【ライターコラムfrom山形】4年目で開花の予感漂うMF汰木康也。ゴールという結果を残した“未完の大器”

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 第8節の東京ヴェルディ戦で決勝点を挙げたMF汰木康也。MF瀬沼優司のシュートのこぼれ球にいち早く反応し、追いすがるキーパーを避けて冷静に左に持ち出した後、ゴールマウスに立ちふさがるディフェンスの間を狙って左足のシュートを突き刺した。これが待望の今季初ゴールになった。

 横浜F・マリノスユースからモンテディオ山形でプロ生活を始めて4年目。大器を感じさせながらもなかなかポジションを取れずに来た。もともとサイドからの仕掛けが得意なアタッカーだが、石信弘監督が指揮を執った昨季は、4-4-2のシステムを採用した時こそサイドハーフで輝きを見せるも、3-4-2-1のシャドーではあまり持ち味を出せなかった。プレッシャーの強いバイタルエリアでのプレーに戸惑いがあったようだ。

 今季から指揮を執る木山隆之監督が採用したのも3-4-2-1のシステム。汰木はやはりシャドーで出場機会を得たが、第5節のロアッソ熊本戦後にも「間で受けるシャドーのプレーにまだ慣れない。試合を重ねて慣れていかないと」と課題を口にしていた。しかし、次のV・ファーレン長崎戦を経た後には早くも「やっと慣れてきた」というポジティブな言葉を聞くことができた。そして、この日のゴール。

「クロスのシーンで、自分はファーでボールを待つことが多くて、あまり中に入って行くプレースタイルじゃない。でも今年、監督にも『中のポイントに勢いを持って入っていけ』とずっと言われていて、それが初めてゴールにつながった。中にいなくてはあのボールは拾えていなかったと思う。一つの自信になると思います」

 相手に囲まれてプレッシャーを受けても慌てずにボールを受けられるようになり、中に入ることを怖がらなくなった。もともと技術の高い選手だけに、この自信は大きな武器になりそうだ。

 今季出場した試合では、必ずと言っていいほど決定機を迎えていたにも関わらず、結果を出せずにいた。チームメートからも「そろそろ決めろよ」と言われていたらしく、その安堵感を「超ホッとしてます」と表現した。

 試合後のミックスゾーンでは、記者たちに囲まれるヒーローから少し離れた場所に、東京ヴェルディのMF安西幸輝とMF高木大輔が待っていた。汰木にとって彼らは、いわば「宿命のライバル」だ。マリノスユース時代の2013年にクラブユース選手権全国制覇を果たした汰木だが、その世代のヴェルディユースは「最強だった」と振り返る。その最強メンバーに、安西や高木、それにDF畠中槙之輔らがいた。1993年のJリーグ開幕カードを飾ったマリノスとヴェルディのライバル意識は、95年生まれの彼らにも脈々と受け継がれている。「緑が相手だと燃える?」との問いに「はい、燃えます」ときっぱり答え、21歳の貴公子は「メッシじゃないんだから〜」と軽口を叩いて待ちくたびれるライバルたちのもとへ、ゆっくりと歩いて行った。

文=頼野亜唯子