大学4年生の春になると企業の合同説明会に足を運ぶ学生が多く見られる

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 アベノミクスやトランプ景気の影響で日本経済は好調な様子だ。同時に新卒採用は学生による売り手市場が続いている。少子化による人口減少という環境変化も採用の活況を下支えする。企業の採用意欲の高まりは、採用計画に関する各種調査結果を見ても顕著で、かつてのバブル景気並みの採用難を思い起こさせる。しかしその一方で、せっかく採用した新入社員(大卒者)の3割が3年で辞めているという事実がある。人材不足の状況にあって、どうしてこのような「ミスマッチ」が起きているのだろうか。(『日本の人事部』編集部)

“自社色に染められる”
企業が新卒採用を行う理由

 そもそも、日本ではなぜ多くの企業が新卒者の定期一括採用を行っているのか。その理由は、大きく分けて三つある。一つ目は、企業が成長・発展し続けていくためには、組織の新陳代謝を図らなくてはならないこと。二つ目は、年次管理がベースとなっている日本では人員構成上、ピラミッド組織の維持が必要であること。三つ目は、新卒採用なら安いコストで人材を調達できるうえ、まだ何物にも染まっていないので、自社の価値観(経営理念・組織風土)をしっかりと共有できること。そのため、毎年4月に大量の学生が労働市場に供給されることを前提として、多くの日本企業が計画的な採用活動を行っているのだ。

 しかし世界的に見ると、日本のように新卒一括採用システムを確立している国はまれだ。欧米の大企業では「職種別採用」が基本。また、欠員があった時に募集するケースが大半であり、応募する人材には、募集した職務をこなす能力・スキルをすでに備えていることが求められる。職務未経験の新卒者を一括採用する日本とは、その方針が大きく異なるのだ。

 いずれにしても新卒採用を行う際は、将来の事業展開を踏まえた「計画性」が重要である。経営戦略から導かれた要員計画の下、計画が策定されなければならない。特にベンチャーや中小企業などでは、新卒採用がきっかけで、経営戦略がより具体性のあるものとして言語化され、実践へと結び付いていくことがある。そういう意味でも新卒採用は、経営トップ自らが取り組むべき重要課題の一つと言えるだろう。

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