専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第101回

 ゴルフを始めて多少「上達した」と思う方は、自分の腕前がどれほどのものなのか、知りたくなります。友だちの間で「うまい」と言われても、それがどれだけ達者なのか、わかりませんからね。

 そこで、具体的に知りたい方は、ハンディキャップを取得します。そうすれば、自らの実力が数値化されて、自分のゴルフの”うまさ”を客観的に捉えることができます。

 じゃあ、日本全国、ハンディキャップを持っている方はどれぐらいいるのでしょうか?

 日本のコースの数は、ざっと2400。すべてが18ホールではなく、36ホールのコースもあって、パブリックコースもありますから、ざっくり計算して、1コースでハンディキャップを持っている人が200〜300人ぐらいとすれば、合計で60〜70万人ほどでしょうか。

 ゴルフ人口は現在、およそ700万人と言われていますから、約1割のアマチュアゴルファーがハンディキャップを取得している、という計算になります。

 私も昔はハンディキャップほしさに、南総カントリークラブ(千葉県)の会員になって通って、せっせとスコアカードを提出したものです。最初にもらったハンデは、確か「28」とか、それぐらいでした。

 南総CCでは、競技会に出ようかなってときに当時の親会社の経営危機説が表面化。泣く泣く会員権を売却しました。

 それから程なくして、今度は鶴舞カントリー倶楽部(千葉県)に入会。ハンディキャップが飛躍的に伸びたのは、そこのクラブ競技に出場するようになってからです。

 というのも、競技会に出ていない場合は、スコアカードを6枚とか10枚とか提出してって、それだけでも半年くらいかかるうえ、ハンデもさして上がることはありませんが、競技会に出ると、その1ラウンドだけで一発勝負のランクアップが可能になるからです。

 もちろん、過去の成績を参考にして、月1回のハンディキャップ委員会の審査を受けるのですが、競技会での成績はハンデを上げる効果が抜群にあります。

 ハンディキャップ委員会というのは、相撲の番付編成会議みたいなものですね。例えば、前回の月例で3位入賞、そして今回は2位になったとします。ならば、「ふた場所連続入賞ゆえ、2階級特進でハンデはふたつ上げて”15”へ」といった評価をするところで、やはり競技会での成績はモノを言う感じがしますね。

 ハンディキャップを取得したら、当然みなさんシングル、すなわちハンデ「9」以下を目指すのですが、ハンディキャップとクラブ競技の関係はうまくできていて、そう簡単にはいきません。

 たいがいハンデ「10」〜「13」くらいで進軍は止まってしまうもの。それこそ、シングルになるのは横綱になるぐらい難しく、月例ならふた場所連続優勝ぐらいしないと、シングルにはさせてもらえないのです。

 その代わりと言ってはなんですが、クラブ競技にはグループ分け制度があって、鶴舞CCの場合は当時Aクラスがハンデ「12」以上、ハンデ「13」以下がBクラスでした。私は最高ハンデ「12」で、シングルにはなれませんでしたが、念願のAクラス入りを達成。競技会では、シングルさんたちと一緒にラウンドすることになり、大いに刺激を受け、プライドも満たされたのです。

 ところが、10年ぐらい前に、ハンディキャップの流動性というか、現在の実力を厳正に判断するシステムが始まりました。これは、毎月スコアカードを提出しないと、ハンデがどんどん下がっていくものでした。

 それなら、「スコアカードを出せばいい」と思われるでしょうが、そんな人様に出せるようなスコアを、いつも、いつもマークしているとは限りません。結局、スコアを出しても、出さなくても、ハンデは削られる……。私のハンデも、次第に「13」→「15」→「18」と落ちていき、気づいたときには、私はただの負け犬ポチに成り下がっていました。

 ちょうどその頃ですね、自分のゴルフのピークを過ぎて、クラブ競技に何回出ても叩くようになったのは……。一度、キャプテン杯という準メジャーの競技会で優勝してしまい、大きなカップをいただきました。そこで、ひと息つくと、もう前には進めなくなったのです。

「実力の限界を感じた」と言えば、カッコいいんですがね、ちょっと燃え尽きたのでしょう。「ひとまず休もう」とクラブ競技に出るのをやめたら、気づいたときには会員権も売っていました。

 鶴舞CCでの全盛時、私と一緒にせっせと競技会に出て、ハンデも同じ「12」くらいの仲間がいました。体格もよく、練習熱心な方でした。たぶん、あの人はシングルになっているだろうと、数年ぶりに鶴舞CCに行ったとき、その仲間のハンデを見てみるや、なんと「15」以下に落ちていたのです。

 いやぁ〜、あれはショックでしたね。普通のアマチュアの集中力って、そんなに続かないもんなんですね。

 2〜3年、気合いを入れて励まないと、シングルにはなれない。まさに”横綱級”の難易度です(って、本当の横綱にはどうあがいてもなれませんが……)。

 長い人生において、シングルになれるチャンスは、2、3回しかありません。そのときになれないと、シングルになるのはまず無理でしょう。

 しかも、今のハンデはそのときの実力の反映ですから、絶えず動きます。少しでも休んだりしたら、一気に急降下していきます。大関がケガをして、一度十両まで落ちてみなさい。もはや横綱になるのは無理でしょ。そんな感じでしょうか。


ハンデを上げるのって、本当に大変なんですよね...... 現在の真に正しいハンデも素敵ですが、昔のように一度シングルになったら、本人が申請しない限り”落ちない”というハンデも懐かしいです。せめて『最高ハンデ』を、各自が所持できる”ハンディキャップ免許”みたいなものに付記できたら、多少は報われるような気がします。

 だって、何百万円というお金と、相当な時間をつぎ込んで、あくせくと競技会にも挑みながら、最後はハンデ「28」とかで終わるなんて、悲しいじゃないですか。

「オジさんは、こんなにゴルフに燃えていて、結構うまかったんだぞ!」って、そんな証(あかし)がほしいんです。そういう意味では、今のハンディキャップのシステムはちょっと残酷なような気がします。

 というわけで、肝に銘じておきましょう。

 アマチュアゴルファーの人生は、「ヘボに始まり、ヘボで終わる」。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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