睡眠は音楽で変わる!|「よく眠れる」音楽の特徴

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動画サイトで「快眠のための音楽」が数多くアップされているように、心地よい音楽によって良質な睡眠を得ようと考える人はたくさんいます。しかし、音楽を聴いて精神をリラックスさせるだけでは、質の高い眠りは手に入りません。どのような音楽や聴き方に、快眠効果があるのでしょうか。

目次

音楽が睡眠に影響するメカニズム音楽に秘められた快眠効果とは?どのように音楽を聴けばよいのか?音楽以外で快眠を得るための方法

 

音楽が睡眠に影響するメカニズム

音楽が睡眠に影響するメカニズム

音楽は耳を通して、神経系やホルモン系など、直接、脳へ働きかける力があるといわれています。具体的には、身体に下記のような影響を与えます。

「副交感神経」を優位にさせる

一般的に音楽を聴くと、その音の情報が聴覚神経から「延髄(※)」などがある「脳幹(※)」を経由して「聴覚連合野(※)」に届けられることによって、脳は「音楽を聴いている」と認識します。快眠効果のある音楽は、高い周波音によって延髄を通っている副交感神経を刺激し、副交感神経を優位な状態にします。そして、身体のリラックス状態を促し、睡眠に適した心身状態に導きます。
 

※脳幹:視神経、嗅覚神経以外の脳神経が出入りしている部位。
※延髄:呼吸、血液循環など、生命活動をコントロールするための中枢となる部位。
※聴覚連合野:大脳の側頭部にあり、感知された音を記憶や他の情報と照らし合わせる部位。

 
これは、電気信号によって睡眠をコントロールする「脳波」の状態からも見て取れます。心地よい音楽を聴いて副交感神経が優位になると、心身が安らいでいるときに見られる脳波「α波」が高くなることがわかっています。このことからも、音楽には心身をリラックスさせ、睡眠に適した状態にする力があるといえます。

「ストレスホルモン」の分泌を下げる

「ストレスホルモン」とは、ストレスの影響を緩和するホルモンの総称です。ストレスホルモンは、主に不快感や怒りの情動をコントロールする「扁桃体」の興奮状態が自律神経に伝わり、交感神経が優位になると、「副腎皮質(※)」から分泌されます。ストレスホルモンは精神状態にも影響を与え、不安感や焦燥感が悪化する原因となります。
 
音楽を聴いて副交感神経が優位になれば、ストレスホルモンの分泌を抑えることができます。それによって、眠る前に感じる不安や緊張などが緩和され、精神がリラックスした状態で眠りにつくことができるようになります。

※副腎皮質:交感神経の刺激によって、心身を興奮状態にさせるホルモンを分泌する部位。

快眠に効果的な音楽の特徴

では、快眠に導く音楽とは、どんな音楽なのでしょうか? その特徴を見てみると、メロディーやリズムなどにポイントがあるようです。

抑揚が少なく穏やかなトーン

極端な音の強弱がなく、ゆったりしている曲。音色が心身を優しい気持ちにしてくれる。

安静時の心臓の拍動のようなテンポ

安静時の鼓動のように、一定でスローテンポな曲。心身をゆったりさせてくれる。

自然に聴き流すことができる、神経を刺激しないメロディー

すっと耳に入って聴き流せるようなメロディー。頭に残らず、睡眠の邪魔をしない。

長時間続く曲

約4分以上と、長めにつくられている曲。聴くことでゆっくりと、徐々に深い眠りにつくことができる。

4000ヘルツ以上の高周波音

モーツァルトのクラシック音楽や、鳥の鳴き声、川のせせらぎなどの自然環境に多く含まれている音です。免疫系、ホルモン系、神経系によい刺激をもたらし、質の高い眠りを得る助けになると考えられています。
 
これらの特徴を持つ音楽は、心身を入眠モードにする作用が強く、寝つきをよくする効果があります。

音楽に秘められた快眠効果とは?

音楽に秘められた快眠効果とは?

音楽で自律神経を整えることによって、寝つき以外にも、さまざまな睡眠トラブルや血行不良、心身の不調などの改善が期待できます。

不眠トラブルの解決

睡眠の質の向上

自律神経が整えば、ぐっすり眠るために必要な睡眠ホルモン「メラトニン」が正常に分泌されるため、眠っている途中に目が覚めるなどといった不眠トラブルを防ぐことができます。

寝起きの改善

自律神経が整うことで、朝、身体を活発化させるための「交感神経」が優位になります。すると、覚醒状態を維持するために必要なホルモン「セロトニン」や身体を活発化させるホルモン「アドレナリン」が正常に分泌され、自然と目覚めのよい朝を迎えることができます。

ストレスに負けない身体づくり

ストレス耐性の向上

音楽には、ストレスによって心身の不調を招くホルモン「コルチゾール」の分泌を下げる力があります。そのため、過度なストレスホルモン分泌が抑制され、ストレス耐性の高い身体をつくることができます。

精神的ストレスを軽減

音楽によってストレスホルモンの「コルチゾール」の分泌量が減少すると、「気持ちが楽になった」と感じることができます。また、純粋に心地よいと感じたり、緊張や不安で押しつぶされそうな不安定な心を落ち着かせたりするなど、精神的なストレスを軽減させます。

その他

血行促進

音楽を聴いて副交感神経が優位になると、血流が促進され、身体を温める効果があります。

免疫力向上

音楽によって延髄が刺激されると、延髄を通る「舌咽神経(※)」が刺激されて「だ液」の分泌量が増加します。だ液には、ウイルスや細菌の感染から身体を守る「IgA」や「リゾチーム」などの物質が含まれているため、だ液量が増えると同時にそれらの物質の濃度が高くなり、病気の予防につながります。
 

※舌咽神経:のどの動き、味覚・口の感覚伝達をつかさどる脳神経。

 
このように、音楽は自律神経のバランスを整えることで、不眠を引き起こすホルモンバランスの乱れを改善するだけでなく、身体を癒やしながら質の高い眠りへ誘ってくれます。

どのように音楽を聴けばよいのか?

どのように音楽を聴けばよいのか?

音楽を何気なく聴くのではなく、より快眠効果を高めるためには、聴き方にもポイントがあります。

快眠効果が得られやすい音楽の聴き方

音量

音楽に聴き入ってしまわないよう、自分が気にならない、小さめで聴き流せる程度の音量に設定する。

姿勢

ソファやベッドなどに座ったり、横たわったりしてリラックスした体勢で聴く。ベッドで横になりながら聴いてもOK。

環境

室内が明るすぎると、眠りを促すホルモン「メラトニン」の分泌が減少するため、眠る前の室内は間接照明や光量調節を使って暗めの環境を意識する。

器具

ヘッドフォンかイヤホンを使って聴くと、音を効果的に集めることができる。イヤホンの場合は、耳が疲れないものを使う。睡眠時は、BGMとして音楽を流すのもOK。
 
音楽で効果的に快眠を得るためには、心地よく聴けるような音量に抑えたり、リラックスできる環境に整えたりなど、睡眠の妨げにならないように工夫することが大切です。

快眠音楽を聴くときの注意点

音楽を聴くタイミングや、聴き方も重要です。以下に、その注意点をまとめてみました。

空腹時に長時間聴かない

睡眠前は、胃の中がデリケートな状態。最後の食事から時間が経つと、摂取された食べ物が消化されてから時間が経ち、胃の中が空っぽの状態になるためです。音楽によって副交感神経が優位な状態が長く続いてしまうと、胃酸分泌が促進され、胃酸過多を引き起こすことがあります。
 
過度に分泌された胃酸はダイレクトに胃の中を刺激して炎症を起こし、胃痛を引き起こす原因に。眠るまでに時間がかかる人は、コップ一杯の白湯などを飲むことで胃酸によるダメージを緩和させましょう。

スリープ機能をオンにしておく

上述のように、長時間にわたって音楽を聴き続けると、身体に悪影響が生じる場合があります。睡眠前に音楽を聴くときは、音楽プレーヤーのスリープ機能をオンにして、入眠後には自動で電源が切れるように設定するのがおすすめです。

運転中や仕事中に聞くのはNG

快眠のためにつくられた音楽は、副交感神経を優位にさせて眠気を引き起こす効果があります。そのため、運転中などに聴くと思わぬ事故やトラブルを招く危険性があります。

音楽以外で快眠を得るための方法

音楽以外で快眠を得るための方法

食事や運動などの、生活習慣を見直すことも大切です。心身がベストな状態で音楽を聴けば、より高い快眠効果を得ることができます。

快眠をもたらす生活習慣の見直し

生活習慣の見直しをする際にポイントになるのが、自律神経のバランスを意識すること。そこで、心身をリラックスさせるホルモンを分泌したり、活動と休息をコントロールしたりする自律神経の働きを整えるための対策をご紹介します。

腸内環境を整える

発酵食品をとって精神を安定させる

腸内環境の悪化は精神にも影響を及ぼし、うつや不安、イライラの原因となります。腸内環境を整えてくれる善玉菌のエサになる食物繊維や、ヨーグルトに含まれる動物性乳酸菌、納豆や漬物などの植物性乳酸菌を取り入れましょう。

腸の働きをよくして老廃物をなくす

腸内に老廃物がたまると腸の働きが悪くなり、さらに老廃物がたまるという悪循環が起こります。腸を回復させるには、白湯を1.2リットル前後(※男性や体格が大きい方は1.5リットル前後)飲んだり、水に溶けやすく消化によい食物繊維を含む海藻などを食べたりする方法がおすすめです。

朝食を食べてメラトニンを生成する

眠りを誘うホルモン「メラトニン」の分泌を増やすためには、その原料となるたんぱく質からできている「トリプトファン」を摂取する必要があります。トリプトファンを摂取するのに最も適したタイミングは、朝。トリプトファンを多く含む肉や魚、大豆、また、メラトニン生成の手助けとなる「葉酸」や「鉄」を含むほうれん草や小松菜などの緑色野菜を朝食メニューに加えてみてください。

運動不足を改善する

運動不足によって血行不良になると、自律神経に悪影響を及ぼすことがあります。適度な運動を取り入れ、精神的なリラックスを手に入れましょう。

眠る前は軽めの運動で筋肉をほぐし、身体を温める

眠る前は心身に負担をかけないように、ストレッチやマッサージなど軽めの運動を行いましょう。筋肉の緊張をほぐして自律神経の緊張状態を解いたり、血流を促進して身体を温めたりすることで、眠りにつきやすい身体に整えることができます。

その他、定番の快眠法を取り入れる

ぐっすり眠りにつくためには、睡眠の要となる睡眠リズムを改善したり、就寝前の行動を工夫したりすることも大切です。

朝に太陽光を浴びて乱れた睡眠リズムを整える

体内時計は、朝に30分以上太陽光を浴びることでリセットすることができます。太陽光を浴びることで覚醒状態をつかさどるセロトニンの分泌量が増加し、夜には快眠をもたらすメラトニンに姿を変えてくれるため、規則正しい睡眠リズムで起床・就寝することができるようになります。

お風呂やホットドリンクで身体を温める

38〜40度ほどのぬるめのお湯に浸かったり、白湯などのホットドリンクを飲んだりすると、身体が温まって気持ちをリラックスさせることができます。眠る前に身体の内部の温度(深部体温)をいったん上げておくと、そのあと深部体温が下がるときに自然な眠気がやってきます。お風呂に入るタイミングは、就寝の2〜3時間前までに入るのがベスト。眠る直前にお風呂に入るとベッドに入ってもまだ深部体温が下がらず、寝つきが悪くなってしまうこともあります。

パジャマや下着など、睡眠時に着るものを変える

リラックスして眠るには、服装も大切な要素です。睡眠時に着用するものは、熱や汗がこもらず、柔らかい綿やシルクなどの天然素材でできた、肌触りがよいパジャマがおすすめ。また、ジャージやスエットなどに比べてゴムによる締め付けが少ないパジャマの方が、心身ともにリラックスした状態で眠ることができます。
 
音楽には寝つきや浅い眠りを改善するだけでなく、心身のストレス解消を助け、病気に強い身体をつくるなど、さまざまな健康効果が期待できます。日常に音楽をうまく取り入れて、ストレスフリーな生活を目指しましょう。
 
監修:今野 裕之(精神科)
 
<参照>
「自律神経の名医がつくった ぐっすり眠るためのCDブック」小林弘幸(アスコム)
 
「聞くだけ最恐ストレスからあなたの自律神経を守りぬくCDブック」和合治久(ワニブックス)
 
「人体のしくみと病気がわかる事典」奈良信雄(西東社)
 
「驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100」三橋美穂(かんき出版)
 

photo:Getty Images

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