米アップルは2012年以来、iPhoneの新モデルを毎年9月に発表している。発売10周年となる今年(2017年)も、同じタイミングで新モデルが発表されると見られているが、米ブルームバーグによると、デザインが大幅刷新される最上位モデルは、発表後1〜2カ月は手に入らない可能性がある。

 というのも、アップルはこの最上位モデルについて、今も複数の試作機でテストを行っているからだという。

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さまざまな試作機を試験中

 ブルームバーグによると、試作機の1つは、ディスプレーが本体前面のほぼすべてを覆うデザインで、ディスプレーサイズは、現行の「iPhone 7 Plus」(5.5インチ)より若干大きい。ただし、本体サイズは4.7インチディスプレーを備える「iPhone 7」に近いという。

 これは、現在本体前面の下にある物理ホームボタンが廃止され、そのスペースをディスプレーに使えるようになるからだ。

 アップルはアジアの製造パートナーと共同でさまざまの試作機で試験を行っており、その中には曲面ガラスとステンレススチールを用いるものもあると、事情に詳しい関係者は話している。

 最新の試作機の1つは、本体の前面、背面ともにガラス素材が用いられ、いずれも本体側面の金属フレームに向かって若干カーブしている。このデザインの基本的コンセプトは、アップルが2010年に発売した「iPhone 4」やその翌年の「iPhone 4S」と同じという。

 このほかアップルは、より野心的な試作機も製作しているとブルームバーグは伝えている。こちらも前面のカバーガラスが若干カーブしているが、背面のカバーガラスは上下ともに、より大きなカーブ形状となっている。このデザインは、2007年に発売した初代iPhoneのそれと似ているという。

部品調達に懸念

 ただ、アップルの製造パートナーは現在、大きくカーブしたカバーガラスを大量かつ安定的に製造することが難しい状況。このことから、アップルはカーブがより緩やかなデザインを採用する可能性もある。

 このほか、同社は背面が現行モデルと同じアルミ素材で、本体サイズが若干大きな、より簡素なデザインの試作機でも試験を行っているとブルームバーグは伝えている。

 iPhoneの年間販売台数は、昨年実績で2億1500万台、一昨年は2億3200万台だった。これらがすべてその年の最新モデルでないとしても、サプライヤーは相当な量の新たな部品を供給しなければならず、毎年、対応に苦慮しているようだ。

アナリストは歩留まり問題を指摘

 2017年モデルの製造問題については、米金融サービス会社、コーエン・アンド・カンパニーのアナリスト、ティモシー・アーキュリ氏も指摘している。

 同氏によると、アップルは毎年、新型iPhoneの生産を7月後半から8月に開始する。

 ところが、今年発売されるiPhoneの最上位モデルには、新たな指紋認証センサーの組み込みに関し、歩留まりの問題があり、アップルがこの問題を迅速に解決できない場合、生産開始時期が9月にずれ込む可能性があるという。

 これにより、新モデルは当初、極めて品薄になるか、年末まで顧客の手元に届かない恐れがあると、アーキュリ氏は予測している。

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 なお、iPhoneの2017年モデルについては、現行モデルと同様に4.7インチおよび5.5インチの液晶ディスプレーを備える2モデルと、5.8インチのOLED(有機EL)ディスプレー備える新デザインモデルの合計3機種が発売されるとの観測が出ている。

 今回のブルームバーグの記事や、アーキュリ氏の予測はいずれもこの観測を前提としており、それぞれが指摘しているのは、このうちのOLEDディスプレー搭載モデルのみ。他の2モデルについては、特に製造上の問題や、出荷遅延に関する懸念はないようだ。

筆者:小久保 重信