新型「スバルXV」。深いぬかるみでも安定して走行する(筆者撮影、以下同)


「えっ、こんなに違うのか!?」

 新型の「スバルXV」で走り出してたった5メートル。先代モデルとの違いはすぐに分かった。

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新旧の差はインプレッサ以上

 試乗の舞台は軽井沢。シーズンオフになったスキー場とその周辺を使い、発表して間もない新型「スバルXV」の1.6リッター車と2.0リッター車を存分に味わった。スバルXVは「インプレッサ」の派生車である。

 まず、2.0リッター車に乗り込んだ。当然、期待するのは「感動レベルの動的質感」だ。この言葉は、スバルが昨年発売して大人気を博している新型「インプレッサ」の技術説明で用いているものだ。最初に聞いた時は「大げさな表現だな」という印象を持ったが、実際に新型インプレッサを走らせてみると先代モデルとの差は確かに感動的に大きかった。

 この「感動的」な違いは、巨額の開発費用を投じて刷新した新しい車体「スバルグローバルプラットフォーム」(SGP)によるものだ。

 スバルといえば、燃焼室内のピストンが水平方向に作動する水平対向型エンジンによる低重心と、常に四輪駆動で走行するフルタイムAWDという二枚看板がある。しかし、それらの良さを最大限に引き出すためには優秀な骨格が必要だった。そこで開発されたのがSGPである。

 スバル全体のモデルラインアップの年次改良計画では、当初は上級車へのSGPの導入を予定していたという。「モデルラインアップとしては下位にあるインプレッサへの導入は予定していなかった。だが、このタイミングで導入する必要性を強く感じたため、役員会に上申した」(インプレッサの開発総責任者)という。その恩恵を、インプレッサの派生車であるXVも受けたというわけだ。

 こうした前段があるため、筆者としては新型XVに乗り込んだとき「インプレッサ並みに先代との違いが分かるのは当然だろう」と踏んでいた。ところが驚いたことに、VXの先代モデルとの差は、インプレッサの新旧の差よりさらに大きく感じられた。

 一昨年、スバル幹部が新型インプレッサの量産試作車にテストコースで試乗した際、「走り出して30メートルほどで先代車との違いが分かる」と言ったそうだ。むろん、筆者も同じような印象を持った。だが、今回の試乗で筆者が新型XVに対して感じたのは、「走り出して、5メートルで違いが分かる」だった。

試乗会は軽井沢のスキー場の一部を使って実施された。


SGPとサスペンション改良の効果

 インプレッサに比べて最低地上高が上がった腰高な姿勢であるXV。当然、ロール量(車体の左右方向に対する揺れ幅)やピッチング量(車体の前後後方に対する振れ幅)が大きくなる。ところが、新型XVにはそうした気配が感じられない。

 今回の試乗開始の位置は、スキー場の正面入り口で未舗装だった。そのため走り出して5メートルほどでも車体の揺れを感じたのだが、先代車との違いをはっきり感じ取れた。

 こうした違いは前述したSGPによるものだが、副次的にはサスペンションの改良が大きく影響している。スバルの資料によると、前後のサスペンションはインプレッサ用にスペーサーを入れて嵩上げした。だが、それによってロールやピッチングの作動点が上がってしまうため、サスペンション各部の剛性を上げるなどの修正を行った。そのなかでも、リアのショックアブソーバーに対する横からの力を影響力を大幅に軽減させたことでリアサスペンションが「しっかり動く」ようになった。これにより、走りの深みが増したのだ。

 さらに、ハンドリングとサスペンションの相性が実に良い。今回の試乗では、先代車との乗り比べも行ったが、先代車のハンドリングはクルマ全体とのバランス感が悪く感じてしまうほど、新型のハンドリングが良いという印象だ。

 結果的に、新型は2.0リッター車も、今回から導入された1.6リッター車も、運転中の疲れが少ない。腰高のクロスオーバーSUVではなく、車高の低いスポーティなセダンのような走り味だ。また、「フォレスター」で採用している四輪駆動の電子制御システム「Xモード」を搭載したことで、悪路での走破性が上り、下り坂での速度制御などを体感できた。これらにより厳しい路面状況でも精神的なストレスが大幅に減った。

Xモードを体験するため特設コースの斜面を登る。


激戦区となる国内「SUV-B」市場

 スバルによると、新型「XV」の競合車はマツダ「CX-3」「CX-5」、ホンダ「ヴィゼル」、トヨタ「C-HR」などだ。日本市場で近年こうした小型SUV、またはクロスオーバーと呼ばれるセグメントが伸びている。

 SUV市場全体は過去5年間で倍増しており、2016年は45万2000台に達した。このうち最も大きなシェアを持つのが「SUV-B」と呼ばれる小型SUVで、15万台規模である。2015年までは、SUV-Bより車体サイズが少し大きい「SUV-C」が最大シェアを持っていたが、2016年にはSUV-Bに抜かれている。今後はさらにSUV-Bの販売台数が伸びると、スバルを含めた自動車メーカー各社は考えている。

日本でのSUV市場はここ数年で拡大。特に小型車Bセグメント市場の成長が目立つ(スバルの資料)


 スバルとしては、XVをSUV-B及びSUV-Cの両方に適合できる商品として捉えており、最上級グレードの販売価格を248万円に設定した。安全性能として定評のある「アイサイト」と、日系メーカー初となる歩行者保護用エアバックを標準装備することで、他社との差別化を図る。

 気になる電動車については、近年中にプラグインハイブリッド車の発売が期待される。その場合、スポーツカーの「86」及び「BRZ」の生産などで協業するトヨタから、新型「プリウスPHV」のコンポーネンツの供給を受ける可能性もあると思われる。

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筆者:桃田 健史