時にマイナスに作用することもあったが、メンタルの"ブレ”も沈静化。その落ち着きはヴィッセル神戸の守備に安定感をもたらし、序盤のスタートダッシュに大きく寄与した。

ヴィッセル神戸では、ベガルタ仙台から移籍してきた渡部博文が、移籍初年度と思えない高いパフォーマンスを続けていることも話題になるが、彼がここまで活躍できた要因は、センターバックでコンビを組む相手が岩波拓也であったことも大きいはずだ。

RSB:高橋峻希(ヴィッセル神戸)

山田直輝、原口元気らを輩出した「浦和レッズユース黄金世代」の一人として知られるが、2014年にヴィッセル神戸に移籍してからは新天地で代表格へと成長。今季も、持ち前のタフネスを武器に、攻守において及第点以上のプレーを続けている。

かつての課題であった守備力の低さは、いつの間にか長所の一つとなり、Jリーグを代表するドリブラーとの1vs1を制することも当たり前の光景に。さらに、攻撃の場面では的確なタイミングでオーバーラップを仕掛け、決定機を演出するなど、もはやクリムゾンレッドに必要不可欠のピースだ。

ヴィッセル神戸の好調の理由として、堅い守備組織が取上げられる際、どうしてもセンターラインに注目がいきがちな傾向はあるが、彼が右サイドで巧みにチームのバランスを取り続けている点を見逃してはならない。これまで度重なる負傷により、もう一伸びが出来ずに苦心してきたが、このペースを維持できれば、A代表入りも見えてくるだろう。

LSB:金井貢史(横浜F・マリノス)

「金井貢史」から導かれる常套句が「器用貧乏」であったのは過去の話だ。

守備的なポジションをどこでもこなせる便利屋は、毎シーズンのようにレギュラー争いに敗れ、一時は不祥事の影響もあってトリコロールのユニフォームを身にまとう資格すらも失ったが、今やチームにおける立ち位置は「不動の左サイドバック」である。

自ら「自分には特徴がない」と語るように、攻守共に地味ながらも効果的な働きを持ち味としているが、第6節のジュビロ磐田戦では、チームに勝ち点3をもたらす決勝点を記録。名手カミンスキーですら防ぎようがない、絶品トラップからの芸術的なシュートはFW顔負けであった。

「本職である」と自負してきた右サイドバックで挑戦したい気持ちは捨て切れないかもしれない。だが、今のポジションを年間通して確保すれば、その意識も変わるだろう。実力者の下平匠、柏レイソルから加入してきた山中亮輔、ルーキー高野遼らとのポジション争いを制し、「不動の左サイドバック」としての地位を確固たるものにした時、彼の価値も大きく変わっていることだろう。

DMF:レオ・シルバ(鹿島アントラーズ)

「とんでもない選手が加わってしまった・・・」

J開幕前のオフシーズン、鹿島アントラーズ以外のクラブを応援するサポーターの多くがその心の声をもらしたことだろうが、蓋を開けてみると、やはり、心配はその通りのものになってしまった。

アルビレックス新潟時代から「Jトップクラスのボランチ」として名を馳せてきたブラジル人MFは、鹿島アントラーズに移籍するや否や、新天地でも圧倒的なパフォーマンスを披露。テクニシャンですら平伏す圧倒的ボール奪取能力、チームにリズムをもたらす小気味良いパスワーク、難しい局面をいとも簡単に回避してしまうキープ力は、相手チームにとっては苦痛以外のなにものでもない。

まだ決定機に顔を出す頻度は少ないが、さらにチームにフィットし、攻め上がりのタイミングが合ってくれば、もはや手に負えない存在にまでなるかもしれない。

DMF:ムサエフ(ジュビロ磐田)

一般的には、今季のジュビロ磐田のイメージは、横浜F・マリノスからの電撃移籍を果たした中村俊輔の印象が強いことだろう。だが、サックスブルーを愛するサポーターの中には「ムサエフ獲得が何よりも当たり」と評するものも多いはずだ。

「自国選手の評価を高めたい」と意気込んで来日したウズベキスタン代表MFは、開幕からスタメンの座を掴み、ピッチを縦横無尽に躍動。強烈なタックルでボールを奪い、推進力を活かして即座に駆け上がる姿で観衆を沸かせている。

ここまではどちらかと言えば、守備面での活躍に目が行きがちだが、「攻撃が好き」と公言しているように、本来はシュートチャンスにより絡んでいくタイプ。主にボランチでコンビを組む川辺駿が攻め上がりやすいポジショニングを率先して取るなど、チームを助けるプレーを優先しているが、これからまた違った一面を見せてくれる期待もできる。

第7節の対サガン鳥栖戦では、後半ロスタイムに猛烈な勢いでゴール前に侵入してあげた逆転弾が大きな話題となったが、今後そのような機会が増加していく可能性はあるだろう。

OMF:齋藤学(横浜F・マリノス)

海外移籍報道に揺れ、すったもんだの末の横浜F・マリノス残留。彼にかかるプレッシャーは相当なものであっただろうが、ミスターマリノス中村俊輔から託された背番号10は早くも齋藤学の色に染まりつつある。

2016シーズンは、Jリーグ最高峰の局面打開力に得点力が合わさり、大きな飛躍を果たしたが、今季はさらにアシスト力が目覚しい進化を遂げそうな印象だ。プレースタイルのベースは十八番である高速ドリブルにあるものの、間接視野で周囲の動きを追いつつ、マーカーを引き付けてから決定的なパスを繰り出したり、抜き切らずにクロスボールを供給するなど、プレーの幅は確実に広がっている。

2017シーズンの開幕戦、浦和レッズを指揮するミハイロ・ペトロヴィッチは「マリノスに負けたというより齋藤学に負けた」と舌を巻いたが、彼の才能は、これから先も敵将たちの頭痛の種となるだろう。

OMF:武藤雄樹(浦和レッズ)

ペナルティエリアを主戦場としてきたプレーヤーをこのポジションで選出することに多少の違和感はあるが、浦和レッズのシャドーとして異彩を放つこの男を取上げないわけにはいかない。

今季も昨季に引き続き、元々の持ち味である裏への飛び出しやワンタッチでゴールネットを揺らす得点感覚はそのままに、積極的なチェイシングや絶妙なスペースメイクで、ゴールシーン以外でもチームに貢献。セカンドトップのポジションはすっかり板についたが、試合を重ねるごとにそのプレースタイルのバリエーションを広げており、まだまだ成長し続けている。

今季は最前線にラファエル・シルバが加入したため、引き立て役に回るような状況も決して少なくないが、その持ち味を失うことなく結果を残し続ければ、東アジアカップ以来となる日本代表への参加も見えてくるだろう。

FW:興梠慎三(浦和レッズ)

多種多様なプレーヤーがひしめく浦和レッズのFW陣において、ここまで最も輝きを放っているのが、興梠慎三だ。リーグトップである6得点を記録していることはもちろんだが、ユニットを組む選手に合わせて、プレースタイルをカメレオンのように変えるそのポリバレント性がチームに与える貢献度も計り知れない。

「クレバーな選手なので動き出しも能力も高いです。ポテンシャルを持っている選手なので、一緒にプレーしやすい。僕の味を引き出してくれる」と、今季から浦和レッズの一員となったラファエル・シルバも彼の能力を高く評価しているが、誰と組んでもパフォーマンスが落ちることのないその特質は、もはや最大の持ち味であるといっても過言ではないだろう。

三十路を迎え、フィジカル、テクニック、インテリジェンスの三要素が絶妙なバランスで合わさった。彼の評価は改めて見直すべきかもしれない。

FW:ラファエル・シルバ(浦和レッズ)

故障の影響もあり、開幕から全試合出場こそならなかったが、5試合で5ゴールと大活躍。そのパフォーマンスを間近で見ている興梠慎三も「難しいボールをいとも簡単に決める。まさにエース」と敬服している。

基本的には自慢のスピードを活かした裏への飛び出しやパワフルなドリブル突破からの冷静なシュートを武器としているが、浦和のパスサッカーに身を置き、ポストプレーや連携での崩しも覚えつつあり、今季は一人のプレーヤーとしても大きく成長する可能性も秘めている。

既に独力で相手チームに驚異を与え得る存在となっているが、前述の興梠慎三、武藤雄樹、李忠成らとの連携面が向上していけば、ゴールのペースはさらに加速するか。

さて、以上11人が筆者が選ぶ「どこよりも早いJ1ベストイレブン」だが、いかがだっただろうか。「何故、あの選手が?」、「この選考はおかしい!」と反論を含め、感想をお寄せ頂けると嬉しい。

また、最後に、今企画にあたり、ベストイレブン入りを良い意味で悩ませてくれたプレーヤーたちも「ベストイレブン候補」として列挙しておく。

GK
東口順昭(ガンバ大阪)
林彰洋(FC東京)

CB
奈良竜樹(川崎フロンターレ)
マテイ・ヨニッチ(セレッソ大阪)
中澤佑二(横浜F・マリノス)
渡部博文(ヴィッセル神戸)

RSB
小池龍太(柏レイソル)
室屋成(FC東京)

LSB
松原后(清水エスパルス)
藤春廣輝(ガンバ大阪)

DMF
橋本拳人(FC東京)
今野泰幸(ガンバ大阪)
柏木陽介(浦和レッズ)
深井一希(北海道コンサドーレ札幌)

OMF
関根貴大 (浦和レッズ)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
山村和也(セレッソ大阪)
倉田秋(ガンバ大阪)

FW
鈴木優磨(鹿島アントラーズ)
鄭大世(清水エスパルス)
小林悠(川崎フロンターレ)
都倉賢(北海道コンサドーレ札幌)

冒頭でも触れたが、Jリーグは12月までの長丁場だ。シーズンの折り返しのところで、また同じ企画を行いたいと思っているが、その時に顔ぶれがどのように変化しているか・・・個人的にも楽しみだ。