完全無線イヤホン「Jabra Elite Sport」レビュー。心拍計と音声コーチでワークアウト3日坊主回避!「探す」機能も

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Jabraが今年2月に国内発売した完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite Sport」を入手しましたので、その使用感などをお伝えします。

2014年のEarinやBragi The Dashあたりがはしりとなった完全ワイヤレスイヤホンは、いまや通販サイトを眺めれば中国製の安価な製品が多数みつかるほどになりました。一方でアップルやサムスン、オンキヨー、ソニーといったメジャーな企業も特徴ある製品を発売・試作するなどしており、性能重視、またはコスト重視のいずれの人にも選択肢が広がっています。

Bluetoothイヤホン・ヘッドセットの老舗 Jabraもまた、その完全ワイヤレスイヤホンに参入してきた企業のひとつ。2017年2月に国内発売したJabra Elite Sportは、スポーツ・フィットネス向けをうたいつつ、その総合力の高さで一部ユーザーの間で話題となっている製品です。

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Jabra Elite Sport

 
Jabra Elite SportはBluetooth 4.1に対応する完全ワイヤレスイヤホンで、Sportと名前につくとおり防水防塵(IP67準拠)は当然ながら耐汗性能も備え、専用アプリへの登録によって3年間の防水・耐汗保証が得られます。

IP67という防水防塵性能は、国際電気標準会議(IEC)の定める保護等級の説明で言えば、粉塵が内部に侵入しない最高レベルの「耐塵型」と、防水は規程の圧力と時間、水中に沈めても有害な影響がない「防浸型」の両方を備えているということです。
心拍計は右側(R)ユニットに搭載。 
さらに、このイヤホンの最も重要な機能と言ってもよいのが心拍計。これまで音楽を聞きながら心拍データを利用してワークアウトをこなしたい場合、スマートフォンとイヤホン、それに心拍計付きのスマートウォッチもしくはフィットネスバンド、または胸に巻くベルトタイプの心拍計が必要でした。

これが、Jabra Elite Sportならスマートフォンとペアリングするだけで、完全ワイヤレスで音楽を楽しみつつ心拍も測定しながらワークアウトを「楽しむ」ことができるわけです。精度90%以上をうたうこの心拍計とJabra Sport Lifeアプリやその他対応アプリを組み合わせて使うことで、その時点の心拍数にもとづいたワークアウト時のコーチングを受けられます。

まずは準備

Jabra Elite Sportを快適に使うには、まず耳へのフィッティングをきちんとしておく必要があります。これがうまくできていないと激しい動きで耳から落ちてしまったり音質・遮音性に影響することがあります。

イヤーチップにはシリコンタイプの"イヤージェル"と、フォームタイプのものが各3サイズずつ同梱されています。よりフィット感や密着感を得るにはフォームタイプのほうが効果が高そうです。
 
ユニットを耳の穴の上部にあるくぼみに引っ掛けて外れにくくするイヤーウィングも、3サイズが付属しているので、実際に装着してぴったりするものを選びます。
 
Jabra Elite Sport同梱品一式
フィッティングが済んだら次はスマートフォンとのペアリングです。Jabra Elite Sportは充電機能付きケースを開ければ自動的にスイッチが入り、ケースに収めて蓋をすれば電源が切れる仕組みになっています。初回のペアリングを開始するには右側ユニットにある●と○ボタンのうち、下側にある○ボタンを3秒間長押しします。

なおこのボタン、取扱説明書にはボタンを押す操作を「タップする」と書かれている部分もあるのですが、正確には「押す」が正解です。ボタンの突起部を爪の先で軽く押せばクリック感があるので、慣れれば簡単に操作できるようになります。

装着してしばらくすれば「心拍を測定できました」と音声案内が流れます。

音楽を聴くだけなら、ここまででもう使える状態にはなっています。しかしこの製品を選んだ人なら当然、ランニングなどで心拍測定機能を利用することも考えているはずです。そこで、Jabraのスポーツ向けイヤホン用アプリJabra Sport Lifeの設定も済ませておきましょう。

Jabra Sport Lifeアプリの設定


アプリを起動したら、まずは身長や体重などのプロファイルを入力し、トレーニング中の正しい心拍ゾーンを得られるようにします。また、心拍数の設定から安静時心拍数テストを最初にしておくことで、その人の運動における最大心拍数が把握できるとともに、消費カロリー計算の精度が高くなります。

もし動作がおかしいと思ったら、設定タブの「初期設定」のガイダンスに従ってひととおり設定をみなおせば、イヤホンをきちんと設定できているかわかるはずです。

VO2MAXを測っておけば、適切な心拍数ゾーンを認識しやすくなる

身長や体重などの情報だけではその人の体力レベルまではわかりません。そのためユーザー個人に合った心拍数ゾーンを設定するために行うのが、VO2MAX測定です。具体的に何をするかといえば、最大心拍数の70〜80%をキープするように気をつけながら15分間走るだけ。ランニング中は音声でペース指示があるので、それに合わせて走るだけ。意外とペースはゆっくりで大丈夫なので必死になる必要はありません。

意外に良い音、音切れはほぼ皆無

実際に装着して数kmのウォーキングやランニングをこなしてみたところでは、まずその音質が予想よりも良いことが嬉しい驚きでした。屋外で走りながら聴いていても適度な明瞭感があり、中低域もしっかりと厚みのある音を聴かせてくれます。ただ、これはきちんと自分に合ったイヤーウィングやイヤージェルを使用して、ただしく装着できている場合。うまく装着できていなければ、音質にも悪影響が現れてしまいます。

音質や正しい心拍計測に影響するので、正しく装着することが重要
JabraはBluetoothの音楽伝送に使うコーデックを公表していません。しかし海外の紹介記事やユーザーらが調べて掲示板サイトなどに報告している情報では、このイヤホンがBluetooth標準コーデックのSBCに加えてAACにも対応しているのは間違いない模様です。とのこと。このためiPhoneとの組み合わせではSBCより低負荷で音が良いとされるAACが有効になっているはずです。

Jabra Elite Sportは内蔵マイクを使った通話にも対応するうえ、外部の音を聞こえやすくするヒアスルー機能も備えています。ワークアウトのときだけでなく通勤や通学時でも、周囲の音が耳に入ればより安全なのは間違いなく、誰かと話をするときにイヤホンを外さなくても済むというのがヒアスルー機能の利点です。

ただ、当然ながら再生中の音楽の音量が大きければヒアスルーの効果は薄れてしまうので、やはり誰かと会話するには多少音量を下げなければなりません。これはパイオニアのRAYZを試したときも同様でした。

一方、完全ワイヤレスイヤホンの弱点とされる音切れは、数回のウォーキングやランニングを試した限りではほとんど発生していません。スマートフォンとイヤホンの間に身体が入るような、不自然な体勢になったときに一瞬だけ途切れたことがあるものの、少なくとも普通に使っているときに音が途切れたことはまだ一度もありません。これは完全ワイヤレスイヤホンとして優秀な結果と言えそうです。

心拍数の通知はモチベーション維持に効果大

好きな音楽を聴きながら走るだけで、何もない状態で走るよりもペースを維持できるように感じられます。そして、そこに一定間隔で心拍数情報やペース配分の指示が加われば、アクティビティがさらに快適になります。
 
ワークアウト後は体力回復の具合もわかる 
予想外だったのは、脂肪燃焼に必要なランニングのペースが思ったほど高くないということ。「これぐらいが自分のペースかな」と走っていると、音声ガイダンスにペースを下げるよう指示されることもしばしばでした。もし運動不足解消が目的ならば、こうした意外な事実も「走ること」に対する心理的障壁を引き下げる方向にはたらき、三日坊主を回避できそうです。

なお、ランニングルートは走ったペースごとに色分けのうえ地図に記録されるので、あとからどこがキツかったのかを確認することもできます。

アプリは本格的、クロストレーニングも豊富

Jabra Sport Pulse Wireles、Jabra Sport Coachなど、Jabraの他のスポーツイヤホンと共通のフィットネスアプリ「Jabra Sport Life」にはJabra Elite Sportの心拍計とスマートフォンのGPSを利用するウォーキング/ランニング/サイクリング/スキーといった屋外向けアクティビティがあり、スケートやスピニング(スピンバイク)、トレッドミルを使うランニングなどインドア向けのアクティビティも揃えています。

Jabra Sport Lifeアプリではこれらに加え、クロストレーニングのメニューも豊富です。クロストレーニングとは、専門種目以外のトレーニングも積極的にこなして体全体のパフォーマンスを上げるためのトレーニング手法のこと。

先に紹介したアクティビティは下半身、脚力を鍛えるものばかりであるため、クロストレーニングには上半身を鍛えるためのメニューが並び、イラストや動画でそのやり方をわかりやすく解説しています。ただ、上級者向けメニューになるにつれてダンベルやバーベルといった器具を要するメニューが加わるため、すべてをこなしたいなら、道具は自分で何とかしなければなりません。
 
クロストレーニングのやり方はアプリから動画で確認できる

「ヘッドホンを探す」機能

Jabra Sport Lifeアプリには設定タブの中に「ヘッドホンを探す」機能があります。これは最近AirPodsへの対応でも話題になったあの機能。タップすれば日本地図画面に切り替わり、あっというまに最後にJabra Elite Sportを認識した場所にズームアップします。これなら知らない間にイヤホンを紛失しても、すぐに近くまで探しに行くことができ、発見の確率も高まりそうです。

ただ、この機能はイヤホンをケースにしまった状態で、そのケースごと紛失してしまった場合にはまったく効果がありません。というのもケースにしまった時点でイヤホンの電源が切れるためで、それ以降はアプリはどこにイヤホンがあるのかを追跡できないから。これはアップルのAirPodsとiOS 10.3で実現した「AirPodsを探す」機能でも同様のはずです。

他のフィットネス系アプリで使う

Jabra Elite Sportは、Bluetooth Smartに対応するスマートフォン上で動作するランナーアプリと連携させることもできます。パッケージに表記のあるアプリはStrava、Endomondo、MapMyFitness、Runkeeper、Runtastic。ほかのアプリでもBluetooth Smartと心拍計に対応するものならそのほとんどで使えるはずです。

たとえばRunkeeperでは、設定メニューから「アプリ、サービス、およびデバイス」の項目を開いて「デバイス&ハードウェア」の項目にJabra Elite Sportを認識させられます。

推奨される使い方かどうかはわからないものの、Jabra Sport LifeとRunkeeperを同時に使えば、両方のアプリにワークアウトを記録できます。Jabra Sport LifeアプリにはiPhoneの ヘルスケア アプリやWithingsアプリなどにデータを受け渡す機能がありません。そこをRunkeeperで補うことができます。もちろんJabra Sport Lifeが必要なければJabra Elite SportとRunkeeperだけの組み合わせで使ってもまったく問題ありません。

充電ケース

Jabra Elite Sportに付属のケースはもちろん充電機能付き。コンパクトで手触りの良いケースになっており、作りもしっかりしています。Jabra Elite Sportは蓋を開けるとすぐに電源が入り、蓋を閉じれば電源が切れて充電を開始します。
 
イヤホンをケースに入れ、蓋を閉じると充電開始のランプが点灯 
充電開始時はケース前面に緑のランプが数秒間点灯するものの、これはすぐに消えてしまいます。このため充電完了がいつなのかが外観からはわからないのがやや残念。ケース右側にはケース内蔵バッテリー充電用のmicroUSB端子があり、充電中はこの部分もランプが点灯します。

ケース内蔵のバッテリーはJabra Elite Sportを2回フル充電できる容量があります。Jabra Elite Sportはフル充電で約3時間の連続再生が可能とのことなので、ケースとともに持ち歩けば(あいだにケースによる充電時間を挟むものの)コンセント/USB電源のないところでも合計9時間はリスニング/アクティビティがこなせる計算です。

運動不足が気になってきた人におすすめ

Jabra Elite Sportは完全ワイヤレスの利点に心拍センサーを取り入れることでやや高めの価格相応の利便性を備えました。またフィッティングさえ済ませれば音質もじゅうぶん良いといえるものであり、屋外で好きな音楽を楽しむ分には不足ないレベルに仕上がっています。

ただあえて記しておくと、やはり音質重視の高価なイヤホンに比べるとドライバーの表現力は劣ります。あくまでスポーツ向けのイヤホンとして必要以上の音質を備えているということなので、念のため。

一方で、着用したまま入浴にも入れるレベルの防水防塵機能や、なくしたときの「探す」機能などはリスニング向けイヤホンにはない部分であり、わりと乱暴な扱いをしてしまう人でも安心して使えるところ。便利機能として注目されるヒアスルーを備えるのもポイントの一つと言えるでしょう。

Jabra Elite Sportは実売価格が3万円を超えるわりと高めのイヤホンですが、価格に見合うだけの機能・性能を備える、バランスの良いイヤホンだと感じました。心拍計測と音声コーチング機能は体力向上や体型維持、ダイエットを続けるうえで、使用者の体力に合わせたコーチングを提供し、適度なやる気を維持させる効果を発揮します。

これから夏に向けて体を絞っていきたい人、デスクワークばかりで胴まわりのお肉が絶賛増量中という人、さらに常日頃から本格的な運動をこなしている人にも、ひろくおすすめできる製品だと思います。