腰痛は、同じ姿勢ばかりしていたり、重たいものを持った時などになるものと思っていませんか? 実は、ストレスが原因でなる腰痛もあるのです。その症状と改善法をご紹介します。

検査をしてもわからない 腰痛の85%は原因不明

腰痛で悩む人は、今や2800万人ともいわれています。そのうち原因が特定できる腰痛は、わずか15%程度。残りの85%近くは原因不明とされています。最近の研究で、こうした原因不明の腰痛の一部がストレスや心の病気によるものだということが、わかってきました。「心因性腰痛症」と呼ばれ、内科と外科の両方から診察しても異常が発見しづらい腰痛です。レントゲンでも特に異常は見られないので、診断の際の問診が大変重要となります。心因性腰痛、またはストレス性腰痛と呼ばれることもあります。

心因性腰痛症の特徴として、慢性的に痛む、痛いところが移動するなどの症状があげられます。また、心因性のため、楽しい気持ちの時は痛みを感じにくく、イライラや不安があったり、深い悩みを抱えると痛みが強くなるといった傾向があります。腰痛に悩んだら、心因性腰痛の特徴をチェックして、自分の症状と照らし合わせみるのがよいでしょう。

こういった、ストレスを感じると腰痛が起こる原因には、自律神経が関わっています。人は強いストレスを受けると、自律神経が乱れます。自律神経には、体を興奮させ瞬時に動けるように働く交感神経と、リラックス状態の時に働く副交感神経とがありますが、ストレスがかかると体を守ろうと交感神経が優位になり、その結果、筋肉を緊張させ、血行不良をまねきます。すると、疲労物質が溜まりやすく、細胞の回復力も遅くなるため、筋肉の修復が遅くなるのです。これが腰痛を起こす原因のひとつといわれています。

もう1点原因としてあげられているのは、ストレスによる脳の機能低下です。脳には痛みを感じると、その痛みを和らげる仕組みが備わっています。この働きをしているのが、脳の「側坐核(そくざかく)」という部位。ここはストレスに弱い部位で、この働きがうまくいかないと、脳内ホルモンが分泌されず小さな痛みでも、激痛に感じてしまうのです。こういった痛みを我慢すると、さらなるストレスがかかり、痛みが軽減されないという悪循環にも陥ります。

治療には、心と体の痛みの両面からケアを

心因性腰痛症の治療は、痛みのケアと、心のケアの両方から行うのが鉄則。整形外科での治療とあわせて、心療内科や精神科での治療が大切です。整形外科では、非ステロイド性消炎鎮痛などが処方され、痛みの緩和が行われます。一方、心療内科や精神科では、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬などが処方されることが多数。心の落ち込みや不眠、食欲不振を改善したり、カウンセリングでのストレスへの対処法や、心の問題を取り除く方法を相談することができます。

普段の生活をしているだけでも、ストレスはたまってしまうもの。趣味に没頭したり、友達と食事やショッピングに出かけたりと、心が喜ぶことを取り入れれば、脳の「側坐核」は活性化します。そうすれば、心因性腰痛症の痛みの軽減にもつながりますので、無理のない範囲で生活習慣の改善を行いましょう。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと