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前年と同じスケジュールで始まった18新卒採用戦線。インターンシップや業界研究セミナーなど採用広報解禁前の動きが活況となる中で学生の意識はどう変化したか。理系・男子の結果をお届けする。(調査・分析/株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース メディア開発部長 高村太朗)

 三井物産が2年連続で理系男子1位となり、3年連続で総合商社が1位となった。三菱商事(2位)、伊藤忠商事(3位)、住友商事(4位)、丸紅(6位)とトップ10には大手総合商社5社が全てランクイン。文系男子のものと見紛う結果が継続した。

 総合商社はコンスタントに一定数の理系学生を採用しているほか、理系向けのセミナーや採用ホームページのコンテンツを通じて、理系出身の先輩社員を数多く登場させ、幅広い事業領域の中でどのような仕事をしているのかを伝えてきた。きめ細かい情報提供により、理系学生が活躍できるフィールドが商社にあることが完全に浸透したのであろう。

 1位となった三井物産が3月に開催したセミナー「MITSUI & CO. Premium Expo 一人ひとりの『挑戦と創造』」では、理系出身の先輩社員が登場して自身の経験談を伝えており、学生からは「自分の専攻を生かせる分野がイメージできた」「想像していた以上に商社のビジネスフィールドは幅広かった」と好評だった。

 またメガバンクをはじめ、金融業界の多くの企業が大幅に順位を上げていることも今年の特徴といえる。特に昨年38位から10位にランクアップした三菱東京UFJ銀行は、仮想通貨「MUFGコイン」を発表。キーワードとして話題性の高いフィンテック(ITを活用した新たな金融サービス)分野で先行する取り組みが注目を集めている。みずほフィナンシャルグループ(77位→15位)、三井住友銀行(49位→18位)も大幅に順位を上げており、金融業界が理系学生にとって新しいビジネスフィールドになる、という認識が人気を集めた理由であろう。

 一方で理系学生から本来人気を集めるべき業界である大手電機・自動車メーカーは、最高位が日立製作所(8位→11位)となっており本調査開始以来初めてベスト10から姿を消した。これは業績不振を背景とした台湾・鴻海精密工業によるシャープの買収、不正会計問題に端を発し極度の経営不振に苦しむ東芝の現状などが、学生には業界全体のマイナスイメージとして受け取られているためであろう。

 自動車メーカーでは業績好調であるトヨタ自動車が9位から35位に、本田技研工業は45位から59位に、日産自動車は58位から圏外へと順位を落としている。これには学生の自動車離れの影響が少なからずあると思われる。

 その他、鉄道各社は東海旅客鉄道(JR東海)(25位→9位)、東日本旅客鉄道(JR東日本)(23位→12位)、西日本旅客鉄道(JR西日本)(53位→40位)、東京地下鉄(東京メトロ)(圏外→56位)と順位を上げている。身近であることに加え、インドへの新幹線輸出をはじめ、海外への事業展開などが評価されたためであろう。

 総合商社、大手金融機関などの躍進は、理系学生の持つ論理的思考力や分析力の高さに期待した積極的な採用活動の結果と考えられるが、なかなか復活できない大手電機メーカーの凋落も少なからず影響を与えていると思われる。