「女子は愛されて結婚するほうがいい」「結婚には妥協も必要」といった教訓は、とてもよく聞かれますよね。自分が好きな人より、好いてくれる人と結婚したほうが女性は幸せになれる。恋愛相手と結婚相手は違う。世の中はそういうものなのだろう、と思って結婚したあとに、昔好きで好きで仕方がなかった人が目の前に現れたら――。

4月18日(火)22時からドラマ版もスタートする、いくえみ綾さんの作品『あなたのことはそれほど』は、そんな女性が主人公の物語です。

「二番目に好きな人」だと自覚しながら結婚を決めた主人公



眼科クリニックで医療事務として働く29歳の美都(波瑠さん)。患者として来ていた涼太(東出昌大さん)に一目惚れをされ、交際間もなく結婚をしています。
居心地のよさと安心感だけで結婚を決めた美都ですが、実は中学生の頃から、大きな恋わずらいにかかっていました。相手は同級生の有島君(鈴木伸之さん)。とにかく大好きで、卒業後に会えなくなってもずっと好きで、“運命の相手”だと信じていた相手でした。まもなく結婚1年目を迎える頃、そんな彼に偶然再会してしまうところから物語はスタートします。



美都にとって、夫の涼太は「ふつうの人」「すごくいい人」、そして「二番目に好きな人」。そうハッキリ自覚している美都は、いつか罰が当たると思いながら、有島との関係にのめり込んでいきます。有島とのメールでは、涼太のことを「小熊」と呼び、少し馬鹿にするような態度も取っています。

鈍感そうに見える涼太ですが、美都にベタ惚れのため、彼女の心の奥にある気持ちには以前から勘づいていました。そして、ついに目の前に現れたその相手との不倫関係も、あっという間に知ってしまうのです。

しかし涼太は怒りません。貼りついたような笑顔で「愛し続ける」と美都に伝えます。その反応に戸惑いイラつく美都ですが、一方で有島への思いはエスカレート。有島の妻・麗華(仲里依紗さん)にわざとらしい接触をして、二人の関係を気づかせるような行動もします。


しかし出産したばかりの麗華は、一枚上手。有島を手のひらで転がし、釘を刺しながらも静観しています。美都との関係は軽い遊びのつもりだった有島ですが、なんだかんだと抜け出せなくなってしまい――。

美都は、中学生の頃に「二番目に好きな人と結婚したほうが幸せになれる」と言われた過去があり、その意見をどこか信じて人生の決断をしてきたものの、有島と再会したことで「何を信じていいのか、どうしたら自分が幸せになれるのか」がまったく分からなくなってしまうのです。

一度きりの人生。一体どうするのが、一番の幸せなんだろう?



言ってみればW不倫の物語ですが、作品は人生のリアルも交えながら非常にフラットに描かれており、“いくえみワールド”の切なさ満点。みんなズルいし、いびつだし、弱いところがあり、非常識だと言われるような行動もそれぞれにするのですが、どの人物も不思議と悪者には見えてきません。不倫を擁護するわけではないですが、恋心ゆえに周りを振り回す美都でさえも、本気の恋がしたことがある人ならば「そういう気持ちも分からなくはない」と思ってしまうはず。

本気で好きになって欲しい人には、本気で好きになってもらえない。一番だと思う人の一番には、どうしてもなれない――。みなそれぞれに違う相手に、同じ葛藤を抱えているようにも見えます。各人の母親との関係なども絡み合い、美都は、涼太は、有島は、麗華は、最後どんな選択をしていくのか。静かに、しかし正解のないテーマについて深々と考えさせられる物語です。


ドラマ『あなたのことはそれほど』でも、ほとんどの設定は引き継がれる様子。脚本は『八重の桜』や『ダメな私に恋してください』、映画『あやしい彼女』など女性ヒロインものにも定評のある吉澤智子さん(※)。公式サイトには「あの人が良かったけど、この人でいいと思っていた」という鮮烈なスローガンも出ていますが、一度きりの人生、誰と結ばれるのが本当の幸せなのか。答えが出ている人も、まだ出ていない人も、展開を楽しみに見てみてはいかがでしょうか。

恋や結婚に悩んだことがある方には、必見のドラマ。毎週火曜22時スタートです!
(外山ゆひら)

※正式には「吉」は土に口の漢字表記となります。