『フリースタイルダンジョン』3rd SeasonのRec5-7。
!!!!!!!!
Lilyさんは信じられないものを観たという驚愕の顔で髪をかきあげた。
HIDADDYは、スタンディングオベーション。
ERONE、拍手しながら崩れ落ちる。
KEN THE 390、天を仰ぐ。
いとうせいこうは言う。
「史上ちょっとない終わり方!」

呂布カルマとR-指定との対決の壮絶な幕切れ。
ああ、なんてことが起こってしまったのか。
振り返ろう。


『フリースタイルダンジョン』、チャレンジャーがモンスターに挑戦して勝ち抜けば賞金100万円の即興のラップバトル番組。
チャレンジャー呂布カルマ。
チーム戦ではなく独りで殴り込んできた。
真正面から相手の矛盾点をついて、漢a.k.a.GAMIとT-PABLOWとDOTAMAを破る快進撃。

ついに宿敵R-指定とのバトルである。

ROUND1。
R-指定の先攻。
「言葉のウエイトってほど軽い言葉はない
自分が大人だっていうほどガキなヤツはいない」
から始まり、前回前々回の呂布カルマが放った言葉の矛盾をつく。
「地上波に中指立ててくるくせにノコノコとここに出てきて」
呂布カルマが放ったディスは全部、自分自身に跳ね返ってくる言葉だと指摘する。
「分かってんのか? お前こそハッキリしろ矛盾点ばかりだぞカスが」
R-指定が、しっかりとした理屈でディスるべきところをかっちりディスった。

「もちろん分かってる ラップってのは鏡」
ここで無闇に反論しないのが呂布カルマの凄さ。
R-指定の言葉を受け止める。
「韻の弾みでしょうもないこと言ってしまうお前とは違う」
とディスるが、実は今回、R-指定はそんなに韻を踏んでいない。
韻で内容をどんどんズラしていくライムの持つ跳躍力を封じて、相手のスタイルをバッサリと切り捨てる呂布カルマのスタイルに乗って戦っていた。

返す2ターン目、R-指定。
「随分みすぼらしくなったな」っていうディスに対して「韻よりも見た目の方がダセェと思うんだわ」と返し、
「しょうもない4つ打ち」に対しても「あれを4つ打ち? あれはサンプリングビート」と返す。
そして、
「お前地上波だなんだ言ってるくせにラップでニュースレポートみたいなんしてんじゃん」。
R-指定が言ったのは、AbemaTV『NEWS RAP JAPAN』のこと。
呂布カルマは、時事問題をラップで語るラポーターとして出演している。

呂布カルマ、1個1個全部訂正してやろう、と返す。
きちんと返すのだが、今までの相手の言ったことをズドンと全部いっぺんにひっくり返すようなパワーはない。
「汚ねぇ髭で顔面をかくしてる ロン毛で顔を隠してるそれはお前の自信のなかさの表れ」
と〆るが、
これに対してR-指定は、
「なるほどね グラサンで目かくしてるってことやろコイツ」
と返して、呵呵と笑う。
「ラップでニュース読むことのダサさを言ってんだ」と念を押して、
そこに重ねて「お前 大人ぶってるんだ」と呂布カルマのスタイルを根っこから引っこ抜く。
「もし俺がガキで中二病ならお前一番痛い大二病だ」
ジャッジは、モンスター4チャレンジャー1でR-指定の勝利。

ROUND2。
「お客さんのレベルに合わせたラップの権化 その集大成がお前」
呂布カルマのディスだが、「ラップの権化」「集大成」裏返せばこれは絶賛の声かもしれない。
「ライムの種類が違う。俺がHIPHOPでお前はPOPS」

「お前ライムって言うとるけど韻ひとつもないぞ」
と返してから、再び呂布カルマの超然とした佇まいをディスる。
「自分が特別? 自分が目立ってる? クラスにおったわ1人ぐらいはこういう痛いヤツ」
そして、封印していた韻を開放して畳み掛ける。
「見た目だけカッコつけた【コンプラ】 でもハートはチキン 名古屋コーチン FAKE佐村河内 Shall we 死のダンス 役所広司」
コンプラは、おそらく「的場浩司」。

これに対して呂布カルマが
「上手に韻踏むな お前」とつぶやく。
「ゴリゴリくんなこの髭づらが」と、また見た目をディスってしまい、さらに少し言葉につまる。
「この髭 ここの髭 ロン毛」と言ったあと、呂布カルマは、こう言う。
「もう全然いいわ、言うことねぇわ。やっぱコイツ強ぇわ もうダメだ 強い」
心底思ったことを吐き出すスタイルで相手を倒してきた呂布カルマが、最後まで自分のスタイルを貫き通した。
相手が強いと思ったら、それを言う。
戦ってる最中に、潔く敗北を認める。
スタジオのモンスター達も「わあああああ」と声を挙げ、審査員も驚愕した。
漢a.k.a.GAMIが語る。
「HIPHOPではタブーっていうか。切腹スタイル オメーかっけえわ」


いやいやいやいや、壮絶なものを観た。
圧倒的な総合力で強さを見せつけたR-指定。
不動のスタイルで予想をはるかに越えた姿を見せた呂布カルマ。
もう今回が最終回なんじゃないかと思ってしまう(そんなことないです)番組史上に残る伝説回であった。(テキスト/米光一成 イラスト/小西りえこ