久保が活躍中 ベルギーのプレーオフって何ぞや?

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ヘントに所属する日本代表FW久保裕也は、17日のシャルルロワ戦でゴールし今季6得点目をあげた。これで、元日本代表FW鈴木隆行の記録を超えベルギーリーグにおける日本人最多得点者となった。

さて、現在ブレイク中の久保が戦うベルギーリーグは変則的なシステムを採用している。順位表を見てもしっくりこない読者も多いだろう。そこで、ベルギーリーグのシステムを説明しようと思う。

優勝プレーオフとは何ぞや?

ベルギーリーグ1部(ベルジャン・ファースト・リーグA)はリーグ戦30試合を戦った後に上位6チームによりチャンピオンを決めるプレーオフを行う。これにより最終順位が決まり、ヨーロッパの大会に出場するチームも確定することになる。

具体的には1位はチャンピオンズリーグのグループステージ、2位は同予選3回戦、3位はヨーロッパリーグのグループステージ、4位は同予選3回戦、5位は同出場プレーオフ、6位は何もなしとなっている。

なお、7位から15位はヨーロッパリーグ出場を目指すプレーオフに、16位は降格が決定する。

2016-17シーズン ベルギーリーグ 優勝プレーオフ順位表(4/17現在)

1. アンデルレヒト 勝ち点38(プレーオフ2勝1分)
2. ヘント 勝ち点32(プレーオフ2勝1分)
3. クラブ・ブルッヘ 勝ち点32(プレーオフ2分1敗)
4. ズルテ・ワレヘム 勝ち点29(プレーオフ2分1敗)
5. KVオーステンデ 勝ち点27(プレーオフ2分1敗)
6. シャルルロワ 勝ち点27(プレーオフ2分1敗)

久保が戦うチャンピオンを決めるプレーオフでは、出場チームはリーグ戦30試合の勝ち点を1/2にし(小数点以下は切り上げ)最初の持ち点とする。

それに上位チームでの直接対決10試合で得た勝ち点を加えることで最終順位を決定する。

例えば、2015-16シーズンのチャンピオンであるクラブ・ブルッヘはレギュラーシーズンの勝ち点が64なので持ち点32にプレーオフで得た22(7勝1分2敗)を加え54ポイントで優勝をしている。

久保が在籍するヘントは18日現在アンデルレヒトに続く2位。このままいけば来季のチャンピオンズリーグ予選3回戦より出場することになる。

ビッグクラブ重視の戦略が裏目?

ベルギーでこのようなシステムが出来上がったのはつい最近のことだ。

それまで欧州のリーグは終盤戦になると優勝やチャンピオンズリーグ争い、降格争いから外れたチームが中だるみしてしまう傾向にあった。そのためになるべく最終局面まで競争力のある戦いを持続させようというものだ。

ベルギー、オランダ、ギリシャ、イスラエルなどが次々にこのような(あるいは類似した)システムを導入し代わりに1部リーグのチーム数を減らすなど変更を行った。これはヨーロッパの中堅リーグのトレンドになり、今もその流れは継続している。

こうした変更の背景の一つには、ビッグクラブ側からの強い要請もある。

ビッグクラブは弱いチームと戦って得られるメリットが少ないという意見が上がっていた。自分たちだけで戦う機会が増えればレベルアップにつながりヨーロッパでも良い成績が残せるという目論見があったのだ。

当然、「複雑でわかりにくい」、「プレーオフでの勢い重視となり、本当の実力が順位表に反映されない」といった意見もあった。ベルギーリーグでのプレーオフ発足当時80%のサポーターは制度に反対をし、ビッグクラブ以外のすべてが18チームのリーグ戦総当たりのほうが望ましいという投票結果が存在する。しかし、最終的にそれらの結果は無視されこのようなシステムが誕生している。

プレーオフの意味

発足当時に比べると現在はプレーオフの制度は(降格プレーオフがなくなったり)多少簡素化している。しかし、それでもビッグクラブが言うような競争力が得られたかという点については(ベルギーのチームのヨーロッパでの成績を見るに)疑問が残る。

実際、サポーターからの評判は今も良くない。プレーオフは観客10000人前後が“基本”で決して大きな数とは言えず、スタジアムが満員御礼で優勝の行方を固唾をのんで見守るというようなことにはなっていない。

ベルギーでは2部リーグ(ベルジャン・ファースト・ディビジョンB)が複雑なことになっており、しわ寄せだとしてサポーターから批判を浴びている。8チームしかない上にオープニングトーナメント(前期)、クロージングトーナメント(後期)とわかれ下位4チームは3部への降格プレーオフに回るなど極端なことになっているためだ。

メリットは選手の注目度にあり?

幸いにして唯一のメリットともいえるのが得点ランキング上位の選手の多くはステップアップしているということだ。

2015-16シーズンの得点ランキング上位を見ると

2015-16シーズン ベルギーリーグ得点ランキング

1. ジェレミ・ペルベ シャルルロワ(今季はヘント)
2. エンバイ・レイェ ズルテ・ワレヘム*移籍無し
3. ソフィアヌ・ハンニ メヘェレン(今季はアンデルレヒト)
4. ステーファノ・オカカ アンデルレヒト(今季はワトフォード)
5. ローラン・デポワトル ゲント(今季はポルト)
5. ゴイ・ビ・シリャク オーステンデ(今季はフラム)
5. スヴェン・クムス ゲント(今季はウディネーゼ)
5. フレデリク・グノンベ ウェステルロー(今季はカーディフ・シティ)
5. イェレ・ヴォッセン クラブ・ブルッヘ*移籍無し
5. アブドゥライ・ディアビ クラブ・ブルッヘ*移籍無し

上位の選手はほぼすべてがチームを移っている。

久保も1月に加入してまだ3か月であるが、このまま順調に結果を残せばより上の舞台へステップアップするということはより現実味を得るだろう。