授賞式の檀上で喜び合うシェフたち。日本からは18位に東京・南青山の「NARISAWA」が、45位には初ランクインとなる東京・神宮前の「傳」が入った。

“グルメ界のアカデミー賞”と呼ばれる「The World's 50 Best Restaurants 2017(世界のベストレストラン50)」が発表された。ニューヨークの「イレブン・マディソン・パーク」が悲願の1位に輝き、日本を含むアジア勢も大躍進! 発表会場となったメルボルンから届いたばかりのホットな情報をいち早くご紹介。

「最もおいしい」ではなく、「最も熱く輝いている店」が選ばれる!
エンターテイメントの世界にアカデミー賞やグラミー賞があるように、料理界にも、「今最も輝いている店」が選ばれる賞がある。それが「世界のベストレストラン50(通称“ワールドフィフティ”)」。料理界のコンペティション的役割を担うものといえば、「ミシュラン」や「食べログ」などがおなじみかもしれない。星の数や点数でレストランを評価するこれらは、味やサービスに厳しいジャーナリストや一般レストランユーザーが審査員を務めているが、「世界の…」はまたちょっと、趣を異にする。というのも、世界中のフーディー、シェフ、グルメな旅人といった人々が、投票形式で「今、最も発信力のあるレストラン」に票を投じ、その開票結果によってトップの50軒が決まるというスタイルで、料理のおいしさはもちろんのこと、シェフのスター性から料理を通じた発信力、時代に対する意識、トレンドなど、様々な着眼点から評価されるのだ。コペンハーゲンの「noma」やロンドンの「The Fat Duck」など、この賞を機に一躍、世界のスターレストランになった店も多い。

左がシェフのダニエル・ハム氏、右は共同経営者のウィル・グィダラ氏。中央は店のマネージャー。ハム氏曰く、「7年前に初めて入賞したとき、ここにいるシェフは僕のヒーローだったけど、今ではフレンドになれたんだ」。シェフ同士がコミュニケートする重要な場でもあるのが「世界のベストレストラン50」だ。

ニューヨークの「イレブン・マディソン・パーク」が初の1位に!
そんな「世界のベストレストラン50」。一昨年まではロンドンで授賞式が行われてきたが、昨年は初めてニューヨークで開催。そして2017年は、オーストラリア・メルボルンへ。ここ数年、ペルーやバンコクと共に一気に「フーディーの聖地」へと成長した感のあるメルボルンが舞台というのも、なんとなく“フィフティっぽい”感じ。授賞式には栄冠を勝ち得たシェフはもちろん、票を投じたジャーナリストやフーディー達も集結し、盛り上がることこの上なし! さらに、「せっかくメルボルンに来たんだし」と、現地で話題のレストランを利用する関係者も多く、その結果来年度の得票につながる可能性も高まるので、現在、食を通じて観光客を集めたいと願うグルメ新興国はこぞって自国での開催に向けて頑張っている…というのはグルメ界のウワサ話。
会場となった「The Royal Exhibition Building」は1880年開催のメルボルン万博のために建てられた歴史ある建造物。受賞したシェフやレストラン関係者、多くの審査員やギャラリーが熱いまなざしを送る中、50位から順々にランクインしたレストランが発表された。この順位はこの瞬間まで主催者以外は審査員にも知らされないので、店名が呼ばれるたびに場内は歓喜の声(中には落胆のため息も!)で包まれる。今年はニューヨークのレストラン「イレブン・マディソン・パーク」が初の1位を射止め、シェフのダニエル・ハム氏、共同経営者のウィル・グィダラ氏は興奮した面持ちでスピーチを行った。
「世の中の人々が、人生でものすごく大切な瞬間や記憶に残る時を過ごすとき、それを一緒になってお祝いしたりもっと素敵になるように工夫したりするのが僕らの仕事だ。僕たち(会場にいるシェフたちを指して)は、人々が時々エスケープしたいと願うマジカル・ワールドを作ることができる。そして今、世界はそんなマジックをもっと必要としてるように思います。うちの店には150人のスタッフがいて、みんな一丸となって歩んできたんだ。レストランにとって大切なのは、ゲストがどう感じてくれるかということ。本当にありがとう!」

檀上で喜びを語るドミニク・アンセル氏。赤いスカーフは矢沢永吉さんへのオマージュ……ではなく、受賞したシェフたちに贈られる栄光の“目印”。何百人もの人々が集まる会場で、誰が偉大なシェフかが一目で分かるように、と主催者からシェフに手渡される。

日本でも大人気の「ドミニク・アンセル」がペストリーの偉大な賞に輝いた!
価値ある50選以外にも様々な賞があるのも、「世界のベストレストラン50」の特長。業界に長く貢献したシェフに贈られる「ライフタイムアチーブメント賞」にはロンドン「ファットダック」を率いるヘストン・ブルメンタール氏が、「世界の最優秀女性シェフ賞」にはスロヴェニア「ヒシャ・フランコ」を担うアナ・ロス氏が、「サステイナブル・レストラン賞」にはパリの人気レストラン「セプティーム」がそれぞれ選ばれた。また、「世界のベストペストリーシェフ賞」は、キャッチ―でトレンド感あふれるスイーツで知られるニューヨークのドミニク・アンセル氏が受賞。2015年にオープンした東京・表参道の「ドミニクアンセルベーカリートウキョウ」は、今やスイーツを求める長い行列が代名詞ともなったけれど、これでますます人気が高まりそう! 2月に発表された「アジアのベストレストラン50」では、ベストペストリーシェフ賞を東京・銀座「エスキス」の成田一世氏が受賞し、今回のドミニク・アンセル氏受賞と共に、東京が今やいかにスイーツ天国として恵まれたポジションにあるかを物語る結果となった。

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